『恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。』と永野水貴先生へのリスペクトを語る
はじめに
最近はTALESを盛り上げる記事を書いてきましたが、今回はところ変わって、1月に新刊が出る『恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。(以下、恋した人は)』へのレビューを綴りたいと思います!
「恋した人は、」は、「このライトノベルがすごい2024」で1位に輝いた作品で、そこからがーっと注目度が一気に高まった作品です。
この物語の概要と、それから永野水貴先生に対するリスペクトを書きたいと思います。
恋した人は、の物語
『恋した人は』という作品について、一言で言うと、
圧倒的不遇からはじまる物語
これに尽きます。
主人公ウィステリアに、
あああああっ幸せになってえええええええ〜〜〜〜〜
と全読者は思っていると思います。それくらいの不遇。
ここでは、3つの不遇と称して、順番に扱っていきます。
不遇①|恋した人に妹の代わりに死んでくれと言われてしまった
作品タイトルが不遇のはじまり。
ウィステリアは、幼い頃から好きな初恋の人に、好きな人間(ウィステリアの義理の妹)の代わりに死んでくれ、と言われます。
代わりに死ぬとはどういうことか。
ウィステリアと義妹ロザリーは幸せに暮らしていました。
けれど、国のために生贄に選ばれたロザリー。
その義妹を好きな初恋の人ブライトに「君が代わりに生贄になってくれとウィステリアは言われます。
しんどい。つらい。最初から泣く。
初恋の人であるブライトが悪いかと言うと、そうとは言えないと思います。
ブライトの視点に立つと、ブライトもしんどいんですよね……ほんとうにしんどい。
義妹のロザリーに自分をまるごと全部認めてもらっている……そりゃあもうなにがなんでも救いたいよね……わかる、わかる……。
でも、なんでウィステリアなんだああああああ(全読者の叫び)
彼女もあなたのことが好きなのよ。
ロザリーとはアプローチがちがうだけで、死ぬほど想っているのよ。
わかる?
それが、ウィステリアの最初の不遇です。
不遇②|死地で生き残ってしまった
2つ目は、妹の代わりに死地である〈未明の地〉に行ったら、うまいところ生き残れてしまったことです。
同行してくれた、おしゃべり口やかましい聖剣サルティスのおかげでもあるわけですが、ウィステリアは死地で20年以上も生き残ってしまう。
太陽も月もない、モンスターうようよの地で。
途中で仲良くなったコーラルという魔物も、残虐な魔物によって殺されて、拷問としか言いようのない20年間。
弱火でじっくり焼かれるようなどころではなく、ずっとずっと苦痛を与えられ続けても死ぬことも老いることもできない20年を過ごします。
自分で死ぬタイミングだけは選べる、とサルティスに言われて。
それを正気を保つよすがとして20年を過ごします。
……つらひ。
不遇③|初恋の人と義妹の息子と出くわしてしまった
そして、最後の不遇が、ヒーローの登場です。
初恋の人と義妹の息子の登場です。
もうやめて! これ以上ウィステリアをいじめないで!(読者の……
なぜ!
初恋の人と義妹がアレコレした結果の息子に出会わなければいけないのか。それも初恋の人とそっくり。見た目だけでトラウマを刺激する存在。
それがヒーローのロイドです。
おまけにこのヒーローは、自分よりも魔法の力があるウィステリアに、図々しくも弟子にしてくれとウィステリアの世界にずかずかと上がり込んでくるわけです。
苦痛でしかない……。
そんな圧倒的不遇からはじまる物語です。
ここまでの内容が一巻に詰まりまくってます(メンタル抉られる)
不遇からの転換を経た運命的な関係
ですが、これら不遇は絡まりあって、ウィステリアにひとつの関係をもたらします。
時に苦しいほどに懐かしく、けれど決して過去にはない出会い
この帯の文言、最高すぎませんかね?!
