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私を変えた四本の映画。……と、『バービー』

これまでの人生で映画をそれなりの本数見てきた。

振り返れば、「面白かった」と思う映画はいくらでもある。感動した映画も、泣いた映画も少なくない。

ただ、不思議なもので、「私を変えた映画は?」と聞かれると、思い浮かぶのは、たった四本だけだ。

一本目 『椿三十郎』

最初の一本は、『椿三十郎』。

用心棒より椿三十郎派です。そういや用心棒と椿三十郎って公開が一年しか違わないのに
なんであんなにフィルム保存の状態が違うんでしょうかねぇ
4K修復版でも画質が違いすぎませんか…

きっかけは、黒澤明監督の追悼特集でテレビ放送されていたことだった。

それまで黒澤映画は真剣に観たことが無かった。正直に言えば、「古い映画でしかも白黒の時代劇だから、自分には少し難しいのではないか」と思っていた。

ところが、見始めると止まらない。会話は軽妙で笑え、物語はテンポがいい。三船敏郎演じる三十郎をはじめ登場人物は魅力的だ。仲代達矢演じるライバルも、加山雄三をはじめとする当時の東宝若手俳優たちもいいキャラをしている。

そして最後の、映画史に残るあの決闘。

見終わったあと、頭に浮かんだのは、麻布十番の浪花家総本店のたい焼きだった。頭から尻尾まで餡がぎっしり詰まっているように、この映画も最初から最後まで一切無駄がない。どこを切っても面白い。「名作だから面白い」のではない。純粋に娯楽作品として、滅法面白いのである。

この映画を見て以来、私は本格的に映画を見るようになった。

二本目 『サンセット大通り』

二本目は、『サンセット大通り』。

そういやこの後『マルホランド・ドライブ』も見たんですが
未だにこの映画へのオマージュ部分を見つけられてません
誰か教えてください。

この作品は、一本の映画というより、映画史への入口だった。

それまで白黒のハリウッド映画は、自分とは縁のない世界だと思っていた。ところが、この作品は驚くほど現代的で、ブラックユーモアも効いていて、最後まで夢中になってしまった。そして映画が終わると、今度は映画の外が気になった。

グロリア・スワンソンとは誰なのか。執事を演じているシュトロハイムとはどんな人物なのか。本人役で出演しているセシル・B・デミルはどんな作品を撮影したのか。バスター・キートンたちが活躍したサイレント映画とはどんな時代だったのか。

一本の映画が、そのままハリウッド黄金時代への入口になってしまったのである。

以来、私は昔の映画を積極的に見るようになった。

三本目 『ガールズ&パンツァー 劇場版』

三本目は、『ガールズ&パンツァー 劇場版』。

ガルパンはいいぞ!
最終章が何年目に突入したかはあえて数えないでおきたい。

この作品は、映画館というものの見方を変えてしまった。

爆音上映、Dolby Atmos、4DX。

「映画館なんて、どこで見ても同じだろう。」

そう思っていた自分が、完全に間違っていた。映画館が変わるだけで、作品そのものの印象まで変わる。砲撃音が腹に響く。履帯が床を震わせる。立川シネマシティで爆音上映を体感したときは驚愕した。川崎チネチッタやイオンシネマ幕張などにも遠征した。

「ああ、映画館って映像を映す箱だけじゃないんだ。体験をする場所なんだ。」

そう気付かされた。

以来、私は映画館を選ぶようになった。

どのスクリーンか、どんな音響か、どの席に座るか。

映画を見るという行為に、「どこで見るか」が加わったのである。

四本目 『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』

四本目は、『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』

悪魔ほむほむ最高や!円環なんか最初からいらんかったんや!

