初心忘れるべからず― 原点を辿った先で見えたもの
■ はじめに;初心について
最近、私は改めて
「初心忘れるべからず」という
言葉について考えるようになりました。
この言葉は昔からありますが、
単なる精神論ではなく、
人が何かに夢中になるほど、
その意味が深くなる言葉なの
ではないかと感じています。
人は何かを始める時、案外シンプルな
理由で動いています。
・変わりたかった
・悔しかった
・憧れがあった
・楽しかった
・自信を持ちたかった
・自分を好きになりたかった
最初は、それだけだったはずです。

■ 続けるほど見失いやすくなるもの
しかし、物事を続けていくうちに、
その動機は少しずつ複雑になっていきます。
数字。
評価。
比較。
承認。
周囲からの期待。
そして、「頑張っている自分」を
維持したいという気持ち。
気が付けば、自分が何のために始めたのか
分からなくなってしまうことがあります。
これはSNSに限った話ではなく、あらゆる
継続行為の中で起こることですが、特に
発信という行為においては顕著に
表れるように感じています。
発信すること自体は悪いことではありません。
誰かの経験が、誰かを勇気づけたり救ったり
することもあります。
しかし一方で、人は発信を続けるうちに、
本来の目的よりも「発信される自己像」を
守ること自体が目的へとすり替わって
しまうことがあります。
本来は「自分自身のため」に始めた
はずなのに、
いつしか「その自分を維持するため」に
変わってしまう。
私は最近、その危うさを強く感じています。
そして、それは自分自身も例外では
ないと思っています。
だからこそ一度、自分が歩んできた道
の始まりを振り返ってみました。

■ 私の出発点― 社会人から大学進学への動機
幼少期を振り返ると、働きながら
夜間大学を卒業した叔父の話を、
祖母や母からよく聞かされて育ちました。
当時の私にとって叔父は、どこか
ヒーローのような存在でした。
働きながら学び続ける姿は、子どもながらに
強く印象に残っていたのだと思います。
そのような原体験もあり、大学へ
進学しなかったことへの後悔が心
のどこかに残っていました。
そして、
「叔父が歩んだ道を自分も経験してみたい」
という思いが重なり、私は28歳で大学進学を
志しました。
振り返ってみると、私は原点から随分と
遠くまで歩いてきました。
しかし不思議なことに、その道は決して
別の道ではなく、あの頃から続いていた
一本道だったようにも感じています。
もちろん、今もまだ旅の途中です。
それでも人生に迷いや不安を感じた時、
再び前へ進ませてくれる原点は確かに
存在しているのだと思います。

■ 出発点は何を教えてくれるのか
人の中には、夢や目標を目指す上で、必ずと
言っていいほど始まりの理由があります。
しかし、人は年齢を重ね、経験を積むほど、
その理由を少しずつ見失っていきます。
勉強も。
夢も。
競技も。
挑戦も。
続けることそのものが目的になったり、
周囲から期待される自分を守ることが
目的になったりすることがあります。
もちろん、それ自体が悪いわけでは
ありません。
しかしそこには、進んでいるはずなのに方向を
見失ってしまう危うさも潜んでいます。
だからこそ時々立ち止まり、自分が
なぜ始めたのかを振り返ることが
大切なのではないでしょうか。
何に惹かれたのか。
何を変えたかったのか。
どんな未来を思い描いていたのか。
そこには、不器用で未熟だったかも
しれないけれど、今よりもずっと素直だった
自分がいる気がします。
そしてその始まりを辿る中で、私は
一つの気づきを得ました。
私は単に「叔父と同じ道」を追っていたの
ではありませんでした。
その経験を通じて、自分自身の夢や
価値観そのものが新たに形作られて
いたのです。
原点とは、過去へ戻るための場所ではなく、
「どのように変化してきたのか」を
教えてくれるものなのかもしれません。

■ 終わりに
原点を辿る中で、私は一つの気付きが
ありました。
私はこれまで、自分が大学へ進学した理由は
「叔父と同じ道を歩んでみたかったから」だと
思っていました。
もちろん、それも間違いではありません。
しかし原点を辿る中で、そのさらに奥にある本当の理由が見えてきました。
私の本質的な原点は、
「自分を好きになりたかった」
という思いだったのかもしれません。
それは、幼少期の自己肯定感の低さを埋めたい
という願いでもありました。
大学への進学も、学び直しも、様々な挑戦も、
その根底には「今の自分を変えたい」という
思いがあったように思います。
そして、自分自身が少しずつ変わることが
できたからこそ、今は人の可能性も信じたいと
思っています。
人は変われる。
成長できる。
夢を持ち続けることができる。
そう信じたい気持ちは、自分自身の経験から
生まれたものなのだと思います。
原点とは、単に戻る場所ではなく、
新しい自分自身を形成していく出発点
でもあるのでしょう。
成長することは大切です。
努力することも大切です。
しかし、人は前へ進むほど、最初の気持ちを
見失いやすい。
だからこそ、初心を思い出すことは
「後退」ではなく、「軌道修正」なの
だと思います。
そして時には、自分の原点を辿ってみる。
そこには、忘れていた初心だけでなく、
成長した今だからこそ見えてくる新しい
自分がいるのかもしれません。
初心とは、未熟さではなく、
最も純粋だった頃の自分なのだと思います。
そして原点とは、その純粋な自分が
今も確かに続いていることを教えて
くれるものなのかもしれません。
【夢シリーズ】
夢は、未来の自分を信じ続ける旅。
学び直し、挑戦、自己肯定感、人生の原点――。
社会人学生として歩む中で見えてきた
「夢との向き合い方」を綴っています。
同じように夢を追う誰かの力になれば嬉しく思います。
これからも夢について考え続けていきます。
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