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昼下がり、麻薬王とともに

昼下がり。
静かな土曜。予定はない。
いや、あえて入れていない。

朝は6時半に起きて、ヨガスタジオへ。いい汗をかいて、冷たいルイボスティーを飲んで、帰りにスーパーで1週間分の食材を買い込んだ。レタスの緑がしゃっきりしていたから、ランチはサンドウィッチだ。

洗濯物も干し終えた。部屋はそこそこ整っている。静かで、満ち足りていて、なんでもない土曜。

さて、と。
ソファに沈み、エアコンの風をゆるく感じながら、Netflixを開くと例のやつを勧めてきた。

『世界の麻薬王』。

おそらくアルゴリズムが「あなた昼寝しますよね?」と見抜いているのだろう。
画面が暗くなり、あのナレーションが始まる。

> 「1970年代、コロンビアの山岳地帯では…」

そう、この声。
抑揚がなくて、どこか眠気を誘う
“昼寝のための麻薬王”

スピーカーから流れてくるのは、中南米の地名、カルテル、運び屋といった物騒な言葉ばかり。
それらがまるで催眠術のように、静かに私の意識を手放させていく。

気づけば、目を閉じていた。
ほんのり明るいカーテン越しの光。
遠くで誰かが通る音。
タイマーもかけていない。予定もない。
私のまどろみを邪魔するものは、何もない。

この時間がいつまでも続くわけじゃないことは、どこかでうっすら分かっている。

けれど今はただ、麻薬王に耳を貸しながら、静かにまどろむ午後。

土曜の昼下がり。
平和で、何より贅沢な時間。


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