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AIをいかにして人間の体温に近づけるか?KARTE AI のキービジュアルができるまで

この記事はPLAID Designer’s Advent Calendar 2025 25日目の記事です。


まだ誰もイメージがつかない「KARTE AI」を描く

こんにちは、プレイドのデザイナーのtoriです。
今期からプロダクトデザインとコミュニケーションデザインの橋渡し役としてプロダクト・コミュニケーション・ユニットにも所属しています。
2025年秋に「KARTE AI」のデザインを手がけ、リリースしました 🎉

KARTE AI とは?
KARTE AIは、Webサイトやアプリにおける顧客体験(CX)向上を目的とした、AIソリューション群です。 KARTE独自のカスタマーデータとAIを組み合わせ、「顧客理解・分析」「顧客体験の創出とデリバリー」「AIネイティブ×カスタマーデータドリブンな業務プロセス変革」の3つにフォーカスしてプロダクト開発を推進、統合的にサポートします。 マーケターの創造性を引き出し、人とAIが協働することで企業のCX変革を加速させます。

https://plaid.co.jp/news/20251030/

KARTE AIのキービジュアルとLPの制作プロセスを通じて、どのようにして「KARTEらしいAI」を視覚言語へと翻訳していったのか、思考プロセスと制作背景を辿っていこうと思います。

ありふれてしまったAIのイメージ

一般的に「AIのデザイン」と聞くと、なんとなくイメージするものがあります。(冷たい青色の光とか、複雑な回路図。あるいは、無機質なロボットのようなイメージです。)

一方で最近のトレンドを見渡すと、ちょっと空気が変わってきている気もします。

OpenAIは、印象派の絵画のような鮮やかな色使いで、アナログな表現をしていますし、Microsoft AIも機械的な冷たさを避けて、どこか温かみのあるデザインに回帰していたりします。

OpenAIのブランディングに使われているアナログな絵筆のタッチは、人類が長い歴史の中で育ててきた絵画というモチーフを通して「文化」と「人間性」を感じさせます。

あえて、真逆のイメージを利用することで、古いSF的なAIのイメージを払拭し、「あくまでも人類の文化の延長線上にある道具である」という安心感を醸成しているのではないかと想像します。

Open AI

世の中には色々な「AIの顔(イメージ)」があふれてる。
「そんな時代にKARTEが提供したいAIの姿とはなんだろう?」
Figmaを開く前に、頭に浮かんだのはそんな問いでした。

流行りをなぞるだけでは、プレイドが大切にしてきた価値観や独自性は消えてしまう。かといって、AIっぽさを消して逆張りしすぎると、メッセージの趣旨が伝わりづらくなってしまう…。デザインを進めるにあたり、大きな壁にぶつかりました 🤔


コンセプトのコア「人とAIの協働」をどう描くか?

「プレイドらしい、KARTEらしい、温かみのあるAIとは何か?」
その問いに答えるために、デザインの強度を上げる作業 = デザイン要件を抽出します。

KARTEのプロダクト内では、AI機能であることを示すために「紫のキラキラ(Sparkles)」をアイコンとして使うUIパターンが定義されています。機能との接続性を担保するには、「紫のキラキラ(Sparkles)」を視覚的モチーフとして使用する必要があります。

KARTEのデザインシステムで定義されているAIのUI Component

しかし、キービジュアルで単に「紫色のAIっぽい何か」を描くだけでは不十分だと感じました。 それだけではプロダクトの機能性を打ち出すだけに過ぎず、今回のキービジュアルにはそれ以上のメッセージを包含させる必要があったからです。

KARTE AIのコンセプトは「人とAIの協働」「Co-creating with AI(人の創造性に、AIの力を)」

人がAIに使われるのでも、AIがすべてを自動化して人を不要にするのでもない。 人が「誰かを想う(顧客理解)」という、最も人間らしくエモーショナルな営みをAIがエンパワーメントする。

単なる機能やツールの紹介に留まらず、「人のポテンシャルを解放する存在」としてのAIをどう表現するか。機能の羅列ではなく、目に見えない人とAIの「協働」とは何か?を描くことが、今回の一番の見せ場でした。

