儲からなくてもいい、赤字にならなければセーフの理論。
今日の記事はとても長いです。いつもの倍以上の4500字ほどあります。
先日、こちらの本を読みました。『ももクロ非常識ビジネス学』です。
いつも読んでいただいている方であれば、僕がモノノフ(ももいろクローバーZのファン)であることはご存知かもしれません。が、この本はビジネス的な視点で書かれており、ファン以外の方にこそ読んでもらいたい一冊だと感じました。
本に書かれている内容をざっくりと言うと、【非常識なアイドルのプロモーション戦略が成功した要因】がまとめられています。
他の業種であっても、商品やサービスを開発・プロデュース・プロモーションの戦略を考える上で参考になる部分が多々あるんじゃないかと思います。
ファンの色眼鏡も多少は入っているかもしれませんが、僕なりに「ここは学びが多いぞ!」と感じた項目を5つ紹介させてもらいます。
効率の悪い「生歌」にこだわったのは究極の「先行投資」
ももクロと言えば、一切の口パクをしないアイドルとしても知られています。そんな彼女たちが「生歌」を武器にするまでには多くの苦労がありました。
しかし、その苦労を承知の上で、運営側は「生歌」にこだわってプロデュースしています。その理由について、こう書かれていました。
なぜアイドルの運営があまり生歌に積極的でないかというと、そこにはビジネス的に大きな理由が存在する。
生歌にこだわると、どうしても準備に時間がかかるからだ。
ボイトレは欠かせないし、歌番組ではじめて歌う曲があれば、事前にしっかりとレッスンをしなくてはいけない。(中略)
普通の運営であれば「そんな時間があるんだったら、どんどんほかの仕事を詰めこんだほうがいい」となる。短期間で稼がなくてはいけないアイドルだから、その考え方はビジネス的には大正解なのだ。
だが、目先の利益よりもライブの充実のためにレッスンに時間を割いたももクロは、いまだに成長をつづけている。まさに生歌は最高の「先行投資」だった。
出典:ももクロ非常識ビジネス学 P31
後述する部分ともかぶりますが、ビジネスにおいてどこまで遠くを見て今やるべきことに取り組めるか、は重要な視点だと思います。
通常は一瞬で過ぎ去るアイドルの売り時の利益を捨ててでも、長期的な先行投資に時間を割いた決断は、学ぶべきポイントのひとつだと感じました。
「旬」だからと売り急がない
先ほどの内容と重複するようですが、ももクロの売り急がない戦略は本当に必要な視点だなと感じます。
20歳を超えると商品価値が薄れると言われているアイドル業界において、10代を力をつけるための準備期間に当て続けていました。さらに、「握手会」のような接触イベントを実施せず、アイドルに欠かせない要素でもあった「水着グラビア」も頑なにNGを出し続けてきました。
もっと言うと、『テレビにあまり出ない』という戦略も取っていたようで、その理由についてこのように言及されています。
その流れにあるのが『テレビにあまり出ない』という戦略。(中略)
テレビにいっぱい出ている=売れているというのが世間の認識。だから、あまりテレビに出ないももクロは「そんなに売れていない」というカテゴリーに入っているのかもしれない。
ただ、それでもいいという考え方なのだ。(中略)
単発の番組にゲスト出演しまくるよりも、深夜枠であっても冠番組を長くつづけたほうがいい。
現在では複数のCMにも出演しているので、なにげにテレビに「映っている」総時間はかなりのものになるが、無理やり売れている感を打ち出すのではなく、地道に長く番組をつづけていくというテレビとの向き合い方もまた、アイドルとしての「旬」を意識していないからこそできる戦略である。
出典:ももクロ非常識ビジネス学 P39
単発のバズを狙うよりも、たとえ地味でも毎日更新を長く続けた方がいい。WEB発信者は耳にタコができるぐらい聞いてきた内容にも合致します。
『太く短く』よりも『細く長く』を目指す。そう考えるべき視点は次のポイントで語られています。
メンバーの「人生」がすべての価値基準となる
アイドル界の常識を覆した戦略を取っているのは、価値基準をメンバーの人生に置いているからこそという背景があります。
マネージャーである川上アキラ氏の次の言葉からも、その想いはヒシヒシと伝わってきます。
さまざまな「非常識」の裏にあるもの。
それは「メンバーの人生を考える」ということである。
マネージャーの川上アキラは常々「みんな小学生や中学生でこの世界に入ってきた。我々は親御さんたちから彼女たちの人生を預かっているわけで、その責任はしっかりと果たさなくてはいけない」と語っている。
アイドルを単なるビジネスとして考えれば、どんどん消費して、疲弊してしまったら若い新メンバーを補充すればいい。
