「境界をまたぐ心理士」が山村で知った5歳児健診の裏側【山村シリーズ③】
前回までの記事では、
この山村と私【振り子】との出会いをまとめました。
詳しくはこちらの記事へ↓
この村で唯一の幼保連携型こども園。
その年に生まれる子どもの数が約15人のこの村で、
子どもたちが人生で一番はじめに触れ合う「社会」です。
そのこども園を会場として、
この村では2020年から5歳児健診が行われています。
5歳児健診ってなに?
そもそも健診というは、
お子さんの成長や発達、健康状態を確認するために
自治体が実施する健康診査のこと。
主に3~4か月・1歳6か月・3歳といった時期に行われ、
身体測定や診察、発達の確認、などが行われます。
5歳児健診でも基本的には同様の流れとなりますが、
年中さんにあたるこの時期に、
同年代のお友達と
協力し合えるか
ルール遊びができるか
自分の気持ちを伝えられるか
相手の気持ちを汲み取れるか
などを確認しています。
また、多くの場合、
食事、運動、睡眠、メディアの利用
など、
毎日の生活の状況についても確認されます。
そして、来たるべき
小学校での生活リズムを見据えて、
生活習慣を見直したり整えたりする
ヒントを得ていただく機会
になります。
そんな5歳児健診は
2025年度から補助が拡充され、
こども家庭庁も2028年度を目処に
実施率100%を目指しています。
より詳しい5歳児健診の情報は以下のサイトからどうぞ↓
村の5歳児健診について
(以下はあくまでもこの村の健診についてです。
一般的な内容と異なる場合がある事をご承知おき下さい)
通常は1度だけの健診で終了になると思いますが、
この村では事業立ち上げとなった2020年から継続して
9月と2月の年2回
5歳児健診を行なってきました。
ただし、3歳児健診とは異なり
親が同席する必要はありません。
その代わり、
ご家庭からは調査票を回収する形で
様子を教えていただいています。
集団観察にあたっては、
下記のメンバーが招集されています。
村の5歳児健診のスタッフ
・保健師
・保育士
・特別支援学校教諭
・自発(児童発達支援施設)スタッフ
・村教育委員会(ただし初期メンバーではない)
・臨床心理士
このうちの「臨床心理士」枠が私でした。
学校の先生方への自殺ゲートキーパー講座後、
保健師さんからこの5歳児健診事業を立ち上げるので、
初期メンバーとして加わって欲しいとお願いされたのです。
ちなみに、過疎地域のためか医師は直接健診には参加しません。
必要であれば上記のメンバーで協議し、
こども園経由で家庭に連絡。
保健師がご家族と話し合い、
希望があれば医療機関へのつなぎを行なうシステムを取っています。
5歳児健診のながれ
一日の流れですが、
9:00 スタッフミーティング
9:15 観察開始
リズム体操
製作遊び(はさみ・のりを使った工作や作品作り)
絵本・紙芝居の読み聞かせ
11:15 給食(食堂移動)
11:30 実食観察
12:00 スタッフ昼食 昼休み
(子どもたちは午睡)
13:30 全体ミーティング
15:30 健診終了
といった感じで進行しています。
多職種が協力しながら
お子さんの一日の様子をまるっと観察することで、
発達特性についてだけではなく、
手先の器用さや全身運動、
適切な自己主張ができるかどうか、
ケンカをした後の仲直りができるか、
偏食傾向、
排せつの自立度、
などを総合的かつ多角的に見ることができ、
その結果を午後からの全体ミーティングで
こども園の先生と共有しています。
これを年に2回行うため、
9月はお子さんの様子と課題の確認、
2月は、9月時からみて課題の達成度と成長具合の確認
といった内容で行っています。
現在では、
村の教育委員会の先生方にも入っていただき、
5歳児健診の内容が切れ目なく小学校につながる
ように取り組んでいます。
まとめ
5歳児健診は、
できていることや家庭での子育てを
合否のように判断する場ではありません。
むしろ、
お子さんの成長を一緒に確認し、
必要があれば少しだけサポートの方法を
考えるための機会です。
お子さんの発達には大きな個人差があり、
できること・苦手なことのバランスも一人ひとり違います。
これから5歳児健診を受けられる皆さまは、
気になることがあれば遠慮なくスタッフに相談してください。
健診は、私たち専門家が保護者の皆さんと一緒にお子さんの成長を
考えるための時間なのです。
