Photo by
jseyama
祭り会場後のボランティア
僕が中学生のころ、生徒会に入っていたこともあり、後輩が「兄貴」「兄貴」と慕ってくれた。その話。
1.加山君という後輩
僕が中学三年生のとき、加山君は一年生だった。
地元では、毎年夏に大きな池のほとりで花火大会が開かれ、その翌日に、一年生が中心となって会場周辺のゴミ拾いボランティアを行うのが恒例だった。
僕は生徒会員でもあったので、義務ではなかったけれど、その活動に自主的に参加することにした。
ありがたいことに、後輩の中には僕を慕ってくれる子も多く、加山君もその一人だった。
2.加山君の眼差し
ある日、加山君が僕のところに来て言った。
「兄貴、ボランティア活動に参加するんですか?」
「まあね」
「やっぱり、兄貴は違うなあ」
その言葉と眼差しには、ほんのりとした尊敬がにじんでいた。
僕は、ちょっとだけ――ほんのちょっとだけ――照れくさくなった。
3.ボランティア精神
加山君は、さらに続けた。
「じゃあ、兄貴も僕らと一緒に、落ちてるものを拾うんですね?」
その瞬間、僕は軽い冗談を言いたくなってしまった。
「そうだよ。お金を拾いに行くんだよ。ゴミじゃなくてね」
――言った瞬間、やってしまったと思った。
加山君は、真顔で「うそぉ……。先輩はゴミを拾いに行くじゃないですか」と言う。
……ああ、やっぱり伝わらなかった。
ブラックユーモアのつもりだったのに、完全にスベった。
しかも、尊敬のまなざしの中でスベるという、あの耐えがたい居心地の悪さ。
きっと僕は、加山君のまっすぐな視線に、少し気圧されていたんだと思う。
――わかってね、加山君。
