横回転アームのあれこれを紹介

ナカジマ杯後の湊

1.はじめに

横回転アームのといえばアームの先端に鎌がついている機体全般をさしますが、左右の足+攻撃アーム+上下動機構の4CH構成をとる形態が主流となりつつあるため、この上下動機構付き横回転アームを「(狭義の意味で)横回転アーム」と呼称し、そのほかの形態については「横に展開型」や「山に張り付く型」、等々、固有の呼び方がされている。この記事では横回転アーム≒上下動機構付き4CH機として扱っていく。

2.横回転アームの揺動機構を説明してみようと思ったら説明していなかった件

横回転のスライダリンクがどうなってるか分からんといった質問よく出るので資料作りたいと思っていた矢先に来年のルール発表で揺動撤廃。。。
今更丁寧に説明する気が失せてしまったので、↓にスライダリンク回した動画を張っておくのでこれで勘弁してくださいorz

3.Vテール横回転の操縦

通常、横回転アームはVテール操縦が一般的な傾向にある。
2024年現在私が観測している範囲では

電大、中大、大同→Vテール(8割)
立命だけ→差動(というか現役で稼働中の横回転アームが湊しかいない)
芝浦、大工大→現在横回転が居ない

という情勢
電大、中大は操縦しやすく、多数派に乗っかった結果。立命、大同はそれぞれVテール、差動が多いという文化的背景に引っ張られたものと解釈している。

さて、本題のVテール操縦へ↓↓

3.1 Vテールのメリット

  • 上下動が直感的に操作しやすい

  • 直進・旋回が操作しやすく足回りの操縦負担が少ない

  • 多くの選手がVテール派なので入りやすい

3.2プロポの各chの配置

ステイックの倒す方向とアームの回転方向の設定は個々の好みによるところ。今回は下図に示す配置で説明していく。

図1,プロポのch配置(Vテール)

3.3基本の型

型1 左右旋回
基本中の基本の動作。右側のステイックを左右に振るだけ。
この時気をつけたいのは鎌が障害物に当たらないかどうか。
自分の場合は鎌を回転させながら旋回して障害物回避してますが、慣れないうちは図3のような位相で保持して旋回のみに集中して練習するのがお勧め。この姿勢であれば上下動や鎌を操作する機会は極力減らせる。


図2


図3,待ち構える時の鎌の位相


型2 振り下ろし攻撃
ステップ1 鎌を上に上げた状態で待ち構える
鎌を上に上げることで相手にこちらの間合いを読みにくくできる。
(訓練を積んで自分の機体のリーチをしっかり覚えるべし)

図4

ステップ2 間合いに入った瞬間刈る
プロポの入力は以下の通り(図5)。対戦相手の反射神経を超える速さで振り下ろすことが肝になるのでプロポ側でしっかり速さの調整をしておきましょう。

図5


型3 前進+振り下ろし攻撃
相手がこちらとの間合いギリギリで揺さぶりをかけに来る時に使う技

ステップ1 山と機体の間に隙間を開けて待ち構える
始めから山に完全に張り付いているとこれ以上前に出られなくなるので敢えて前進する余地を残した位置に陣取る(図6)。

図6

ステップ2
相手が鎌の射程ギリギリまで近づいた瞬間こちらも前に出て攻撃(図7)
狙いを外しても、深追いせずステップ1に戻って仕切り直す。

図7

3.4応用の型

型4 山越え+振り下ろし攻撃
キマッたらカッコイイ!しかし、される方はたまったものではない!恐怖!
ステイック入力は3.3(図7)と同じ。
これに関しては操縦技術云々以前に足回りの完成度が要求される技。
設計に関しては4.2で紹介する。

図8

山越えのドラテクについて少し解説
添付動画では図9の①のように正面からまっすぐ山越えしている。左足と山の斜面の向きをきれいに揃えるのがポイント。動きをよく見ると車体が山を登りきるまで4足全てが地面を捉えている。繰り返しにはなるが、機構設計ありきで実現しているので詳細は後述。
さて、ではメカの性能的に①が無理な場合、②のような方法もある。イメージとしては山の側面を機体が走る感じ。①とは逆にちょっと斜めから入る。
(差動とVテールで向き不向きはあるかもしれない)

図9

型5 バックで旋回+鎌で攻撃
理屈の上ではできそうだが、個人的にはかなり難しい操作。
実際、実戦で実践できていた人を自分は1人しか見たことがない
どうしても途中で山に引っ掛かる。。。