だが、彼女たちの人生を長いスパンで考えた場合、まったく逆のやり方が「正解」ということになる。
出典: P63ももクロ非常識ビジネス学 P63
いわゆるビジネスライクなスタンスも、否定はしません。ですが、やっぱり応援したくなるのは、運営サイドが演者の人生を一番大事に考えている方だなと。
儲からなくてもいい、赤字にならなければセーフの理論
ただ、普通に考えれば、アイドル事務所もビジネスなので「旬」を狙わないことは運営の土台そのものを揺るがすことになり兼ねません。
それでも運営側が長いスパンで事業を見据えられたのは、事務所の方針に救われた部分も多かったように思います。
ももクロはあえて「アイドルの旬」を追い求めず、長いスパンでの活動を念頭に置いてきた。これは大きな意味を持っている。
短い旬を意識すると、その間にできるだけ稼いで回収しようと考えざるを得ないが、旬にこだわらなければ、そこまでガツガツ金儲けに走らなくてもよくなる。(中略)
事務所にとって「稼ぎ頭」ではない。もっと言えば、どんな結果になるかわからない新規事業である。
それゆえに、会社からも「儲からなくても赤字にならなければいい」という、ありがたい免罪符をもらっている。
この基本方針はファンに対しても公言しているので、モノノフにとってはおなじみの話なのだが、現場の人間としては、こんなにも精神的なハードルが下がる経営指針もない。
出典:ももクロ非常識ビジネス学 P75~76
ももクロが所属しているのは、スターダストプロモーション。メインは俳優や女優のマネジメント事務所であり、ももクロ誕生前まではアイドルには一切ノータッチでした。
だからこそ、「赤字にならなければいい」という方針を打ち出して運営することができたわけです。
会社の母体がしっかりしていたから大胆な戦略を取れたとも言えますが、細く長く愛さ続けるためには必要な考え方じゃないかなと思いました。
エンタメ業界では「朝令暮改」も是である!
そして最後に。これまでの4つとは少し毛色が違いますが、学ぶべき視点だなと思ったのでこちらも紹介させていただきます。
だが、ももクロの現場では「面白くないことがわかっているのに、なんでこの演出をやらなくちゃいけないのか?」と、即座に取りやめになる。
たしかにこれまでの準備はすべてパーになる。小道具を用意していたらそれもすべて無駄になってしまう。そういうこともあって、多くの場合は妥協して、そのまま強行してしまうものだ。
その理屈はよくわかるが、ももクロ流のエンターテインメントの考え方でいくと「準備が無駄になる」というのはあくまでもこっちの事情であって、お客さんには関係がない。それよりも、「提供する側が『そんなに面白くならない』と思っていることを強行するほうがよっぽど失礼だ」となる。
あくまでも顧客ファースト。(中略)
短期的には無駄が嵩む形にはなるが、その無駄を受け入れないと、長期にわたってビジネスとして成功するのは難しくなってくると言っていいだろう。
出典:ももクロ非常識ビジネス学 P191
これ、どの分野においても胸に刻んでおくべき内容だと思うんです。
どんなサービスを提供するにしろ、どんな商品を販売するにしろ、どんなコンテンツを生み出すにしろ、顧客ファーストであるべきだと。
提供側の事情で手間や無駄を惜しんではダメだなと、僕自身も自戒の念にかられました。合理的な方法を選ぶことに注力するのではなく、顧客と向き合い顧客を満足させる努力をすることからは逃げないでいたいなと。
まとめ:世間の「あり得ない」も、当たり前に変わる。
いかがだったでしょうか。
モモノフからすると「何をいまさら」という内容も多いと感じるかもしれませんが、フラットな視点で読んでも戦略の合理性は高いなと思います。
業界の常識に囚われることなく、当たり前を当たり前に実施する。その積み重ねの結果が、いまのももクロなんだろうなと。
筋の一本通った戦略は、「あり得ない」と「当たり前」に変えていく。そんなことを感じられる一冊です。
もし興味が湧いたらぜひ読んでみてください。
今日は僕の趣味を全面に出した記事になりました。楽しんで読んでもらえていたら嬉しいです。1月最後の日曜日も充実して過ごしていきましょう。
では、またあした〜!
おまけ:りょうかん的「ももクロ神曲」ベスト3!
ここまで読んでくださった方であれば、きっと少しはももクロに対して興味を持ってしまっていることと思います。
というわけで、独断と偏見で選んだ「ももクロ神曲」のベスト3を紹介させていただきます! この3曲を聴けば、ももクロにハマること間違いなし!
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