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ガラスのハート

彼女はよくこう言う。

「私、ガラスのハートなんです」

確かに繊細なんだと思う。
傷つきやすいし、気持ちが揺れやすいタイプなんだろうな、と感じる瞬間もある。

でもね──
彼女は決して「私ダメですよね…」なんて自己否定は言わない。

むしろ、気になることをやんわり伝えた時、
“否定的な話題” だとわかると 完全にスルー する。

こちらの言葉が空中で消えていく感じ。
まるで「聞こえなかったことにしますね」みたいな、あの独特の沈黙。

私はその瞬間、胸の奥がザワッとする。

何か言い返されるわけじゃない。
責められるわけでもない。

ただ 無視される。

それがいちばん、心に刺さる。

私は伝えるべきことは優しく伝えたいタイプだし、
怒りをぶつけるつもりは全くない。

でも、彼女には“やわらかい伝え方”すら届かないことがある。

「その部分、気をつけてもらえると助かるよ」
「もう少しこうした方がいいかもね」

こんな軽いニュアンスでも、
彼女はスッと表情を消して、
何事もなかったかのように別の話題を始める。

まるで “イヤなことは受け取らない” という
透明な壁があるみたいに。

その壁に触れるたび、私は思ってしまう。

「これ以上何も言わない方がいいのかな」
「私が言うと、たぶんまたスルーされる…」

ガラスのハートっていうけれど、
彼女の心は 割れやすいというより、跳ね返すタイプ なのかもしれない。

しかも、普段はすごく気さくで、笑顔で話してくれる。
「あなたがいると安心します」なんて言ってくれる可愛い一面もある。

だから余計に、距離感が難しい。

仕事では価値観が合わない。
でも、話すと楽しい時もある。
頼られるのが嬉しい時もある。

だけど——
“言葉が届かない瞬間” があると、
やっぱり心がモヤっとしてしまう。

相手が繊細ならうまく伝えようと思うし、
優しく言葉を選んでいるつもりなのに、
返ってくるのは沈黙。

繊細さん同士って、ほんとはいちばん分かり合える気がするのに、
現実はこんなにすれ違うんだなって思う。

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