イームズシェルチェア モノとルキ#24
学校を卒業して、はじめて東京23区内に引っ越そうとしていたころ、
僕はある椅子に出会った。
お店の中で、それはただそこに座っていた。
コバルトブルーのシェルと、ライトオークの木脚。
補色に近いその組み合わせは、主張するわけでもなく、
かといって静かに引っ込んでいるわけでもなく、ただ正しかった。
今では見ることもできない回転するベースが装着されている。
バーカウンター用の背の高いモデルに惹かれたけれど、
結局、暮らしの中に置くことを考えて、通常の高さのものを選んだ。
実用性を考えて、というのは今も昔も僕らしい判断だと思う。
いざ購入してみたら、デスクワークには向かなかった。
長時間座ると疲れるので、
クッションとランバーサポートを用意して何とか使える。
後日、デスク用の椅子は用意したので、
今はダイニングで食事をするとき、
あるいはただぼんやりするときに使っている。
それが正しい使い方なのだと、今は思う。
一脚だけなので来客があれば気前よく譲る。
「本物ですか」と目を輝かせる人もいれば、
ただおしゃれな椅子だなと流す人もいる。
どちらの反応にも、僕は静かにほくそ笑む。
不思議なのは、この椅子への気持ちが変わらないことだ。
タイムマシンがあって買う前に戻っても、
きっと同じ色の、同じモデルを選ぶ。
時を超えてイームズが与えてくれた
素晴らしい意匠に感謝している。

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