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「現場は変わらないと思っていた」 第4話 仕事への向き合いかた
それからは、陽菜から仕事を頼まれることが増えていった。
そして、そのたびに俺は気づいた。
この子は、一度言われたことを次には直してくる。
最初は仕事を頼まれるたびに、
「図面あるの?」
と聞いていた。
すると次からは、
「図面はあります!」
と、ちゃんと用意してくるようになった。
次は、
「前の業者は終わってるの?」
と聞くと、
「確認してきます!」
だった。
でも、その次には、
「前の業者は○日までに終わる予定なので、○日にお願いできますか?」
に変わっていた。
また別の日。
図面を見ながら、
「ここの寸法はいくつ?」
「これはどう納めるの?」
そんなやり取りをした。
すると次に持ってきた図面には、細かい注意事項や施工のポイントが、自分で書き込まれていた。
言われたことを、その場だけで終わらせない。
一度吸収して、次には必ず形にしてくる。
そんな新人監督を、俺は今まであまり見たことがなかった。
もちろん、陽菜が最初から何でもできたわけじゃない。
現場では新人だったし、分からないことだらけだったはずだ。
でも、一つだけ他の人と決定的に違うことがあった。
次に会うと、前に話したことをちゃんと理解している。
いや、それだけじゃない。
前よりも知識が増えている。
最初は「どうすればいいですか?」だった質問が、いつの間にか「こう考えているんですが、この進め方で合っていますか?」という質問に変わっていた。
たぶん、事務所に戻ってから調べていたんだと思う。
先輩に聞いたり、本を見たり、図面を見返したり。
そうでもしなければ、現場経験のない新人が、あんな短期間であそこまで成長するとは思えない。
俺が感心したのは、頭の良さじゃない。
分からないことを、そのままにしない姿勢だった。
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