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蝉の声が、急に増えた朝のこと - 季節がはっきり、こちら側になった音 -

こんにちは、ルーシーです。

朝、いつもの時間に目を覚ましたら、外からそれは大きな蝉の合唱が聞こえてきました。昨日まではぽつぽつだったはずなのに、今朝はいっせいに鳴きはじめている。季節はこんなふうに、ある朝はっきりとこちら側にやってくるんですね。

カーテンを開けると、空はもうずいぶん青さの色が濃くて、雲も縁がくっきりと白く光って見えました。ベランダに出てみると、湿った熱気が肌に巻きついてきます。昨日まではまだどこかに春の名残があったはずなのに、たった一晩で空気の中身が入れ替わってしまっていました。

冷蔵庫から昨日冷やしておいた瓶の水を取り出して、グラスにそっと注ぎました。ごくと一口飲み下すと、喉のあたりからすっと体温が下がっていく感覚があります。これから始まる長くて熱い時期を支えていくのは、こういうひと口の冷たい水なんだなと毎年あらためて思います。

朝のコーヒーはいつもよりちょっとだけ薄めに、深めのカップではなくて口の広いカップに注ぎました。浅いカップは香りが先にすうっと立ち上がってきて、蝉の声と一緒に朝の輪郭をきちんと整えてくれます。時間をかけてゆっくり、いちにちの始まりを身体に入れていく。

外の蝉の声はすこしずつ大きさを増していきます。窓辺にもたれて白い空をぼんやり眺めながら、もう逃げられないかたちで季節に挨拶された朝のおだやかな一杯でした。

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