太平記 現代語訳 24-1 京都朝廷、財政危機により朝廷の諸行事を行えず
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この現代語訳は、原文に忠実なものではありません。様々な脚色等が施されています。
太平記に記述されている事は、史実であるのかどうか、よく分かりません。太平記に書かれていることを、綿密な検証を経ることなく、史実であると考えるのは、危険な行為であろうと思われます。
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年号が暦応(りゃくおう)に変わった頃から(注1)、日本の内乱もしばらくは静まり、天下太平となった。しかし、京都の人々の暮らしにおいては依然として困窮状態が続いており、改善の兆しは一向に見えてこない。
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(訳者注1)ユリウス暦1338年10月11日に、 京都朝廷は、[建武]から[暦応]への改元を行った。
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国府(こくふ:注2)も荘園の主も、領地からの収入激減に悩み、国への税や年貢の輸送も滞ってしまっている。朝廷は日に日に衰微し、そのの行事も悉く廃絶、日本の政治は今や、どん底まで落ちてしまった。
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(訳者注2)地方の行政庁。中央から派遣された国司(または国司代)が、そこで政務を執行した。
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古よりこの方、日本の国家権力の頂点に天皇は君臨し、万機の政(まつりごと)を行い、四海(しかい)を治めてきた。その年中行事はといえば:
1月
元旦午前4時、[天地四方拝(てんちしほうはい)]を執行、その後、[屠蘇白散(とそびゃくさん)]、、[群臣の朝賀(ちょうが)]、[小朝拝(こじょうはい)]、[七曜の御暦(しちようのごりゃく)]、[腹赤の御贄(はらかのみにえ)]、[氷様(ひのためし)]、[式部省(しきぶしょう)と兵部省(ひょうぶしょう)よりの内外官の補任帳呈上(ほにんちょうていじょう)]。
立春の日には、[主水司(もんどつかさ)よりの春の水の献上]。
子(ね)の日の[若菜(わかな)]、卯(う)の日の[御杖(みつえ)]、[視告朔(こうさく)の礼]]、[中春両宮(ちゅうとうりょうぐう)の御拝賀(ごはいが)]。
5日、[東寺の国忌(とうじのこっき)]、[叙位の議白(じょいのぎびゃく)]。
7日、兵部省(ひょうぶしょう)の[御弓の奏(おんゆみのそう)]、[白馬節会(あらうまのせちえ)]。
8日、[大極殿(だいごくでん)御斎会(みさいえ)]、[真言院(しんごんいん)の御修法(みしほ)]、[太元の法(たいげんのほう)]、[諸寺の修正(しゅしょう)]、[女叙位(にょじょい)]。
11日、[外官の除目(げかんのじもく)]。
14日、[殿上の内論議(てんじょうのうちろんぎ)]。
15日、[七種の御粥(ななくさのみかゆ)]、[宮内省の御薪(みかまぎ)]。
16日、[踏歌の節会(たうかのせちえ)]、[秋冬の馬料(あきふゆのめりょう)]、[諸司の大粮(しょしのおおがて)]。
17日以降、[射礼(じゃれい)]、[賭弓(のりゆみ)]、[年給の帳(ねんきゅうのちょう)]、[神祇官の御麻(じんぎかんのみぬさ)]。
晦日(つごもり)、[巫(みかんなぎ)御贖(おんあがもの)を奉る]、[院の尊勝ダラニ]。
2月
上の丁(ひのと)の日、[尺尊(しゃくそん)]
上の申(さる)の日、[春日祭(かすがのまつり)]。
その翌日、[卒川祭(いさがわのまつり)]。
上の卯(う)の日、[大原野祭(おおはらののまつり)]
上記以外に、[京官の除目(きょうかんのじもく)]、[祈年の祭(きねんのまつり)]、[三省考選の目録(さんしょうこうせんのもくろく)]、、[列見の位録(れっけんのいろく)]、[季の御読経(きのみどっきょう)]、[仁王会(にんのうえ)]。
3月
3日、[御節句(ごせっく)]、[御灯(ごとう)]、[曲水の宴(きょくすいのえん)]。
7日、[薬師寺(やくしじの)最勝会(さいしょうえ)]、薬師寺(奈良県)で最勝王経が講じられる。
上記以外に、[石清水(いわしみず)の臨時の祭]、[東大寺(とうだいじ)の華厳会授戒(けごんえじゅかい)]、[鎮花祭(はなしずめまつり)]。
4月
1日、[告朔(こうさく)]、[掃部寮(かもんりょう)冬の御座を徹して夏の御座を供ず]、[主水司(もんどずかさ)始めて氷を献る]、[兵衛府(ひょうえのふ)御扇(みおうぎ)を進(たてまつ)る]。
5日、[中務省(なかつかさしょう)妃(ひ)・夫人(ふじん)・嬪(ひん)・女御(にょうご)の夏の衣服の文を申す]、[准蔭の位記(じゅおんのいき)]。
7日、[擬階の奏(ぎかいのそう)]。
8日、[灌仏(かんぶつ)]。
10日、[女官、春夏の時のかざり物の文を奏す]。
