「今夜、秘密のキッチンで(第10話)」中村俊介という悪いやつに絡まれたばかりに恋は壊れる
結末として悲恋の物語となるのであろうか。木南晴夏も高杉真宙も、何ら非がない。誰にも信じてもらえない霊界と現実の交錯という、特異な状況から生じた出来事であるためだ。その世界の事情を熟知している安井順平は、二人の結ばれることを願っているのだろうが、この展開においては着地点が見えにくくなっているのもまた事実である。
まず、中村俊介については、視聴者として好意的に評価できる点が一切見当たらない。自店で使用している食材の産地偽装問題が表沙汰になってもなお、自己保身に徹する姿勢は一貫している。それに対し、報道に踏み切ったテレビ局の姿勢は、現代においてはむしろ誠実なものとして映る。本来それは当然の職責であるが、現在のテレビ局がスポンサーに対して批判的な報道を行うことが困難であるという現実を踏まえれば、その意義は小さくない。
話題がテレビ報道へと移行する中、山中でその事実を知っていた高杉が突き落とされたという出来事もまた、明るみに出ようとしている。そこで中村は人を使って高杉を車で轢き殺そうと図った。しかし実際に負傷したのは、高杉を助けようとした瀧本美織であった。
この事件を経て、木南は高杉と共にある未来に恐怖を覚えながらも、今や信頼できる存在は高杉しかいないという心境にあるのだろう。そのような折、娘の実母が面会にくる。中村不在の状況であったため対面が実現するが、視聴者の多くも、この娘にとっては実母のもとで暮らすことが最善であると感じるのではないだろうか。娘の行く場所が確保されるということは、木南が離婚を経て高杉と結ばれる可能性を示唆しているとも読み取れる。ただし、瀧本の心情をどう処理するかという問題も残る。
いずれにせよ、これだけの悪事を重ねた結果として、中村が法的制裁を受けることは避けられないであろう。また、そうなった場合に筒井真理子がいかなる反応を示すかは、ドラマとして興味深い見どころのひとつである。
これまで述べてきたように、木南と高杉の恋愛はキッチンという空間の中で育まれ、純粋で美しい関係性として描かれてきた。それゆえ、ドラマを美しい結末で締めくくってほしいというのが筆者の願いである。この段階においては、瀧本の感情がどのように収束するかも気がかりであり、また二人の未来においても、過去の出来事が後悔として残ることなく描かれることを望む。
さらに、愛人であった佐津川愛美の処遇をどう描くかという点も残されている。木南はいまだ彼女の不倫の事実を知らないが、相手が中村の愛人であるという状況を考えれば、物語における比重は相対的に低くなりうる。
そしてこの終盤にあって、月城かなとが事件の核心を整理するまとめ役としての存在感を増してきている。宝塚出身らしい凛々しさを持つ彼女が、今後さらに重要な役を得ることへの期待は高い。今後の活躍を注目したい。

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