ポルシェはなぜカルチャーになるのか?
改めてポルシェって素敵だと思うのだ
ポルシェに乗ってる人って、オトナな空気をまとってる気がする。
「必死さ」を表に出しているわけではない。
どこか余白があって、でも芯がある。
あの空気は、車から来ているのか、それとも人から来ているのか。
あらゆるブランドを乗り尽くした車屋の知人たちも口を揃えて「ポルシェは良い!」と口にする。
筆者自身、何度もハンドルを握って気づいたことがある。
ポルシェは単なる車じゃなくて、「人の在り方」に近いのかもしれない。
やはり「最新こそ最良である」のか
ポルシェをご存知の方であればよく耳にするのかと思うこの言葉。実際のところどれほどなのだろう。
基本的にあらゆるモノは進化を続け、磨かれ続ける。前提として「良いもの」は生まれてくることとしよう。
残念ながら所有をしたことはないものの、数年に渡りなにかと運転する機会があったので振り返ってみる。
空冷の時代

現代になっても根強い人気を誇る930、964、993などがここにあたる。ポルシェのカルチャーの礎、魂の源ともいえるのではないだろうか。
実は964のノーマルモデル(カレラ2や4など)の車幅はなんと1,700mmを切る1,660mm。参考までに、現行ホンダのフィットの車幅は1,695mm。なんとこの時代のポルシェの主力は5ナンバーサイズなのである。
この“サイズ感”は現行の911やケイマンの1,800mm~1,850mmほどの車幅を見てもわかるように現代にも受け継がれており、ポルシェの人間らしさを残している気がする。
ポルシェは「非日常を楽しむ車」ではなく「毎日魂を揺さぶる道具」なのであると、私は思う。
現代の992カレラTのMTなどにも通づるクラッチの繋ぎやすさは964の時から変わらず、人馬一体とはこれを言うのだ、と感心させられる。
この“操れる感覚”があるから、ポルシェはただの移動手段では終わらないのだ。
自分の意思ですべてを動かしているという実感があるから、人々はこの車に「関係性」を持ってしまうのだろう。
現行の992やその他SUV、BEVはどうだろう
今現行として出ているのが911カレラの中でも992の後期モデル。デザインも研ぎ澄まされている。

991.1が991.2になり、ベースモデルにもターボが搭載された頃に、既に「新しい未来」を感じたのであったが、992はどうなのだろう。

※オプションでの搭載
2024年~2025年で992.1、992.2双方を運転する機会があったのでしっかりと体感してみたが、いい意味で同じ進化のベクトルをさらに飛び越えていく感じであった。

なんとまあ!と言ってしまいそうになるほど、運転者の思い通りにステアリングが動く。
また、ノーマルモードでの乗り心地はよりGTカーらしくなり、スポーツモードとのPASMの硬化を感じやすくなった。

しかしながら「操る感」を楽しみたい方は、逆に今こそ997や996、はたまた空冷モデルなど、過去モデルを試してみるのも楽しい選択肢かもしれない。
さて、エンジンはいかほどか。
レスポンス、吹け上がりは相変わらず驚く程に良い。
※余談ですが、GT3やGT4RSなどの一定モデルはクリープ現象がないため、慣れないうちは停車からの走り出しがブォンブォンしがちになります。

また、ブレーキも相変わらずよく効くのであるが、GT3やGT4あたりにもなると、ローターの雰囲気がモンスターみたく進化してくる。


また、コールドスタートのエンジン音は一回り大きくなったようにも感じた。
というのが、ただ音が大きくなったと言うよりは、音の性質が変化したような感覚。
NA時代とポルシェの始動音はジャリジャリ音というか(表現はまた改めたい。)、人間の発声で言うと「th」的な発音のような印象だった。これが「バォンッ」というような音になっている。破裂みが増した、と言うと良いだろうか。
鮮烈な感覚を覚えるのである。