中の申(さる)の日、[国の祭(くにのまつり)]、[関白(かんぱく)の賀茂詣(かももうで)]。
中の酉(とり)の日、[賀茂(かも)の祭]、[男女の被馬(かざりうま)]。
下の子の日、[吉田(よしだ)宮の祭]。
上記以外に、[山科(やましな)]、[平野(ひらの)]、[松尾(まつお)]、[杜本(もりもと)]、[當麻(たいま)]、[當宗(まさむね)]、[梅宮(うめみや)]、[大神(おおわ)]、[広瀬(ひろせ)]、[立田(たつた)]の祭り、[内の弓場(ゆんば)の埒(らち)]、[斎(いつきの)内親王(ないしんのう)の御禊(みそぎ)]、[東大寺の授戒(じゅかい)の使(つかい)]、[駒牽(こまひき)]、[神衣(かんみそ)]、[三枝(さいぐさ)の祭]。
5月
3日、[六衛府、菖蒲丼(あやめ)に花を献(たてまつ)る]。
4日、[走馬の結番(はしりうまのつがい)丼家色(にけいろ)を奏す]。
5日、[端午(たんご)の祭り]、[薬玉御節句(くすだまのおんせっく)]
上記以外に、[競馬(くらべうま)]、[日吉(ひよし)祭]、[最勝講(さいしょうこう)]。
6月
[内膳司(ないぜんのつかさ)、忌火の御飯(いんごのごはん)を供ず]、[中務省、暦を奏す]、[酒造司(さけのつかさ)の醴酒(ひとよざけ)]、[神祇官(じんぎかん)の御体(みたい)の御占(みうら)]、[月次(つきなみ)]、[神今食(じんごんじき)]、[道饗(みあい)]、[鎮火の祭(ひしずめのまつり)]、[神祇官の荒世(あらよ)の御贖(みあかもの)を奏す]、[東西の文部(ひんひとべ)、祓(はらい)の刀を奏す]。
15日、[祇園(ぎおん)の祭]。
晦日、[節折(よおり)]、[大祓(おおはらい)]。
7月
1日、[告朔(こうさく)]、[広瀬、龍田(たつた)の祭りに向かう可し]、[五位の定め]、[女官の補任帳]。
2日、[最勝寺(さいしょうじ)の八講]。
7日、[七夕の乞巧奠(きっこうてん)]。
8日、[文殊会(もんじゅえ)]。
14日、[盂蘭盆(うらぼん)]。
19日、[尊勝寺(そんしょうじ)の八講(はっこう)]。
28日、[相撲節会(すもうのせちえ)]。
8月
上の丁(ひのと)の日、[尺尊(しゃくそん)]。
その翌日、[内論議]。
4日、[北野(きたのの)祭]。
11日、[官の定考(こうじょう)]、[小定考(ここうじょう)]。
15日、[八幡(やわた)の放生会(ほうじょうえ)]。
16日、[駒引(こまひき)]。
上記以外に、[仁王会(にんのうえ)]、、[季の御読経(きのみどっきょう)]。
9月
9日、[重陽の宴(ちょうようのうたげ)]。
11日、[伊勢の例幣(いせのれいのへい)]、[祈年(としこい)]、[月次]、[神嘗(かんなめ)]、[新嘗(にいなめ)]、[大忌風神(おおみかざかん)]
15日、[東寺の灌頂(かんじょう)]。
上記以外に、[鎮花(はなしずめ)]、[三枝(さいぐさ)]、[相嘗(あいなめ)]、[鎮魂(たましずめ)]、[道饗(みあい)の祭]。
10月
[掃部寮、夏の御座を徹して冬の御座を供す]、[兵庫寮(ひょうごのりょう)、鼓吹(つづみふえ)の声を発(おこ)し]、[刑部省、年終断罪(ねんしゅうたえづみ)の文を進(たてまつ)る]。
亥(い)の日、[三度の猪子(みたびのいのこ)]。
5日、[弓場始(ゆばはじめ)]。
10日、[興福寺(こうふくじ)の唯摩会(ゆいまえ)]。
上記以外に、[競馬(くらべうま)の負方(まけかた)の献物(こんぶつ)]、[大歌始(おおうたはじめ)]。
11月
1日、[内膳司、忌火の御飯(いんごのごはん)を供ず]、[中務省、暦を奏す]。
上記以外に、[神祇官の御贖(みあかもの)]、[斎院の御神楽]、[山科]、[平野]、[春日]、[森本(もりもと)]、[梅宮]、[大原野]の祭、[新嘗会(しんじょうえ)]、[賀茂の臨時の祭]。
12月
1日~18日、[内膳司、忌火の御飯を供ず]。
[御体の御占]、[陰陽寮、来年の御忌(おんき)を勘録(かんろく)して、内侍(ないし)にこれを進(たてまつ)る]、[荷前の使(にのさきのつかい)]、[御仏名(おんぶつみょう)]。
大寒の日、[土牛の童子(とごのどうじ)を立てる]。
晦日、[宮内省、御薬を奏す]、[大禊(おおはらい)]、[御髪上(みくしあげ)]。
晦日の夜、追儺の節会(ついなのせちえ)が行われる。
近衛兵が4隊に列なり、いずれの宮殿も、灯を焼き白日のような明るさ。美人は沈香を焚き、笙(しょう)を吹いて座す。
以上、朝廷の年中行事を、要約してみた。詳細に記すならば、あまりにも記載事項が多すぎて、車にも乗せることができなくなるであろう。
これらの行事はすべて、代々の聖主賢君(せいしゅけんくん)の、帝位を天より授かり、地にこれを奉じ、世を静め、国を治めるにあたっての肝要の重大事。これまで一度たりとも断絶する事が無かったのだが、近頃の国中の内乱によって、ついに一つの行事も行われなくなってしまった。仏法(ぶっぽう)も神道(しんとう)も朝儀(ちょうぎ)も節会(せちえ)も、何もかも無しの世の中になってしまったとは、まぁなんと、嘆かわしい事であろうか。
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