3つ目の不遇でしかなかったロイドと段々、段々、惹かれ合っていくのですね。
惹かれ合う、という言葉では足りないかもしれません。
ロイドは、ウィステリアと師弟関係を過ごすなかで、少しずつ少しずつ、彼女のことを知っていく。
少しずつ、彼女の過去や、傷、負ってきたものを知って、彼女の芯にある優しさや思いやりを知って、ウィステリアを慕っていきます。
ロイド自身も20年で抱える鬱屈があるなかで、ウィステリアはただその人柄で、ロイドの鬱屈に師として導きながらも寄り添っていく。
ロイドがウィステリアを好きにならないわけがないじゃないですか。
この少しずつ、段々、という過過程が、とてもじっくりで、んわりで、それでいてやさしくて、切ない。
この描き方は、まさに永野水貴先生。
1巻から4巻という長い時間をかけて描かれるこの関係性の変化を、ぜひ作品で味わってほしいです。
垣間見える「恋した人は」のカタルシス
短編集も含めて既刊8巻ですが、未だ解決していないのが、
不遇①のことをロイドが知らない
ということです。
こわすぎじゃないですかね。どうなるの。これ。どう回収されるの。
自分のパパとママがさ、ウィステリアのつらい二十年を生み出したのよ。
おまけに自分はその親の子どもだし、ウィステリアはさ、パパのことが好きなのよ。
えげつない(褒め言葉)ですよね……?
この結末を見るまでは、日々馬車馬のように働くしかない。
永野水貴先生へのリスペクト
実は20年くらい前から
中高生の頃だったことは覚えているのですが、正しく何年前だったのかというのはもはや覚えていません。
フォレストページ、小説家になろうの草創期……
たしかネット小説ランキングというサイトがありまして、そこで永野先生のホームページunlimited-A.L.で『皇子と姫君』という作品に出会いました。
今でも覚えています、アランフィールとディアノール。
ふたりの物語の更新を日々楽しみにした十代でした。
すでに完結済みの作品もいくつかありましたが、その時に読んだ『永遠の瞳』という物語も忘れられません。
完結まで読むのに徹夜して、翌日学校サボった記憶があります。
夜な夜な号泣していました。
アオイとシルヴィアとオリヴィア……こちらも忘れられません。
結末もさ……すごい泣きました。
いつか、書き直していただいて書籍化してくださいほんとに。
青春の思い出。
何より忘れられない驚きだったのは、ホームページで自作小説を投稿するという発想がそれまでの自分にはまったくなかったので、永野先生の作品を読んで、とても刺激を受けた覚えがあります。
私自身もネットでオリジナルの小説を公開しよう!と奮起させられました。
自分が創作をすることになった原点が、永野先生と永野先生の作品たちです。
シリアスを書きつづける
永野先生(当時は今と少しちがうお名前)は、昔から徹底してシリアスを描いていらっしゃいます。
一時期、ラノベ界隈ではシリアスではなくて、明るい主人公やコミカルさのようなものが流行っている時がありましたが、そういうときであっても、永野先生はご自身の作風を崩されませんでした。
純粋にすごい。
シリアスを書きたい。人間ドラマを描きたい。
というのをずっと持ち続けていらっしゃる。
商業作家として、売れるものを目指さなければならないことや、おそらくプレッシャーなどもあったなかで、作風を大事にしながらもこのラノ2024の1位に輝くというのは、ほんとうにすごいとしか言いようがないです。
リスペクトです!!
「恋した人は」の物語は永野先生の思いが凝縮された作品。
2024年〜2025年の年末年始にかけて「恋した人は」を読み返した時に、
やっぱり私も創作をしたい。
と強い思いを受けて、今年は創作を再開しました。
結果的に、2025年は自分の創作活動のなかでも思い出深い年になったように思います。
そんな「恋した人は」が、2026年1月に新刊出ます!ちょー楽しみ!!
表紙のウィステリアが色っぽすぎる……!
ロイドも相変わらずイケメンだな!!
こちらのレビューを読んで、興味を持たれた方は、ぜひ「恋した人は」とともにシリアスの民の沼に浸かりましょう!
以上、「恋した人は」レビューと「読んで!!!!」の記事でした。
(読んでる人、知ってる人いたら、ぜひ仲良くしてください!!!!)
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