マニュアルシフトも7速のものが存在するが、これもまたとても繋ぎやすいのである。

ここまでは911モデルについてだったが、カイエンやマカンはどうだろうか。
まず、マカンは「Sグレード以上否か」で大きく雰囲気が違う。
エンジンが4気筒▶6気筒と、そもそもが大きく変わってくる。

カイエンはGTSやターボになると6気筒▶8気筒と、ライオンのようなズッシリとした轟音を奏でるようになる
911やケイマン、ボクスターなどスポーツモデルと比べるとレスポンスは若干ゆっくりに感じるが、オフロードを通る事を考えると最適解だろう。
そして肝心の新時代のBEV。
タイカンのなんと運転しやすいことか。
滑らかすぎて驚いた。

しかもこのタイカン、ただEVと侮ることなかれ。
ハンドリングやブレーキの効きやすさは間違いなく「ポルシェのそれ」である。
※これについてはガソリンSUVやパナメーラなども同じではある
タイカン、ヴァイザッハパッケージのターボGTは恐ろしくて踏み切ることができなかった。
0-100km/h、2.3秒だとか。一言言うなら「こわい!」
車種による違い、結論。どのモデルも確と「ポルシェ」。

運転してみて総合的に思うが、ポルシェはどのモデルでもちゃんと「ポルシェ」を感じられる。
911だけが唯一の「純」ポルシェであると思われる方が一定数いらっしゃるのも理解はできる。
しかしながら、ポルシェが提供してくれる緻密さ、洗練度合い、対話感を思うと、どのモデルもちゃんと「ポルシェ」である、と、私は感じる。
世界の感性の海にうねりを起こし続ける、ポルシェカルチャーの醸成

海外ではこのように言われたり。
車のどのモデルにもしっかり「らしさ」がある事はよくわかった。
しかしながらその車自体の良さだけでは語れないような「何か」がポルシェにはあるような気がするのである。
Instagramなどを見ていても、クリエイティブな空気感を感じるポルシェに乗っている人は“無理をしていない”。
感性豊かな「オトナの界隈」みたいなものが他ブランドと比較してとても多く感じるのだ。見せびらかしたいのではない。
ラグジュアリーブランドでもある車にはある種の“誇示”がつきまとうが、ポルシェは「それ」ではない。
何がそうさせているのか?
例えば、Ted Gushue氏が編集長を務め、ポルシェを中心とし、アートやクリエイティブな物事を特集しているマガジンの「Type7」の存在。
Arthur Kar氏が代表である芸術的な自動車×ファッションレーベル「L’Art De L’Automobile」の艶めきのあるパールグリーンの968などもいい例だろう。
これらはポルシェが「公式的に」監修したり、グッズを販売したりもしているのである。
その他にイベント事も各地で開催され、東京は銀座、KK線を封鎖したLUFT TOKYOや同日開催されていたRUF × Gran Turismoの記憶も新しい。個人的には「10分92,400円」のコインパーキングをなぞらえた看板も中々に好みであった。
横浜赤レンガではEXCITING PORSCHE 2026も開催され、今年の3月は驚く程濃く充実した「ポルシェマンス」だったのではなかろうか。
ポルシェはどこへ向かう?

見出し写真のテールは992.1のものであるが、サイバーな宇宙船のようにも見えてくる。
パッと見の見た目は近未来を感じさせる要素が多くなってきたポルシェの最近のモデルだが、曲線をベースとした構造やインテリアの無駄のなさなど、変わらぬものは何十年と変わっていない。
より一層「カルチャー」の芽生えるブランドとして、今後の行く先を追いたい
ポルシェが唯一無二なのは、速さや性能だけじゃない。
ポルシェを選ぶ人、その周りに集まる人々、そしてそこに生まれる空気。
それらすべてが混ざり合って、ひとつのカルチャーになっている。
私が気になるのは新しいモデルが出ることはもちろんであるが、「どんな人が、これからポルシェに惹かれていくのか」ということだ。
ひょっとしたらポルシェは、「クルマ」ではなく、時間とともに「人間の感性」を変えているのかもしれない。
