不器用な爺です。「多数の認知症の高齢者を収容するのは、時代遅れ」
有料老人ホームに勤務中の話です。帰宅途中に、農作業をしている高齢者を見かけました。またしても、輝いて見えました。涙が出そうになりました。
理由は、認知症の高齢者が40人もが、一つのフロアーにいることによる刹那的な感覚でした。暴力に近い絶望感の刷り込みです。
グループホームに勤務時は、そのような感覚はなかったです。
毎日毎日、40人もの壊れた人の破綻した理屈を聞き、壊れて行く40人を見て、絶望していたわけです
「日本の老人ホームは、多数の認知症の人を閉じ込めているみたいで違和感がありますが、世界ではどうなのか?」
特に「福祉先進国」と呼ばれる北欧(デンマークやスウェーデンなど)と日本を比較して、その実態を解き明かしていきます。
1. 北欧では「収容」という概念がすでにない
結論から言うと、北欧では日本のような「大きな施設に大人数をまとめて収容する」というスタイルは、1980年代から1990年代にかけてほぼ廃止されました。
彼らの根底にあるのは、デンマークで生まれた「高齢者三原則」という考え方です。
* 生活の継続性: たとえ介護が必要になっても、今まで通りの暮らしを続ける。
* 自己決定: どこで誰と暮らすか、何を食べるかは自分で決める。
* 残存能力の活用: できないことだけを助け、できることは自分でする。
北欧のスタイル:施設ではなく「住まい」
北欧では、認知症になっても「施設」に入るのではなく、「ケア付き住宅」に住み替えるという感覚です。
* プライバシーの徹底: 全室個室で、自分の使い慣れた家具を持ち込みます。
* 地域との共生: 住宅は街の中にあり、鍵をかけて閉じ込める(身体拘束や隔離)ことは法律や理念で厳しく制限されています。
2. メリットとデメリットの比較
日本と北欧、それぞれのやり方には光と影があります。
北欧スタイル(地域居住・小規模ユニット型)
メリット
尊厳の維持: 自分のペースで生活でき、認知症の周辺症状(イライラや徘徊)が落ち着きやすい。
自立の促進: 自分で料理や掃除を「お手伝い」として行うことで、脳への刺激になる。
デメリット
コストが高い: 手厚い人員配置が必要なため、税金や社会保険料が非常に高い。
家族の不安: 「自由に動ける=転倒や外出の際のリスク」があるため、見守りの目が重要。
日本スタイル(従来型の大型施設・有料老人ホーム)
メリット
効率と安心: 一箇所にまとまっているため、少ないスタッフで多くの人を24時間見守れる。
低コスト: 集団ケアにより、利用料を抑えた施設も選択肢に入る。
デメリット
画一的な生活: 起床、食事、入浴の時間が決められ、「管理される側」になりやすい 。
環境の変化: 「施設感」が強いため、入居を機に認知症が進行してしまうケースもある。
3. 日本も「北欧流」に近づいている?
実は日本も、北欧の成功例を見て指をくわえているわけではありません。
現在、日本で主流になりつつある「ユニット型」の特養や、地域密着型の「グループホーム」は、まさに北欧のモデルを日本版にアレンジしたものです。
※「グループホーム」も、北欧と比較すれば、時代遅れです。
しかし、現場では「人手不足」という大きな壁があり、理念(北欧流)と現実(管理型ケア)の間で揺れているのが日本の現状と言えます。
まとめ
世界的に見れば、「認知症の人を一箇所に集めて管理する」スタイルは、すでに過去のものになりつつあります。北欧では、認知症になっても「一人の市民」として、街の中で普通に暮らすことが当たり前になっています。
もちろん、日本には日本の良さ(効率性や家族の負担軽減)がありますが、これからは「安全に閉じ込める」ことよりも、「不自由があっても自分らしく暮らせる」場所を私たちが選んでいく時代になるでしょう。
