「営業で人を動かすには、3つしかない」
「営業で人を動かすには、3つしかない」
これは、故・中坊公平氏の言葉。
法曹界では伝説のように語られる存在でありながら、
現場主義を貫いた稀有な人物。
その彼が残した、営業にも通じるこの名言を、
私はずっと心に刻んでいる。
「営業で人を動かすには、3つしかない。
正面の理、側面の情、背面の恐怖。」
この言葉を初めて知ったのは、営業マン時代。
当時の私はまだまだ経験も浅く、
商品知識を武器に“正論”で説得しようとすることが多かった。
当然、なかなか売れない。
なぜ響かないのか、なぜ動いてもらえないのか、
答えが見つからずに悩んでいた。
そんな時、この言葉に出会った。
正面の理 ― 理屈で納得させる力
数字、実績、ロジック。
相手が合理的思考を重んじるタイプなら、
まさにこの“正面突破”が有効だ。
・導入によるコスト削減効果
・競合他社との比較データ
・実際の事例を用いたシミュレーション
理で攻める営業は、情報に強く、説得力がある。
ただし、データだけで人の心は動かないこともある。
冷静な判断が下せる“状況”にあるときにしか効かないからだ。
側面の情 ― 感情で心を揺さぶる力
「社員の方々が、もっと働きやすくなります」
「前任から、御社は大切なお取引先だと聞いています」
「このサービスで、お客様の仕事がもっと楽になります」
人は、感情の生き物。
思いやりや共感、信頼関係が大きく動機になることも多い。
特に、中長期での関係構築を目指す営業には、
この“情”のアプローチが欠かせない。
背面の恐怖 ― 未来のリスクを提示する力
「今のままだと、競合に一気に持っていかれます」
「業界の制度が変わる前に対応しないと、手遅れになります」
「御社の大口顧客、離れていく可能性が高いです」
耳障りは悪いが、インパクトは強烈。
リスクや“取り返しのつかない未来”を可視化することで、
人はようやく動き出す。
ただし、言い方を間違えると
恐怖を煽るだけの営業になるので注意が必要だ。
相手を尊重し、あくまで「警告」や「未来予測」として
伝えることが重要。
自分と相手、そして“今”を見極める
この3つは、どれが正解というものではない。
営業の現場では、
相手のタイプ、タイミング、自分の得意なスタイル――
その“掛け算”によってベストなアプローチが変わる。
理で攻めるべきか。
情でつなぐべきか。
恐怖を伝えて気づきを与えるべきか。
日々の営業活動の中で、
私は何度もこの3つのフレームに立ち返っている。
最後にひとつだけ
この言葉は、営業だけでなく、
マネジメントや人間関係にも通じる
「人を動かす原理原則」だと感じている。
・論理で道を示し
・感情で寄り添い
・恐怖で背中を押す
すべては、相手のために行うアプローチであることが大前提だ。
人を動かすとは、力でねじ伏せることではない。
相手の内側にある“変わりたい”を引き出すこと。
そして、そっと背中を押すこと。
だから私は、これからもこの言葉を胸に仕事を続ける
