見出し画像

インバウンド急増と円安の中、“居住者割”は本当に差別か?

インバウンド経済は、日本にとってこれからの大事な成長エンジンだとGenZeeは思っています。だからこそ、いまのうちに制度や環境を整えておくことが大切ではないかと感じ、今回は「拝観料の負担のあり方」について少し考えてみました。

オーバーツーリズム問題を考える①

先日、奈良県を旅してきました。これで、47都道府県のうち、宿泊をともなう訪問は46県目になります。これまで日本各地でいろんな街を訪問してきましたが、最近どこに行っても印象的なのが、観光地にあふれる外国人観光客の存在です。

歴史的な名所や神社仏閣では、係員の方が多言語で対応しながら、混雑の中で案内に追われています。その姿に頭が下がる一方で、「日本人の人々が待たされている」場面が何度もありました。

文化財を守る人たちも大変ですが、拝観する私たちにとっても、どこか気を遣ってしまう空気があります。

そしてふと、「この拝観料の1200円って、本当に今の状況に合っているのかな?」と疑問を抱いたのです。

インバウンドと円安の“追い風”がもたらすこと

訪日観光客の数はコロナ禍を乗り越え、今や過去最高水準にまで回復しています。円安もあって、外国の方から見ると、日本の物価は非常に安く感じられるようです。

一方で、日本に暮らす私たちはどうでしょうか。物価は上がり、実質賃金は横ばい。旅行やお出かけのハードルは決して低くありません。

特に拝観料は、数年前よりも明らかに高くなった場所も増えてきました。しかも混雑していて、落ち着いて見学できない。
こうなると、「また来よう」と思うどころか、「しばらく行かなくてもいいか…」と感じてしまうこともあるのではないでしょうか。

「値上げ+居住者割引」案には、ちょっとした落とし穴がある

こうした状況をふまえて、「拝観料を一律に値上げし、そのうえで日本人(及び国内居住者)には割引を適用する」という案を考えてみました。

思いついた時は、理屈としては筋が通っているように思えました。ただ、それを現場で運用するとなると、ちょっとした混乱が起きそうです。

たとえば──

  • 値上げされたようにしか見えず、日本人も一瞬戸惑う

  • 割引制度の説明がややこしい

  • 外国人から「自分だけ高くされた」と言われるリスクもある

など、制度の意図と現場での印象がズレてしまう可能性があります。

提案:「ツーリズム協力料」という考え方

そこで次にGenZeeが考えたのが、こんな方法です。

「国内に住んでいる人の料金を“基本”とし、外国から来た方には『ツーリズム協力料』という形で、追加の負担をお願いする」

という形です。

具体的には、

  • 国内居住者:800円(マイナンバーカードや免許証などで証明)

  • 海外からの旅行者:800円 + 協力料700円 = 1,500円

といったように、「居住者価格を据え置いたまま、非居住者の方に“上乗せ”する」設計です。

この方法だと、居住者の立場からは「値上げされていない」ように見えますし、観光客にとっても「文化財の保全に協力するための負担なんだ」と理解しやすくなります。

2案の比較

海外でも、すでに似た制度がある

この協力料方式は、日本独自の発想というわけではありません。
すでにいくつかの国では、似たような制度が導入されています。

  • フランスでは、EU圏居住者はルーブル美術館などで入場無料

  • 韓国では、自国民向けの割引制度が常設されている

  • イタリアのベネチアでは、非居住者に入場税が課されている

つまり、「自分たちの文化を守るために、外から来た人には一定の負担をお願いする」という考え方は、世界的にも珍しいことではないのです。

「差別では?」という声への向き合い方

制度の話になると、「外国人に高く、日本人に安くするのは差別じゃないか」という声があがることがあります。

でも、ちょっと考えてみてください。

障害者割引やシニア割引も、形式的には「ある属性の人にだけ安くする」制度です。それでも多くの人が納得しているのは、「それが社会にとって必要な配慮だから」ではないでしょうか。

同じように、今の日本では、文化財にアクセスしづらくなっているのはむしろ国内の人たちです。そうであれば、それを補う仕組みがあってもいいと思います。

導入にあたっての3つの工夫

では、仮に日本の観光地で「居住者割」や「ツーリズム協力料」的な制度を導入するなら、どのような配慮が必要でしょうか。

以下の3点が、誤解や摩擦を避ける上で重要だと考えます。

① “割引”より“上乗せ”として設計する

たとえば「600円→1,000円(うち400円はツーリズム協力料)」という形で、基本料金を据え置き、外国人だけ上乗せする方が、現地の人々の感覚として納得されやすいです。

② 使い道を明示する(透明性)

「協力料は境内の案内多言語化や清掃、文化財維持に使います」といった形で、明確な用途説明があれば、反発も起きにくくなります。

③ 明確な条件と説明(言語・掲示)

「日本国籍の有無」ではなく、「国内居住者であるかどうか(免許証や住基カードで証明)」と明確に定義することで、“差別ではなく区分”であることを強調できます。

おわりに:文化に近づける社会のために

文化財や名所旧跡は、日本人にとって誇りであり、大切な日常の風景でもあります。

インバウンド観光が発展していくのはとても喜ばしいことですが、同時に、日本に暮らす人々が“文化から遠ざかってしまう”ような状況は避けたいとも思うのです。

今回ご紹介した「ツーリズム協力料」という考え方は、そのバランスをとるための小さな提案です。

お寺や神社、美術館が、訪れるすべての人にとって気持ちよく過ごせる場所であり続けるために──。いま、制度を見直すタイミングが来ているのではないかと感じています。


📣 あなたはこの制度、どう思いますか?
共感いただけたら、ぜひスキをクリックしてください。


いいなと思ったら応援しよう!