【AI時代の個人開発】4.「UI修正→即反映」の環境を作ったら、開発速度が一気に変わった話
AIを使う側から、使いこなす側へ。
※2026年7月1日更新
シリーズを書き進める中で得た気づきを反映し、リード文・構成・文章表現を見直しました。
AIがコードを書く速度よりも、私の開発を大きく変えたものがありました。
UIの違和感に気づき、AIへ伝え、数秒後には画面で確かめる。この往復が短くなると、作業時間だけでなく、AIへ出す指示の具体性と、試せる回数まで変わります。
前回は、Firebase Authenticationを使ってログイン認証機能を実装した過程を書きました。
ログインできる。専用画面へ入り、メイン機能を操作できる。サービスの骨格が見え始めた頃、今度は画面の細部が気になり始めました。
ボタンの位置
カード同士の余白
説明文のわかりやすさ
スマートフォンで見たときの表示
初めて画面を開いたとき、次の操作が伝わるか
ひとつひとつは小さな要素です。
それでも、画面を触るたびに感じる違和感は、積み重なるほどサービス全体の印象に影響します。
今回は、UIを修正してすぐ確認できる環境を整えたことで、個人開発の進め方が変わった話です。
機能が動作することと、自然に使えることは別だった
個人開発を始めた頃は、まず機能を成立させることに意識が向いていました。
ログインできるか
データを保存できるか
画面を正しく遷移できるか
必要な処理を最後まで完了できるか
いずれも、サービスを動かすために欠かせない確認です。
一方、実際に画面を操作してみると、機能が正しく動くことと、自然に使えることは同じではないとわかります。
ボタンが少し目立ちすぎている。説明文の意味が一度では伝わりにくい。スマートフォンでは余白が狭く、窮屈に見える。
仕様書やコードだけを見ている段階では気づかなかった問題が、画面に触れることで初めて見えてきました。
小さな修正ほど、確認までの手間が響く
当時の開発環境では、UIを少し変更するだけでも複数の作業が必要でした。
コードを修正する
手動でビルドする
サーバーを再起動する
ブラウザを更新する
画面を確認する
違和感が残っていれば、もう一度修正する
内容自体は複雑ではありません。
ただ、1回の確認に5分から10分かかる状態では、小さな調整を何度も試す気持ちが薄れていきます。1日に5回繰り返せば、確認作業だけで30分から50分ほど使う計算です。
個人開発では、設計、実装、確認、修正、判断を自分で行います。ひとつの工程に摩擦があると、開発全体のテンポにも影響します。
「この修正は後でまとめよう」
「今は機能実装を優先しよう」
「細かな見た目は最後に整えればいい」
そう判断する場面が増えていきました。
機能実装を優先したほうがよい状況はあります。ただ、画面上の違和感は、気づいた瞬間が最も鮮明です。
修正内容そのものより、確認までの手間が、UI改善の回数を減らしていました。
「UI修正→画面確認」を数秒に縮めた
そこで、Viteを使ったローカル開発環境を構築しました。
ファイルを変更すると、その内容が自動的に処理され、開発中の画面へ素早く反映されます。毎回、手動でビルドや再起動を繰り返す工程を省けるようになりました。
開発時に実行するコマンドも、ひとつにまとめました。
npm run dev:localこのコマンドでローカル開発環境を起動しておけば、コードを変更してから画面で確認するまでが数秒で完了します。
以前は、次のような流れでした。
UIの違和感に気づく
↓
コードを修正する
↓
手動でビルド・再起動する
↓
ブラウザを更新する
↓
画面で確認する
環境を整えた後は、こう変わりました。
UIの違和感に気づく
↓
AIへ修正を依頼する
↓
変更が画面へ反映される
↓
その場で確認し、必要なら追加調整する
数分間の待ち時間が減ったこと以上に、「少し変えて比べてみる」「一度試してから判断する」という進め方がしやすくなりました。
画面を見ながら、AIへの指示を具体化する
確認が速くなったことで、AIへの依頼方法も変わりました。
画面を見ずにUI修正を頼むと、指示は抽象的になりがちです。
もっと見やすくしてほしい
全体を整えてほしい
スマートフォンでも使いやすくしてほしい
これでもAIは修正案を出せます。ただ、どの状態を完成とするのかまでは共有できていません。
