とにかく本を読む⑤
短編小説が好きだと思う。
思えば、小学生のころから星新一が好きだった。図書室には「人気の本」というものが明確にあり、それらの本は借りるのが困難だから意識的に読むのを避けていた。それなのに、星新一だけは「人気の本」にもかかわらず、返却の時期を狙い澄まして借りていたのを覚えている。
高校生くらいの時には「キノの旅」にハマっていた。あれもショートショートを集めたような本だと思う。きっと私は皮肉のきいた短編が好きなのだ。
というわけで最近読んだ短編小説「コンビニ人間」がクリティカルヒットだった。なんだこの本、めちゃくちゃ面白いじゃないか。
コンビニというマニュアル化された空間で、「コンビニ店員」というマニュアル化された生き物になることでようやく社会の歯車になれていると実感できる。それに安心できる。そんな女性が主人公の話だった。
ちょっとだけ、朝井リョウの「生殖記」と似ていた。文体とか展開ではなくて、大きい枠で見たときに、テーマが似ていた気がするのだ。といっても「コンビニ人間」の主人公のほうがかなり尖っている気がするけど。私はこういうスタンスの人間が出てくる小説が好きなのかもしれない。
私は芥川賞に対してはかなり敵対的というか、芥川の名前を冠してるんだから変な本に賞を与えるなよ?と思っている芥川厄介オタク。なんだけども、これはどうぞどうぞ、文句なしに芥川賞でございます、という感じだった。
こんなことを書いたら「批評家の言葉にその知性の程度が知れて面白い(読むだけで知性も足りてない人間が偉そうにしてんじゃねえよの意)」とか芥川龍之介に書かれそうなので芥川賞の話はこれでやめる。
とにかく面白かった。
帯に「世界各国で翻訳中!!」的なことが書かれているのだけど、海外の人に「コンビニ」というものの在り方や雰囲気が適切に伝わるのかちょっと気になる。どうなんだろう。いつかもうちょっと知性あふれる私になったら、翻訳されたそれらも読んでみたい。
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