図10

Vテールでのステイック入力は以下の通り

図11

4.湊mk-3(差動操縦)の機体紹介


図12

4.1機体コンセプト

  • 山越えを使って攻撃したい

  • 重心位置の異なる2ユニットを換装

  • 対戦相手に応じて3種類の鎌ユニット

①山越えを使って攻撃したい
横回転アームは一般に守りに重きを置いた戦術が取られる。
しかし、自分は勝率を上げていくためには、突っ込んで来る相手を待ち構えて刈る以外の勝ち筋も選択肢として欲しいと考えた。相手が隙を見せればこちらから攻勢に転じてチャンスは積極的に取りに行きたい。

↓山越えの動画

https://x.com/i/status/1822334345790849134

②重心位置の異なる2ユニットを換装
アームユニットには前重心型と真ん中重心型の2種類用意した。
使い分けとして
(図13右側)前重心→対横回転、ロングロッド
(図13左側)真ん中重心→その他の機体構成(特に小型機)


図13

③対戦相手に応じて3種類の鎌ユニット
鎌についても対戦相手に応じて3種類用意した(図14)
A鎌→対ロッド(長射程4枚刃×3)
B鎌→対小型機(短射程 通常鎌+4枚刃×2)
C鎌→対横回転、大型フルクロスシールド(長射程 通常鎌+4枚刃)

図14

4.2機体コンセプトを実現するための機構設計

①山越えのための脚の設計パラメータ
ここで取り扱う主なパラメータは4つ
地面と底板高さ、ホーイールベース、脚の大きさ、サスペンションの可動域

HBとRについては人から教わったパラメータそのままなので公開しないことにする。(全てのパラメータを知りたい方は大会、練習会で聞きに来てください)

図15
図16



山越えのポイント①:底板と山の接触回避
山越えできない機体の多くは機体のフレームに問題があります。
途中までは登れるけど、山の角とフレーム(主に底板)がぶつかって乗り越えられないと感じた場面はないでしょうか?(図17)
湊の場合h=50mmでこの問題は解決した。勿論これはパラメータhのみだけでなく、Rやサスペンションの可動域及びバネ硬さとセットの問題となる。

図17


山越えのポイント②:HBとRの比率
HBとRのバランスをとることで足が山に対してきちんと接地するようになる。(+サスの下限も影響)

悪い例として
R小さめHB長い→走破性悪い、旋回性能低い
R大きめHB短め→バランス崩してこけやすい(ただでさえ重心バランス悪い横回転にはキツイ話)

また、サスの可動域を下に大きめにとることは山越えで有利になる。
というのも、機体が傾くことで山に乗せている側の脚にはあまり荷重がかからなくなる。これによりサスペンションが下に下がり、一時的にHBは小さくなり、結果として地面に足が接地しやすくなる(図18)


図18

まとめると
サスペンション→下限を大きくとる
ホーイールベースHB→長過ぎず短め過ぎず
脚の大きさR→大きい方がいい
地面と底板高さh→高い方がいい(機体重心が上がり過ぎない範囲で)


②横転防止ウイング
フルクロスをつけたシールドへのアプローチとして相手のお尻を狙う方法がある。しかし、構造的に左からの山越えはバランスを崩しやすく、かえって隙を見せることになる。

図19

そこで無茶な山越えをしてもこけないためのウイングを増設した。
ウイングにはt3ポリカを使用し、良くしなる。ポリカのしなった際の復元力を用いて重力に頼るよりも早く復帰させている。


図20


③上下動機構可動域

機体コンセプトとして山越えをして上から攻撃するというものなので図のように下の可動域が大きめの設計となっている。また、バックで山越えをする際の補助として上下動の可動域を活用している。

図21

4.3操縦の型

湊のch設定は以下の通り
差動操縦でch4を上下動に割り当てている

図22

型3 前進+振り下ろし攻撃
感覚としてはステイックをそれぞれ前方外側に倒す

図23


型6 山に片足乗せ旋回
常に山に張り付いた状態で上から鎌攻撃を繰り出す。
左右の足回りの操作が独立しているため、山の上にのせている足先を支点にぐるっと回って相手を追い回す戦術。いつでも山を盾にできるので攻防一体の立ち回り。


図24

型7 バック山越え(緊急退避+鎌攻撃)

相手に距離を詰められたり、山越えで前に出過ぎてしまったときの緊急回避

図25


図26


図27

終わりに

この長い記事に最後までお付き合いいただきありがとうございました。
こんな記事書いておいて説得力ないが、願わくば、ロッドとかシールドとか平和なアームがたくさんいる環境が維持されますように~

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