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風鈴を、しまっていた箱から取り出す日 - チリン、と部屋がはじまる -
こんにちは、ルーシーです。
クローゼットの奥にしまっていた薄い紙箱を取り出しました。中には、去年の暑い時期にずっとベランダで揺れていた小さなガラスの風鈴がしんと眠っていました。
ベランダの掛け金にそっと吊るすと、まだ風はそよというほどしか吹いていないのに、ガラスの本体はゆっくりと向きを変えはじめます。透明なガラスの中に緑色の細い線が一本入っている、お気に入りの一品。箱の中で長い眠りについていたあいだにすこしだけホコリをまとっていたので、柔らかい布で丁寧にぬぐってあげました。
しばらくして窓を開けたら、ふいにチリンと高い音がしました。小さな音なのに、部屋の空気の質がその一音ではっきりと切り替わったのを感じます。これから来る暑い時期をこの音と一緒に過ごしていくんだなと思うと、毎年のことなのにすこしどきどきします。
ベランダの植木鉢のミントの葉も、風鈴に呼ばれたみたいに揺れはじめました。暑さに耐えるエネルギーは、こういう小さな涼をいくつ部屋に置けるかで決まる気がします。冷房に頼り切らない、自分の手で暮らしのなかに取り入れる涼の道具をわたしはひとつずつ大切にしています。
夕方のお風呂上がりに、またチリンと聞こえました。今日いちにちがちゃんと風と一緒にあったんだなと、しみじみ思える音。小さな道具ひとつでこんなにも季節と仲良くなれる、その静かな実感がいまの暮らしの宝物だったりします。
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