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統合報告書ができるまで② 統合報告書の読み手

今回は、我々が制作した統合報告書が、実際にどのように使われているかを私の経験を踏まえてお話ししたいと思います。

※前回の記事


投資家

統合報告書の主な読者として、まず挙げられるのが投資家です。前回の記事でも触れたように、投資家は統合報告書を通じて、企業の現在の状況や将来像を理解しようとしています。
私自身も投資家から統合報告書に関するフィードバックを受けてきましたが、特に注目されるポイントは以下の通りです。

① 役員メッセージ

役員メッセージの中でも、社長とCFOのメッセージは統合報告書の核となる部分です。多くの投資家が注目するのは、経営トップがどのような想いで経営に取り組み、どの方向を目指しているのかという点です。そのため、トップの言葉をそのまま伝えることが重要になります(これが意外と難しいのですが……)。特に、社長のメッセージが自社の「マテリアリティ」や今後の企業戦略と結びついていることが求められます。

社長メッセージが会社の将来像を語る「定性的な情報」を提供するパートだとすれば、CFOメッセージは「定量的な情報」を語るパートといえます。具体的には、社長が描いたビジョンに対して、どのように資本を投下するのかが問われます。
投資家が特に関心を持つのはキャッシュアロケーション(資金の配分)です。稼いだキャッシュを設備投資(成長投資・更新投資)、株主還元(配当・自社株買い)、内部留保など、どこに配分するのか。その背景となる方針や意図を明確に説明することが重要です。

私の経験から言えるのは、投資家は必ずしも配当を増やすことを望んでいるわけではないということです。企業が成長のために必要と判断するのであれば、設備投資や借入金の返済に優先的にキャッシュを振り分けることも選択肢の一つとして受け入れられます。大切なのは、どのような方針でキャッシュを使うのかを明確に示すことです。

② マテリアリティ

マテリアリティとは、企業が優先的に取り組むべき重要課題のことを指します。近年、多くの企業が自社のマテリアリティを特定し、公表しています。特に、ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点に基づいてマテリアリティを設定するケースが一般的です。

しかし、単にマテリアリティを特定するだけでは不十分で、最近では「KPI」(重要業績評価指標)の設定や、それを活用した進捗管理が求められるようになっています。KPIを設定することで、特定したマテリアリティの達成状況を数字で管理することが可能となり、目標達成に向けた具体的な進捗を示すことができます。これは、「重要課題を認識した以上、定量的な目標をもって管理するのが当然」という考え方によるものです。

就活生
以前は統合報告書の主な読者といえば投資家でしたが、近年では就活生が統合報告書を読み込み、面接に臨むケースが増えてきたようです。
終身雇用が保証されない時代において、自分が就職を希望する企業がどのような方向に進んでいるのか、経営トップが何を考えているのかを把握することは、就活生にとって大きな関心事となっています。

統合報告書の読者層が広がったことで、今後の統合報告書には、内容の充実だけでなく、読みやすさや視覚的なキャッチーさも求められるようになると考えています。

以上、統合報告書の主な読み手と彼らが関心を持つポイントについて、私の経験をもとに述べてみました。次回以降では、具体的な作成プロセスについてお伝えしていきたいと思います。

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