マイクロプラスチックを体外へ排出する可能性〜キトサンの最新研究まとめ〜
私たちが毎日生活する中で、プラスチックの微粒子(マイクロプラスチック)を食事や飲み水を通じて知らず知らずのうちに飲み込んでしまっている問題が、世界中で関心を集めています。
キトサンがマイクロプラスチックを体外に出しやすくするかもしれない、という研究について
エビやカニの殻から作られるキトサンは、消化されにくい不溶性の食物繊維です。この成分が、体内に入ったマイクロプラスチックを排出する助けになる可能性があるという研究が、近年注目されています。
2025年4月にScientific Reports(東海大学の研究チーム)で発表されたラット実験では、具体的な排出促進効果が報告されました。
Ingesting chitosan can promote excretion of microplastics
2026年5月頃にJournal of Xenobioticsで公表された小規模な人間を対象としたパイロット試験でも、血液中のマイクロプラスチック濃度低下が観察されています。
以下に、研究を整理してまとめます。
胃の中でできる「見えない網」の仕組み
キトサンは胃のような酸性の環境(低pH)に入るとプラスに帯電します。一方、マイクロプラスチック(特にポリエチレンなど)や余分な脂肪、コレステロールなどはキトサンと結びつきやすい性質を持っています。これらが胃や腸の中で混ざると、プラスチック粒子を包み込むようなジェル状のネットワーク(網のような構造)が形成されます。この網がフィルターの役割を果たし、プラスチックが腸壁から吸収されるのを防ぎ、便と一緒に体外へ排出される仕組みです。
試験管内実験や動物実験でこのネットワーク形成が確認されており、ビタミンCなどの酸性物質を併用すると構造がより安定しやすいという報告もあります。
The trapping mechanism occurs in the stomach, where chitosan becomes fully solubilized and forms micro-networks stabilized by starches and organic acids such as tartaric acid (added to the formulation) and ascorbic acid (present in foods). Electron microscopy and stereomicroscopy document the formation of these networks, which can incorporate lipid-based substances (i.e., fatty acids, cholesterol) and interact with MPs through ionic bonds and additional forces (i.e., Van der Waals, hydrophobic interactions), generating complex matrices within the chyme [17].
研究で確認されている主な結果
✔️東海大学のラット実験(2025年4月、Scientific Reports掲載)
ポリエチレンのマイクロプラスチック(平均200μm)を混ぜた餌を与えたラットで、キトサンを与えたグループと与えなかったグループを比較。
キトサン群では便の量が増加し、排出されたプラスチックの量が明らかに多くなりました。
特に排出率が約115%となった点が注目されています。これは新しく摂取した分を超える量が排出されたことを示唆し、以前に体内に蓄積していた分も排出された可能性があります。
✔️人間を対象とした小規模試験(2026年、Journal of Xenobiotics)
健康な成人21名を対象としたパイロット試験で、キトサンサプリメント(0.8g/日)を15日間摂取したグループでは、血液中のマイクロプラスチック濃度が約26%低下したという結果が得られました(対照群では有意な変化なし)。
まだ人数が少なく短期の試験ですが、一定の可能性を示すデータとして注目されています。
日常での取り入れ方
キトサンはすでにコレステロール対策などの健康食品として市販されており、安全性の高い成分として広く利用されています。サプリメントの形で手軽に摂取可能です。
取り入れ方のポイント:
胃が酸性になりやすい食事のとき、または食直前に摂取する
ビタミンCと一緒に摂ると相乗効果が期待しやすい
ただし、研究はまだ発展途上であり、個人差もあります。
注意点
エビやカニアレルギーのある人は使用を避けてください(甲殻類由来のため)。
脂溶性ビタミン(A、D、E、K)や一部の薬の吸収を妨げる可能性があるため、推奨量を守り、過剰摂取は控えましょう。
持病がある方や薬を服用中の方は、必ず医師に相談してください。
まれに胃腸の不調が出る場合もあります。
まとめ
現代ではプラスチックを完全に避けるのは困難です。
そうした中で「体に入ったものをどう効率的に排出するか」という視点は重要だと感じます。
エビやカニの殻という天然素材がその一助になるかもしれないという点は興味深いです。
まだ研究の初期段階です。過度な期待はせず、一つの選択肢として参考にしていただければと思います。
※サプリメントの摂取は自己責任でお願いします。
