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⑤47都道府県を巡り見えた「インバウンド」の未来|アジアからの観光客が地方を救う鍵

全国47都道府県を旅していて気づいたのは、インバウンドの旅行者をうまく取り込んだ都市は、どこも街に活気があるということでした。

札幌・京都・大阪・福岡といった政令指定都市はもちろん、小樽や奈良、静岡、愛媛、長崎、熊本なども、人通りが多く、観光施設や飲食店がにぎわっていました。特に印象的だったのは、すれ違う観光客の人々、一見日本人かなと思うグループも含めて、あちらこちらで外国語が飛び交う光景。街全体が観光客向けに整っているというより、「観光客が街の一部になっている」ような自然さを感じました。

逆に、青森・秋田・岩手・高知・徳島・岡山・宮崎といったエリアでは、日本人観光客も少なく、海外からの訪問者はほとんど見かけませんでした。延岡市の夜の商店街を歩いたときには、長い距離にわたってシャッターが閉まったままで、どこか寂しい気持ちになりました。

この違いを分けているのは、「地理的な近さ」や「アクセスの良さ」だけでなく、“アジアからの訪日需要”をどう捉えているか、ではないかと感じています。

■ 地方のインバウンド成功事例|佐賀空港と長崎港が「新しい入り口」になる理由

最近、韓国から佐賀空港へのフライトが片道5,000円程度という報道を目にしました。LCCを活用した訪日ツアーが人気を博しており、佐賀空港はアジアから日本への玄関口として静かに注目されているようです。

福岡や長崎、熊本といった周辺県にもアクセスしやすく、格安ツアー客が流れ込む拠点になっています。佐賀空港のような地方空港が、インバウンドの起点となることで、観光の流れも変わりつつあります。

また6月に訪れた長崎では、「Spectrum of the Sea(スペクトラム・オブ・ザ・シーズ)」という17万トン級の豪華クルーズ船が上海から入港した直後で、観光地はどこも中国人旅行者で大混雑していました。従来からの欧米からの観光客も多く、長崎港はまさに“世界の寄港地”としての存在感を放っていました。

長崎港に到着した豪華クルーズ客船と佐賀空港から近い吉野ケ里遺跡

港や空港を入り口とした戦略は、今後さらに重要になっていくはずです。

■ 大都市圏との「連動」が成功の鍵|富士山や奈良公園の事例

一方で、アクセスの良さが“地味に”効いているエリアもあります。

たとえば奈良。大阪から電車一本で行けるため、関西を訪れる外国人観光客が日帰りで足を延ばす定番スポットになっています。奈良公園では、鹿と戯れているのは日本人よりむしろ外国人。しかも、アジアだけでなく欧米からの姿も目立ちました。

また、静岡や山梨にある富士山の集客力は圧倒的です。登山を目的に訪れる人もいれば、富士山とコンビニを一緒に撮るためだけに周辺を訪れる旅行者がたくさんいます。6月の平日でも登山口付近には外国語の看板が多く、世界中の人に「行ってみたい日本」が実現されているのだと実感しました。

富士山の五合目と奈良公園に集まる訪日外国人の皆さん

こうしたスポットは「都市圏との連携」が上手くいっていることで、人の流れを生み出しています。

■ なぜアジアからの訪日客は「リピーター」が多いのか?

観光庁の統計によれば、訪日外国人の約7割はアジア圏から来ています。
とくに韓国・台湾・中国本土、香港・東南アジア諸国からの訪問者が多く、そして、「何度も訪れる」リピーター型の観光が主流となっています。

日本にとって、アジアの近さは大きな強みです。時差も少なく、LCCの路線も多い。観光目的に加えて、ビジネス、親族訪問、買い物、そしてアニメやグルメなどのカルチャーを軸に訪日する人もいます。

私も最近の旅では、韓国人観光客が奈良の寺で仏像を熱心に撮影していたり、台湾からの一団がお遍路巡りをしていたり、外国人の若者グループが博多の屋台で豚骨ラーメンの食べ比べをしていたりする場面に遭遇しました。もはや、日本の観光資源は「見る」だけでなく「体験する」「つながる」方向に広がっていると感じます。

博多の屋台にもお遍路のお寺にも外国人がたくさん

■ これからの「地方創生」に不可欠な、アジアからのリピーター戦略

日本中を巡って思ったのは、地方都市こそ、アジアからの観光客との接点を育てていくべきだということです。

そのためには、LCCのさらなる誘致、港湾整備、多言語対応、デジタル観光パスの導入など、ハードとソフトの両面での準備が必要になります。

また、地元の人々との交流の仕掛けも大切です。お遍路中に出会ったイギリスからの歩き旅のベテランさんが、「この旅では各地でお接待してもらった」と日本の優しさに感心していました。遠くから訪れてくれる人にとって、日本の“人の優しさ”は大きな記憶に残るはずです。

私は、九州や関西の地方都市がインバウンドのチャンスを活かせば、そして、その経済的、文化的な前向きなインパクトがもっと世間に知られれば、全国へとその流れが広がっていくのだと信じています。


以上、お読みいただきありがとうございました。
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