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私たちの英語学習のゴールはどこか?

私は中学生や高校生の時、勉強していればいつかアメリカ人のようになれると真剣に信じていました。それが私の英語学習のゴールでした。バック・トゥ・ザ・フューチャーに出てくるアメリカ人のようになれるだろうと思っていました。しかし、そのゴールを強く持ち続ければ持ち続けるほど、がっかりする機会が多かったのを覚えています。初めてアメリカのシカゴ空港のマクドナルドに行って「ダブルチーズバーガー」と最高にカッコよく言ったつもりでしたが、店員に大きな声で少々にらんだ感じで「HUH?」と連続で言われたり、PlayとPrayの発音の区別ができなくて、英語しか話せないアメリカ人にニヤニヤされながら指摘されたり、英語で作文したものがアメリカ人の先生に理解されずに、真っ赤っかにされて元の形がないくらいに訂正されたこと、道端を走っていたら「Hey!! カンフー」と大きな声で呼ばれて、アフリカ系アメリカ人の人にニヤニヤされたことなど、数を数えればきりがありません。そういう経験をする度に考える事はいつも同じでした。

「私はいったい何に向かって英語を勉強し、どうなる事が目標なのだろうか。さらに、私たちは一般的にネイティブと言われているアメリカ人のようになれるだろうか、なりたいのだろうか、なる必要があるのか。」

英語学習をしていく上で、私たちが持っている可能性について考えてみました。以下4つではないでしょうか。

①日本語が話せない、英語はネイティブ

②日本語は会話程度くらい、英語はネイティブ

③日本語はネイティブ、英語は日本的な特徴はあるが表現したい事は言える

④日本語はネイティブ、英語も専門的な分野についても問題なく表現できる

①は今からなろうと思っても不可能かと思います。②はこれからどこか英語を使わなければいけない場所に住んで、日本語を忘れるくらい長い期間生活する予定があれば可能かもしれないですが、現在日本にいる学習者のほとんどが②を目指すのは現実的ではないと思います。よって残されるのは③と④かともいます。「英語が使える日本人」の育成が日本の高校生に向けた目標と言われていますが、私たちが可能なのは「日本語ができる英語話者」であって、バイリンガルなのではないでしょうか。つまり、日本語や日本の文化を完全に捨ててまで英語話者になることは、元々望ましくない結果なのかと思います。アメリカ人のようになる事を目指し続けたい人は、そのまま続けられると思いますが、そうでない人は日本の文化を日本語的な色のある英語であったとしても、自信を持って他の国の人たちに伝えようとする姿勢こそが必要になってきているのではないでしょうか。

私の場合、「アメリカ人になれないし、なる必要はない、日本人として英語を話して何が悪い」と思った日からコミュニケーションの失敗を恐れず堂々と英語を使えるようになった気がします。いろんな国から来ている人たちが、完璧ではないけれども、一生懸命自分の国の事を伝えようとしている姿を見て感じる事ができました。「猫舌」とは何かをヨーロッパから来ていた留学生に英語で説明したら、それ以来熱い物を食べるとみんな「You have a cat’s tongue!!」と連発するようになったり、マンガについてアジアの学生たちと話をしたり、アジア各国(特に韓国)の同じ年くらいの友達が軍事訓練にいかなければいけないことについて、日本は軍事訓練が強制ではないけれどもどう思うかを聞いたりすることが非常に有意義でした。

後で気づいたことですが、どうやらそういった積極的に姿勢こそがバイリンガル、マルチリンガル(いくつも言語が使える人)を目指す際に必要な要素だったようです。最近の研究ではバイリンガル、マルチリンガルのあり方について様々な主張がされています (e.g.英語学習者の英語を英語しか話せないアメリカ人やイギリス人の英語能力と比較する必要はないし、文化的要素も踏まえてそのような英語を身につける事を目指すのは現実的ではない(Kirkpatrick,2011)、バイリンガルやマルチリンガルは一つ以上の言語、文化を体験するため、視野が広く、言語や文化における寛容性があり、一つしか言語を話せない人よりも利点が多い (Baker,2010))。

長い間、英語はアメリカ人やイギリス人のみの所有物であると考えられ、欧米の文化や価値観を取り入れる手段として考えられてきたため、そういう目的で英語を学習してきたかもしれません。しかし、英語という言語がネイティブの数よりもノンネイティブの数の方が多いという歴史上他にはない言語になっている今、英語は多くの人がそれぞれの文化を表現するための共通語、仲介言語、追加言語としての特別な地位を担ってきているかと思います (e.g. Honna et al. (2012))。さらに、バイリンガル、マルチリンガルの数が韓国でも中国でも世界でどんどん増えているため、日本人として英語を使って表現ができる人材は非常に必要とされているかと思います。経済的に日本は中国に抜かれて世界3位ということになっていますが、日本の文化についてはずっとアジア諸国を始め世界でも非常に好まれているようであるため(日本食、文化、マンガ、アイドル、ファッションを始め多くの若者文化が流行っている)、私たちもネイティブと言われる人たちに劣等感を感じる事なく、しかし「通じる、伝える」ための日々の努力を惜しまずに、日本の文化や自分の事を英語で海外の人たちに伝えていこうという積極的な姿勢を持ち、バイリンガルそしてマルチリンガルを目指していくことこそが私たちにとって、現実的で達成可能なゴールではないでしょうか。

今日も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

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Baker, C. (2004). Foundations of Bilingualism and Bilingual Education. Clevedon: Multilingual Matters.

Honna, N., Takeshita, Y., & D’ Angelo, J. (2012). Understanding English across cultures. Tokyo: Kinseido Press.

Kirkpatrick, A. (2011). English as an Asian lingua franca and the multilingual model of ELT. Language Teaching,44(2), 212-224.

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