経営情報システム/スラッシング
用語のシンプルな定義(初心者にもわかる言葉で)
スラッシング(Thrashing)とは、主記憶装置(メインメモリ)が不足し、ページングやスワッピングが頻繁に発生することで、CPUがほとんど実際の処理を行えなくなり、システム全体の処理速度が極端に低下する現象です。
一言でいうと、
「メモリ不足でデータの入れ替えばかりしてしまい、本来の仕事ができなくなる状態」
です。
コンピュータは通常、必要なデータだけを主記憶装置へ読み込みながら動作しています。
しかし、メモリ容量が不足すると、
読み込む
↓
追い出す
↓
また読み込む
↓
また追い出す
という作業を繰り返すようになります。
その結果、CPUはデータの入れ替え作業に追われ、本来の計算処理がほとんど進まなくなります。
これがスラッシングです。
中小企業診断士試験では、「ページの入れ替えが頻繁に発生し、システム性能が大幅に低下する現象」と理解しておきましょう。

背景・例示
「Thrashing」は英語で、
「激しく暴れる」
「無駄に動き回る」
という意味があります。
コンピュータも同じように、忙しく動いているように見えて、実際にはほとんど仕事が進んでいません。
例えば、小さな机で勉強している様子を想像してみましょう。
机が狭すぎるため、
数学の教科書を出す
↓
英語を勉強するので数学を片付ける
↓
今度は理科なので英語を片付ける
↓
また数学なので理科をしまう
という作業ばかり繰り返してしまいます。
教科書の出し入ればかりで、勉強はほとんど進みません。
スラッシングもこれと同じです。
データの入れ替え作業ばかり増えて、本来の処理が進まなくなる現象です。
実務での使いどころ(経営者・現場がどう使うか、考えるか)
企業では、
サーバー
業務システム
データベース
仮想環境
クラウドサーバー
などでスラッシングが発生することがあります。
例えば、
多数の利用者が同時にアクセスした結果、
メモリが不足し、
ページングが大量に発生すると、
CPU使用率は高いのにシステム全体が非常に遅くなることがあります。
このような場合は、
RAMを増設する
不要なプログラムを終了する
同時実行数を減らす
メモリ設定を見直す
などの対策が行われます。
現在ではSSDの高速化によって以前より改善されていますが、スラッシングが発生すると依然として大きな性能低下を招きます。
他のフレームワークや用語とのつながり
スラッシングを理解するときは、
ページング方式
スワッピング方式
仮想記憶
主記憶装置
との関係を整理すると覚えやすくなります。
ページング方式は、
必要なページだけを入れ替えます。
スワッピング方式は、
プログラム全体を入れ替えます。
どちらも主記憶装置を効率よく利用する技術ですが、
入れ替え回数が多くなりすぎると、
スラッシングが発生します。
つまり、
ページング方式やスワッピング方式は便利な仕組みですが、
使いすぎると逆に処理速度が大きく低下することがあります。
試験では、
「ページング方式」
と
「スラッシング」
をセットで覚えることが重要です。
診断士試験としての出題傾向と対策
スラッシングは、仮想記憶方式の問題で頻繁に登場する重要テーマです。
難しい内部構造ではなく、
「なぜ遅くなるのか」
を理解することが重要です。
押さえておきたいポイントは次の8つです。
・主記憶装置不足で発生する。
・ページングが頻繁になる。
・スワッピングが増えることもある。
・CPUは入れ替え処理ばかり行う。
・実際の処理がほとんど進まない。
・システム全体が極端に遅くなる。
・RAM増設などで改善できる。
・ページング方式とセットで出題されやすい。
試験では、
「スラッシングとはCPU性能が向上する現象である。」
という選択肢が出ることがあります。
これは誤りです。
スラッシングはシステム性能が大きく低下する現象です。
また、
「スラッシングはページング方式とは無関係である。」
という問題も誤りです。
ページングが頻繁に発生することで起こる代表的な現象です。
覚え方としては、
「スラッシング=入れ替えばかり」
と覚えるのがおすすめです。
本来の仕事よりも、ページの出し入れが多くなる状態です。
近年ではクラウド環境や仮想サーバーでもメモリ不足によるスラッシングが問題になることがあります。
そのため、適切なメモリ容量を確保することは現在でも非常に重要です。
頻出問題1
スラッシングの原因として最も適切なものはどれでしょうか。
① 主記憶装置が不足し、ページの入れ替えが頻繁に発生すること。
② CPUのクロック周波数が高すぎること。
③ HDDの容量が不足すること。
正解
①
解説
スラッシングは、メモリ不足によってページングやスワッピングが頻繁に行われることで発生します。
頻出問題2
スラッシングが発生するとどうなるでしょうか。
① システム全体の処理速度が大きく低下する。
② CPU性能が大幅に向上する。
③ 補助記憶装置の容量が増える。
正解
①
解説
ページの入れ替え処理ばかり行うため、本来の処理が進まず、システム全体が遅くなります。
頻出問題3
スラッシングへの対策として最も適切なものはどれでしょうか。
① 主記憶装置(RAM)を増設する。
② CPUのクロック周波数だけを上げる。
③ ディスプレイの解像度を変更する。
正解
①
解説
RAMを増設するとページの入れ替え回数が減り、スラッシングを改善できます。
CPU性能だけを上げても、メモリ不足そのものは解決できません。
スラッシングは、主記憶装置が不足した結果、ページングやスワッピングが頻繁に発生し、本来の処理が進まなくなる現象です。
中小企業診断士試験では、「メモリ不足が原因であること」「ページの入れ替えが頻繁になること」「システム全体の性能が低下すること」「RAMの増設などで改善できること」を理解しておけば十分対応できます。
最後に一言でまとめると、
「スラッシングとは、メモリ不足によってデータの入れ替えばかりが発生し、本来の処理がほとんど進まなくなる現象ってことですね。」
