あざといのはどっち?
告白って、準備しちゃうとダサくなる。
そう思ってた時期もあったけど、実際やるとなると、準備せざるを得ない。
相手は、ひとつ上の先輩。村上優翔。
名前からして爽やかだが、見た目も例外なくそのまま。
部活はバレー部。成績は普通。性格はやさしい。つまり、モテる。
モテるって言っても、クラスの女子たちが黄色い声で騒ぐような類じゃない。
なんというか、「ちょっと近づけば落とせそう」な雰囲気がある。
で、実際には誰も落とせてない。
私はそこに賭けた。落とすんじゃない。落ちるのを待ってもらう。
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戦略は3つ。
ひとつ、登校タイミングを合わせて、ホームで軽く会釈する関係をつくる。
ふたつ、購買で同じメロンパンを買う。彼と同じタイミングで。
みっつ、つまずいて転ぶ。わざと彼の前で。体育館裏の段差を利用する。
要するに、偶然を装って存在を刷り込んでいく作戦だ。
名前を憶えてもらい、なんとなく気になる存在になる。それだけでいい。
うまくいってると思った。
購買で会うたび「よく買うね」なんて言ってきた。
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私の中で機は熟した。
夕方、中庭のベンチ。思ったより風が強くて、髪が口に入ってきた。
彼はまっすぐ前を見ていて、私はそれを斜めから見た。
「先輩、……好きです」
声はよく出た。詰まらなかった。
思ったより早口だったかもしれない。
彼は、少し間を置いてから言った。
「……ごめん。気づいてた」
え?そうなの……?
「朝とかさ、購買とか……。最初は偶然かと思ったけど、続くからね。
そういうふうに見られるの、うれしかったよ」
彼は言葉を続ける。
「……でも、誰かに強く見られると、引いちゃうんだ。
自分が何者かバレる気がしてさ。逃げたくなるんだよね、そういうときって」
それが彼の答えだった。
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次の日、ファミレスで親友のゆいに話した。
ポテトをシェアしながら、私は自分の計画の穴をひとつずつ検証していた。
「ってことはさ、最初からバレてたわけ?私の作戦」
「バレてたっぽいね」
「そんで、何も言わずに、告白させたってわけ?」
ゆいはポテトにケチャップをつけすぎて、ちょっと後悔してる顔になった。
「それってつまりさ、向こうの方が一枚上手だったってことじゃない?」
「……え?」
「だって、好かれてるのわかってて、黙って泳がせて、
告白されたら上手に断るって、だいぶ仕上がってるよね」
「戦略、ってこと?」
「そう。あんたが仕掛けたつもりだったけど、あの人の方が……」
そこで一呼吸置いて、ゆいはちょっと笑って言った。
「あざとい」
