「ピーターズクラブ」で堪能する<ゴルフ倶楽部>という集団
新橋駅の烏森口を出て徒歩3分。小さな行灯が目印のその料理屋は、かつて先輩ゴルフライターに連れられて来たことがある。ゴルフ関係者の出入りも多く、店主も大のゴルフ好き。久しぶりに訪れると「今度、ピーターズクラブの例会があるので一緒に参加しませんか?」と店主が声を掛けてくれた。
ピーターズクラブとは「ピーターたちのゴルフマナー(ゴルフダイジェスト社)」の著者・鈴木康之さんが1998年に設立したゴルフ倶楽部で、名前を聞いたことはあるものの、どんな人が集まり、どんな雰囲気なのかは知らなかった。しかし、この誘いをきっかけに、私はふた月続けて例会に参加して、勢いでメンバーにもなってしまった。そこで、新参者ではあるものの、逆に新参者なりの視点から、倶楽部の様子を皆さんにもご紹介してみようと思う。
ピーターズクラブとは?
古河ゴルフリンクス(茨城県)をホームコースとし、真夏の7月、8月を除いて月1回、歩きプレーによる1対1のマッチプレーが行われている。倶楽部のモットーは「質素」、「セルフ」、「本来」、「ハート」という4つの言葉に集約される。自然の中でありのままに、ゴルフの本質に沿うプレーをして、仲間と楽しい時間を過ごす。リンクススタイルの古河で、マッチプレーを、カートを使わずに歩いてプレーすることに、この精神は如実に表現されている。
ただプレーするだけでなく、メンバー同士の交流や、ゴルフの文化や歴史の理解を深めることも、倶楽部が重視している要素である。朝は遅くともスタートの1時間前にコースに着くよう推奨される。この1時間はウォームアップはもちろんのこと、他のメンバーたちと歓談するための時間でもある。ラウンド後には<19番>と称される小パーティも催される。

初参加を前に、店主からは「カップ周りを踏まないこと。プレーファスト。目土をしよう。お互い仲間とハートフルなラウンドを」というメッセージが届いていた。4月の早朝、「どこまでマナーに厳しいのだろう?」と微かな不安を抱えながら、白のポロシャツにグレーのパンツという無難なウェアで古河へ向かった。
コースに到着すると、受付横のテーブルで先着メンバーたちがのんびりと談笑していた。年齢層は50歳から最高齢は88歳!女性も多く、穏やかでアットホームな雰囲気は、すぐに居心地の良さを感じられた。
もっとマッチプレーを楽しもう!
コースに出れば、マッチプレーが待っている。ストロークプレーとの大きな違いは、ホール毎に勝敗がつき、ダボを叩こうが、バーディを獲ろうが、ホールの勝ち負けは相手次第だということ。ホールの勝敗が決すれば、それ以上そのホールをプレーする必要もない。俄然プレーは速くなるし、なにより相手をよく見るので、相手の性格もよく分かる。逆もしかり、ということを忘れてはいけないのだが…。
2度目の例会は倶楽部の初期メンバーであるK女史と対戦した。2度目で余裕が出てきたのか、少しずつマッチプレーの機微も感じられるようになっていた。あるホールで、私は1m強のパットを残し、Kさんは80cmにつけていた。私が打つ前にKさんにOKを出すと、Kさんは少し驚いた様子だった。数ホール後、今度はKさんがパットを沈めてから「さっきOKをもらったから」と私の80cmをOKしてくれた。今度は私がおやっと思った。

違いはOKを出すタイミングだ。前者の場合、自分がパットを外すと<ホールの負け>が確定する。後者はOKを出した側はすでに<負けない>状況である。そう考えると、後者の選択は合理的だ。数ホール後、Kさんが70cmを外したのでアップを奪ったが、OKを出さずにちょっぴり意地悪をしたような気もして、心は揺れ動く。自分は正しい行いをしているのだろうか?
残り5ホールで3アップ。だが、5番、7番、8番と獲られてオールスクエア。最終ホールは私が第2打を小川に入れ、ウォーターショットを試みたあげくに出ないという失態を演じて逆転負け。終わってから「あそこは1ペナで出さないとダメ。出してもボギーは獲れるんだから」と助言されたが、負けた悔しさよりも、ゲームの楽しさやKさんの喜ぶ顔を見られたことがうれしかった…という感想は、単なる負け惜しみに聞こえるだろう笑
ゴルフ倶楽部という集団
ラウンド後はシャワーを浴びて、19番ホール(クラブハウス内の小部屋)に向かう。ケーキを食べ、コーヒーを飲み、幹事が連絡事項を伝えたり、持ち回りで誰かがゴルフ談話を披露したりする。夏にはタウンパーティと銘打たれた、ゴルフ抜きの、都内での集会もあるという。
世代や性別、地位や職業も超えたゴルフ倶楽部という集団。世に名門と言われるゴルフ場には、それなりの社会的地位を持った人々が集まるが、ピーターズクラブに集うのは<こんなゴルフが好き>という人たち。友人とプレーしたり、一人予約の気軽さも良いけれど、同好の士が集まる倶楽部という存在もまた魅力的だ。

2度目の例会のあとには、ここで知り合った御仁と宮城県まで遠征したが、その話はまた別の機会に!
<了>
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