英語が「通じる」を考える - 発音の観点から
英語という言語が、いわゆるネイティブと言われる人の所有物と捉えるのは古い考え方というのは以前に触れてきました。異なる言語・文化バックグラウンドの人が集まった時に、共通語として英語を使うこと (English as a Lingua Franca) が当たり前になっている今、必要とされているのはネイティブさ (Nativeness)ではなくて、Intelligibilityであると言われています。
では、Intelligibilityとは一体何か。いくつかの辞書で和訳を調べると「理解できること、了解度」と出てきて、「通じること」とも捉えることもできるかもしれないけれども、敢えて英語のままIntelligibilityとして使っていきたいと思います。ELFの学者が述べている学術的な定義については、専門的になっていくので追って見ていくことにします。
Intelligibilityを考える際に言語学的にも言われている以下の4つの階層と言われています。

下から上に行く感じになりますが、この4つのレベルを分けて考えていきたいと思います。まずは、上記の一番下の音韻・音声学的側面 (Phonetics, Phonology)からです。
発音が理由で通じないことは確かにあります。理由としてはいくつか挙げられるが、母国語にはない音を外国語で発する必要があったり、母国語には存在しない音を聞き分ける必要があるので、脳が音を認識できていないという可能性もあります。例えば、日本人がよく話題になる /l/ と /r/ の使い分けや、/b/と/v/ の使い分けについては、音が私たちの耳に入ってきた時に、脳が日本語で一番近いと思われるところで判別している可能性が高い。これは産まれたばかりの赤ちゃんの脳から、私たちが成長するにつれて、脳がいらない能力を忘れていくというプロセスの中で、違う音であると認識する能力を捨てていったということなので、私たちにはコントロールができない部分でしょう。
例えば、タイ語で /n/ と /ng/ の違いはタイ人にとってはとても大切で、意味も変わってきます。しかし、日本人にとっては同じ「ん」という表記なので無意識に違う音を出していたとしても、意識的にその音を出すのが難しい。彼らに言わせると「ろっぽんぎ」と言う際の「ん」がいわゆる /ng/ に当たるとのことです。
つまり、自分の体を楽器と考えたときに、ある程度は意識的に楽器を違う使い方をする必要が出てくるでしょう。日本語でどのように音を出しているのかという無意識で行っているところを振り返り、音を意識化して外国語で必要とされる音を出したり、意識的に聞く必要が出てきます。
そのために必要な能力としては、音の定義を知ることと、音を可視化することだと言われています。次回からは音の定義と音の可視化について、子音・母音と順に見ていきたいと思います。
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