ヘテロ女性へのヒント ‘80s
「石壁に百合の花咲く」というブログがある。「みやきち」さんという、非常に聡明かつ理知的な方が運営されていて、学びが多いし感銘を受けた記事はいくつもあるのだが、とりわけ強い印象を残したのはこの記事だった。
80年代にウィスコンシン大学のジェンダースタディーズの講義で配られた「あなたがレズビアンと出会ったら:ヘテロ女性へのヒント」と題された配布資料ということなのだが、これがとても的を射ているのだ。
1、部屋から走って逃げ出してはいけません。失礼です。
2、その場を離れねばならないのなら、ゆっくり、かつ慎重にそうするこ
と。
3、彼女があなたに惹かれていると決めつけてはいけません。
4、彼女があなたに惹かれていないと決めつけてはいけません。
5、あなたが彼女に惹かれていないと決めつけてはいけません。
6、あなたがレズビアンに会うことで興奮するのと同じぐらい、彼女が異性
愛者に会うことで興奮すると思ってはいけません。たぶん彼女の両親は
異性愛者です。
7、自分が異性愛者だと表明しようとしてただちに彼氏や夫の話を始めては
いけません。たぶん彼女はもうわかっています。
8、女の方が好きなのは性差別だと話してはいけません。また、男性も女性
と同じぐらい性差別に抑圧されているとか、女性は男性が性差別と戦う
のを手伝うべきだと話してはいけません。
9、彼女が男嫌いだと決めつけてはいけません。しかしながら、彼女は男性
がいるであろうイベントには出席したくないと思っているかもしれませ
ん。
10、どうしてレズビアンになったのかと尋ねてはいけません。どうして異性
愛者になったのかと自分自身に尋ねなさい。
11、彼女の経験をベッドルームの中だけのことと決めつけて矮小化してはい
けません。
12、彼女が男のように扱われたがっていると決めつけてはいけません。
13、彼女の女同士の恋愛関係が、男女の恋愛関係とは違って嫉妬や、コミュ
ニケーション不足や、浮気との戦い等が存在しないと決めつけてはいけ
ません。一方、彼女が不健全な恋愛関係にあると決めつけてもいけませ
ん。
14、あなたと彼女が友達になれないと決めつけてはいけません。なれると決
めつけてもいけません。
15、彼女の個性を尊重しなさい。彼女はレズビアンですが、メアリーやパム
やローリー(などの名前を持った、ひとりの人間)でもあるのです。
大切なことが書かれているのだが(多くの気づきをもたらしてくれる)、とりわけ⑤の「あなたが彼女に惹かれていないと決めつけてはいけません」という言葉が、初見で涙が出たほど「優しい」と思った。レズビアンに対して優しいのではない。ヘテロ女性に対して、思いやり深く包み込んでいるからだ。ここ分かんねー人には分かんねーだろうなと思うけど、そうなのだ。
……まあちょっと説明しとくか。解説要る? おれのだけど。
恋愛欲求や性愛欲求でなくても、ただの好意でも、性的少数者に対して感じた自分のその繊細な感覚を、「自分は異性愛者だから」と全否定しなきゃならない気分になる人っているのさよ。共感も否定する。それはどんな強迫観念だろうね。それがひとつ。もひとつは、後から自分が同性愛者だって気づく人っているんですよ。その時に傷を深くするからね。講義終わり。
いま読むと、当たり前すぎて古臭く感じるところもある。だが、一体何がこの40年間で「当たり前」になったのだろう? ぜんぜん当たり前になんかなっていない。「うわアップした記事にゲイからスキついてる。このRYOJIって俺のこと狙ってんじゃねーのか」と誰ひとり思わないなら、正しく時間は流れたと思えるけれど、必ずしもそうじゃねえだろう。
このリストはアメリカのウーマンリブとレズビアンの関係まで、当時の雰囲気を多少なり理解していないと読めないところもあり、そういう意味では「難しい」。しかし背景を知らずとも、ハッとさせられるところが必ずあるはずだ。テキストはテキストであって実践では自分のものにした言葉しか使えない(借りてきた言葉はビックリするくらい響かない)ものだけど、自分はどうかなあと考えてみるには、ちょうどいいくらいのテキストだと思う。おっやすみぃー。今日は0時に寝るんだよおれはよ。