「化学反応」と「相乗効果」をコンセプトに

試行錯誤の末、たどり着いたデザインのコンセプトは、足し算でも掛け算でもない、もっと不可逆な変容 ─「化学反応」と「Synergistic(相乗効果)」です。

AIは道具でもなく、支配者でもない。人の隣に立ち、協働し、人と人の間にシナジーを産む存在<触媒>であると定義しました。

AIが存在することで、人と人の想いの重なりが増え、融合していく。 そこから生まれる相乗効果によって、爆発的な創造性と循環を生み出す。
この抽象的な「熱」のような概念を、3つの視覚要素へと落とし込みました。

1. 色の設計:溶け合う感情と知性

次に頭に浮かんだ色彩イメージは「色」の混ざり合いです。 AIを表す「紫」を単色で使うのではなく、あえて複数の色を表現に入れたいと考えました。

黄(Emotion): 人が人を想う気持ち、心の温かさ、感情
緑(Clients/User): KARTEのブランドカラー、ユーザー、企業
紫(AI): 知性、テクノロジー、拡張

この3色を、境界線なく混ぜ合わせ、「グラデーション」でうねるように動かす。人とAIが対立するのではなく、互いに溶け合いながら影響し合う現象のメタファーです。

コンセプト説明資料で使用したKARTE AI の色の定義

2. 形のメタファー:ハートとダイヤ、そこから生まれるラジアル(放射線)

次に、形(シェイプ)による意味付けです。 キービジュアルでは、「ハート(人)」と「ダイヤ(AI)」という2つの要素を隣り合わせに配置しました。

ハート(人の想い):
不定形で有機的な「人の想い」や「創造性」。柔らかく、温かい存在。
ダイヤ(AI):
膨大なデータから導き出された「AI」。最新のテクノロジー、知性。
ラジアル・放射線(創造性):
創造性の解放、一気に解き放たれる、爆発

あえて対照的なこの2つが同じ大きさで、横に並び立ち、その内面はグラデーションが絶え間なく循環する。トップのビジュアルでは、人とAIのCo-Creation(共創)の関係性を端的に表現しました。

またハートとダイヤ、異質な二つが出会った結果として創造や可能性が生まれる。四方八方へ一気に解き放たれる瞬間をラジアルシェイプで表現しました。

3. モーション:「混ざり合う」を表現する、呼吸するグラデーション

混ざり合って、形を変えて、また混ざる。その「過程」にこそ、我々が考える「AIとの協働」のリアルがある気がしたのでアニメーションを入れることを最初から想定してデザインを検討しました。

静止画ではなく、常に混ざり合い続けている状態こそが、私たちの考える「協働」の姿だと感じました。

目指したのは、呼吸するグラデーション。 予定調和なループではなく、予測不能なうねり。 人とAIが、お互いの呼応して混じり合うような「ダイナミックな融合」。

これらを表現するために常に動き続けるグラデーションが良いなと思いました。適切に表現するためにデザインエンジニアとアニメーションを考えてトップビューに実装しました。

今回入りきらなかった追加要素:データは「個」の集合体である

一見滑らかに見えるこのグラデーションですが、拡大してみると、実は細かな「ドットの集合体」で構成されているようにしたかったのです。
(ドット一つひとつは、「N1のデータ(一人ひとりの顧客)」を表している)

KARTEにおいて、データは無機質な数字の羅列ではありません。その向こう側には必ず「人」がいます。AIが処理するのはビッグデータですが、私たちが大切にしたいのはその中にある「個人の感情」や「文脈」です。

「AIという大きなうねりの中にも、一人ひとりの個が確かに息づいている」 そんなメッセージを、このテクスチャの質感に込められると良いなと思いましたが時間切れのため今回は諦めました、笑。


人とAIの関係性を描く

AIというと、どうしても「効率化」や「自動化」といった側面に目がいきがちです。

KARTE AIのデザインを通して伝えたかったのは、「AIは、人を疎外するものではなく、人がより人らしく生きるための触媒である」ということです。

AIが進化すればするほど、逆説的ですが「誰かを想う気持ち」や「創造する喜び」といった、人間だけに許された特権が際立ってくる。
KARTE AIは、その人間らしさを最大化するために隣にいます。

ハート(あなた)の隣に、ダイヤ(AI)がある。その2つが混じり合ったとき、これまでにない新しい景色が見えてくるはずです。

「Co-creating with AI(人の創造性に、AIの力を)」

ぜひKARTE AIのキービジュアルからも感じていただければ嬉しいです。

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