共通テスト前日、断られる
【共通テスト前夜】「塾に行きません」という言葉に、私は最高の成長を見た。
共通テスト前夜。 塾講師という生き物は、この時期になると妙にソワソワします。 まるで、初めてのおつかいを見守る親。
「何か言い残したことはないか?」 「最後の一押しが必要じゃないか?」
そんなおせっかい心が爆発しそうになる、
私は一人の生徒に声をかけました。
「来ません」は、最高の合格サインだった
「よかったら塾に来て、少し確認する?」
中1からずっと見てきた、付き合いの長い生徒です。 不安で顔をこわばらせて「行きます…!」としがみついてくるか、あるいは「何したらいいですか!?」とパニックになっているか。
しかし、返ってきた答えは、拍子抜けするほどはっきりしていました。
「今日は家で、一人で落ち着いて確認したいです」
…あれ。 私の出番、終了のお知らせ?(笑)
文系の彼に対して直前に教えられることは、もうそれほど多くありません。 それでも、講師としての「最後くらい何かしてやりたい欲」が、空振りに終わった瞬間でした。
でも、その潔い拒絶(笑)を聞いたとき、不思議と胸が熱くなったんです。 「ああ、この子はもう大丈夫だ」と。
受験前日に「自分を信じる」という難問
試験前日。 人は、弱くなる生き物です。
不安すぎて誰かにすがりたい。
ギリギリまで新しい知識を詰め込みたい。
塾に行けば、何かが魔法のように解決する気がする。
そうやって「外」に答えを求めたくなる夜に、彼は「自分」を選びました。
今日は新しいことはやらない。
環境を変えない。
自分のペースを守る。
これを自分の意志で選択できるようになったこと。 それこそが、6年間の価値のある「成長」だと思ったのです。
前日は「準備」ではなく「調律」の時間
共通テストを受ける皆さんに、あえて言いたい。 前日にできることは、実は驚くほど少ないです。
今から偏差値を10上げるのは無理です。 でも、「持っている力を100%出すための調整」ならできる。
受験前日は「勉強」の日ではありません。「調律」の日です。 ギターの弦と同じで、パンパンに張りすぎれば、いざという時にブチッと切れてしまいます。
早く寝る(これ、最強の裏技です)
いつも通りの確認だけにする
「やってきた自分」を疑わない(自分だけは味方でいてあげて)
静かに、落ち着いて、いつも通り。 それが、試験会場で一番強い武器になります。
明日、問題用紙を開く君へ。
明日、試験会場で問題用紙を開く瞬間。 緊張で指が震えるかもしれません。 でも、大丈夫。
今夜、君が自分で選んだ「静かな時間」と、積み上げてきた日々が、必ず背中を支えてくれます。
点数を稼ごうとしなくていい。 ただ、今の君が持っているものを、淡々と、丁寧に、紙の上においてきてください。
いってらっしゃい。 最高の「いつも通り」を。
