「料理はセンスじゃない」理系高校生が「料理のなぜ」マガジンを作りました。
料理はセンスだと思っていました。
手際の良さや経験、感覚の鋭さ。
そういった曖昧なものの積み重ねで決まる世界だと。
しかし、料理について考えたり実際に作ったりする中で、少しずつ見え方が変わってきました。
料理はセンスではなく、むしろ明確な“構造”によって成り立っているのではないか。
そう感じるようになったのです。
たとえば、加熱すると肉が柔らかくなるのはなぜか。
きのこを炒めると最初に水分が出てくるのはなぜか。
冷ますことで味や食感が変わるのはなぜか。
こうした現象にはすべて理由があります。
そしてその理由は、料理の中だけで完結しているわけではありません。
むしろ、料理の外側に広がるさまざまな分野とつながっています。
料理の「なぜ」を4つの視点で整理するマガジン
今回作ったマガジンでは、料理に関する「なぜ」を、4つの領域に分けて整理しています。
① 自然科学:料理で起きている現象そのもの
ここでは、料理を物理や化学の視点から捉えています。
なぜ加熱でタンパク質が変化するのか
なぜ油と水は混ざらないのか
なぜ香りは熱によって立ち上がるのか
料理で起きている変化を分解していくと、その多くは分子レベルの現象として説明できます。
ここでは「感覚」ではなく、「仕組み」として料理を理解していきます。
② 認知科学:人が“おいしい”と感じる仕組み
同じ料理であっても、人によって感じ方が異なります。
なぜ香りが味の印象を大きく左右するのか
なぜ見た目が味の期待値に影響するのか
なぜ記憶と味覚が結びつくのか
ここでは、料理そのものではなく、人間の知覚や認知の仕組みに注目しています。
いわば、「食べる側の構造」を扱う領域です。
③ 人文科学・社会科学:料理が形づくられる背景
料理は自然現象だけでなく、文化や社会の影響も強く受けています。
なぜ地域によってパン・パスタ・米文化に分かれたのか
なぜスパイスの使い方に地域差があるのか
なぜ「家庭の味」という概念が生まれるのか
気候、歴史、経済、流通などの条件によって、料理の形は大きく変化してきました。
料理はそのまま、人間社会の積み重ねでもあります。
④ 日常・思考:料理を通して見えてくるもの
この領域は、もう少し個人的な視点です。
なぜ料理をすると観察力が高まるのか
なぜ失敗からしか気づけないことがあるのか
なぜ「考えて作る」ことが面白く感じられるのか
料理は単なる作業ではなく、思考の訓練にもなります。
日常の中にある小さな違和感に気づくきっかけにもなります。
このマガジンで目指していること
このマガジンは、レシピを増やすためのものではありません。
「おいしい作り方」を集めるのではなく、
「なぜそうなるのか」を言葉にしていくことを目的としています。
料理をセンスとして捉えるのではなく、
誰でも理解できる“構造”として整理していくこと。
その積み重ねによって、料理の見え方そのものが少しずつ変わっていくと考えています。
これまでに扱ってきたテーマ
・きのこはなぜ最初に水分を出すのか(自然科学)
・香りが味覚に与える影響(認知科学)
・小麦が地域ごとに異なる食文化を生んだ理由(社会科学)
・味見が大切な理由(日常・思考)
一見すると当たり前に見える現象の中にある、「なぜ」を一つずつ整理していきます。
おわりに
料理はセンスではなく、
まだ十分に言語化されていない“構造の集まり”なのだと思います。
その地図を、少しずつ描いていくつもりです。