画面を確認しながら進めると、依頼内容は具体的になります。
このカードの上下の余白を広げる
スマートフォン表示のときだけ、ボタンを縦に並べる
説明文を短くし、操作の目的を先に示す
初回案内を画面上部へ移動する
このボタンが確認用であることを文言で伝える
修正後の画面もすぐに見られるため、次の指示へ自然につなげられます。
「配置は自然になったが、説明が少し長い」
「PCでは見やすいが、スマートフォンではまだ窮屈に見える」
「この位置よりも、ひとつ上のほうが操作の流れに合っている」
AIへ完成形を一度に作らせるというより、画面を見ながら少しずつ形を詰めていく。その使い方が、自分には合っていました。
本当に増えたのは、改善できる回数だった
開発速度が上がると聞くと、作業時間の短縮を想像します。
手動のビルドや再起動が減ったことで、実際に時間は短くなりました。ただ、今回の変化でより大きかったのは、同じ時間の中で試せる回数が増えたことです。
1回の修正が重いと、変更する前に慎重になります。
「本当に今直す必要があるか」
「後でまとめたほうが効率的ではないか」
「細部に時間を使いすぎていないか」
変更がすぐ反映される環境では、こうした迷いを抱えたまま考え続けるより、実際の画面で試して比較できます。
「まず変えてみる」
「合わなければ戻す」
「別の配置も見比べる」
使える時間も集中力も限られる中で、ひとつの案に悩み続けるより、複数の案を画面上で確かめられる。その差が、最終的な品質にも表れていきました。
開発速度が上がるとは、早く作り終えることだけではなく、より多く試せる状態を作ることでもある。
今回の環境づくりを通して、そう実感しました。
AIが速く書くほど、確認と判断が重要になる
AIを使うことで、コードを書く速度は大きく上がりました。
その一方で、生成されたものが画面として自然か、操作の流れに合っているかまで、コードだけを見て判断することは困難です。
UIには、別の確認が必要です。
画面全体のバランスは自然か
操作の目的が伝わるか
次に何をすればよいか迷わないか
文言が機能の意図と合っているか
スマートフォンでも無理なく操作できるか
こうした要素は、実際の画面に触れながら確かめます。
AI時代の個人開発では、「AIにどれだけ速く書いてもらえるか」だけでなく、「書かれたものをどれだけ速く確認し、次の指示へつなげられるか」も大切になるのだと思います。
AIへ具体的に依頼する。修正結果をすぐ確認する。画面上の違和感を言葉にして返す。
この流れがつながったことで、AIとのやり取りは一度きりの依頼から、短い改善ループへ変わりました。
今回のことで学んだこと
今回の経験を一言でまとめるなら、次のようになります。
個人開発の品質は、改善ループの速さで変わる。
AIに修正を依頼し、画面で確認する。そこで見つけた違和感を言葉にして返し、もう一度確かめる。
この往復を気軽に繰り返せるようになったことで、開発速度だけでなく、サービスを少しずつ磨いていく感覚もつかみやすくなりました。
最初から完成形を正確に見通すのは難しいものです。
だからこそ、違和感に気づいたとき、すぐ試せる状態を作っておく。その環境が、個人開発を前へ進める支えになりました。
次回予告:
認証は「ログインできた」で終わりではなかった
ログイン認証を実装し、画面を改善しながらサービスを長時間使うようになると、別の課題が見えてきました。
認証の「持続性」です。
利用中に認証トークンの期限が切れた場合、APIからエラーが返ることがあります。そのとき、再ログインを案内するのか、裏側でトークンを更新するのか、どこまで自動的に処理するのか。
さらに、認証処理の回数は運用コストにも関係します。
次回は、長時間利用時の認証トークン更新、getIdToken(true)の扱い、APIエラーへの対応を通して、ログイン状態を安定して維持する仕組みについて整理します。
関連情報
次回:シリーズ5
前回:シリーズ3
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創作大賞2026の選考期間中は、創作大賞2026 ビジネス部門 応募作品|AI時代の個人開発 にも全10話をまとめています。
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