最後の十五分間には、本当に驚いた。

「あ、ラスボスは悪魔ほむらなんだ。」(軽くネタバレしてますが、もういいですよね?「I am your father.」レベルのネタバレなんですけどね。)

あの瞬間の衝撃は、今でも忘れられない。

「やったぜ、ほむほむ!そのまま突き進め!やっちゃえ!」
「やってやった!やってやった!ほむほむ最高や!円環なんか最初からいらんかったんや!!」

そんな気持ちで見ていた。

テレビシリーズから積み重ねてきた物語を、最後の最後で大胆にひっくり返す。あそこまで思い切った結末を描いた作品を、それまで私は見たことがなかった。

この映画以来、「物語はどこまで観客を驚かせられるのか」という視点で映画を見るようになった気がする。

でも、普段はシネフィルっぽいことも言います😏

好きが高じて大学は文学部を選び、某映画評論家の講義も受けた。ケチョンケチョンにされた。人生であれほどケチョンケチョンにされたのは、あれ以来ない。映画作りにさらりと触れたこともある。その後、一応、名作と言われるような作品は見てきたつもりだ。ハリウッドならD・W・グリフィスから始まり、ビリー・ワイルダーやウイリアム・ワイラー、ペキンパーにキューブリック、ルーカスやスピルバーグ、映画作るの速すぎ上手すぎおじいちゃんことクリント・イーストウッド作品まで見てきた。フランス映画は最初訳がわからずヌーヴェルヴァーグを観てたけど、なんだかんだでかっこいいなあ。先年パリに行ったときは『勝手にしやがれ』のロケ地を探訪してきた。日本映画は小津は正直まだ理解出来てない。溝口はすごいなぁ。でも一番好きなのは『幕末太陽傳』…

とまあ「😏シネフィル」らしく、「😏やっぱりキューブリックはすごい。」「😏市民ケーンのショットは……」などと、それらしいことを語ることもある。

そして、コッポラの一連の作品、『ゴッドファーザー』『ゴッドファーザー PART II』も大好きである。

『ゴッドファーザー』は間違いなく100点満点で100点の映画だと思う。ちなみに Part II は100点満点で5億点の映画だ。

あのレストランの場面はすごいよね😏

……と思うのだが。

『バービー』を見て以来、あまり気軽に『ゴッドファーザー』を語れなくなってしまった。

😄😊にこにこニヤニヤシーンの破壊力は生涯見た映画の中でもぶっちぎりナンバーワンだ😭

『バービー』の中盤で、男性が得意げに『ゴッドファーザー』を「あのコッポラが作った芸術でね……」と熱弁し、それを女性が終始、😄にこにこ、😊ニヤニヤしながら聞いている場面がある。

映画館で見ながら、私は心の中で叫んだ。

「やめてくれ!!!😭」
「それ、昔の俺かもしれない!!!!😭」
「いや、今の俺だ!あの男は今の俺だ!!!!!😭」

思い切り刺さった。ぐっさりと心の奥底まで刺さった。そして泣いちゃった😭

以来、『ゴッドファーザー』に限らず映画をシネフィルのように語ろうとすると、頭の中にはあの女性の笑顔😄😊が浮かぶ。

完全に呪いである。

だから最近は、「😏この映画は映画史に残る傑作だ。」「😏この監督は天才だ。」という話よりも、「😁この映画で自分は映画を見るようになった。」「😁この映画で昔の映画を見るようになった。」というような話をするようになった。

その方が、自分にとっても自然だし、聞いてくれる人とも映画を共有できる気がする……と思っていた。

ところが先日、ふと『バービー』のことを話そうとしている自分に気付いた。

「😏いやあ、『バービー』って本当にすごい映画でね。マーゴット・ロビーがプロデューサーとして企画から関わっていて、そうそう、あのハーレイ・クイン役の。マーゴット・ロビーって派手な外見で勘違いされてるんだけど、実は凄い作り手で、『アイ・トーニャ』ではあの黒澤明と橋本忍が書いた『羅生門』みたいな構成を──」

…………。

😄「へぇ〜。」

😊「そうなんですね〜。」

……って、また『ゴッドファーザー』を語っている男じゃないか。

やだーーーーーーーー🤣

やだーーーーーーーーーーー😭

どうやら人間というものは、本当に好きなものについては、結局語らずにはいられないらしい。

『バービー』は、私にとって、映画の語り方を変えようと意識させた映画だった。

……もっとも、そのことを延々と語っている時点で、反省が生かされているのかどうかは、かなり怪しいのだけれど😏。


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