【皆既日蝕現地レポート】涙が溢れた奇跡の1分間。サンセット皆既日食の現場で学んだ「現地で体験すること」の価値
皆さんおはようございます。8月13日、木曜日の朝をバレンシアからお届けしています。
昨日の皆既日食、本当に、本当に凄かったです。
僕たちはこの一瞬を見るためだけに、アルブフェラ湖沿いのアパートメントを12泊予約しました。夕日がどこで一番綺麗に見えるか、人が混み合わないか、警察の交通規制がどこに入るかなど、連日現地を歩いて入念に下調べを重ねてきました。

昨日もお昼頃に現場へ様子を見に行くと、すでに場所取りをする人々が集まり、警察が駐車禁止ゾーンを作り始めて熱気が高まっていました。急いで僕が先行して場所を確保し、その間に妻が水筒やカメラ機材一式を準備して持ってきてくれました。

そこからは、まさに灼熱との戦いでした。日傘を差し、機材を守りながら1人で待機すること約5時間。あまりの暑さに途中過呼吸になりそうになりながら、半分瞑想のような状態でその時を待っていました。

言葉を失い、自然と涙が溢れた暗転の瞬間
そして、ついにその時がやってきました。
太陽と月が完全に重なり、世界が一瞬にして異世界の静寂と暗闇に包まれた、わずか1分間ほどの出来事です。
タイムラプスの映像を見返すと、自分自身でもカメラを構えながらかなり興奮して声を上げているのですが、肉眼でその光景を見つめている時、僕の目からは静かに涙が溢れていました。
何か辛いことを抱えていたわけでも、悲しいことがあったわけでもありません。ただただ、目の前に現れた自然の圧倒的な壮大さと神秘、人間の存在のちっぽけさに、魂が震えたのだと思います。
世の中にはかっこいいファッションや最先端のテクノロジーなど、凄まじいプロダクトがたくさんあります。けれど、この言葉を失うような自然の美しさと感動だけは、どれだけ技術が進化しても人間には作ることができない領域なのではないかと、深く実感させられました。
再生ボタンひとつで何でも見られる時代だからこそ
今はインターネットを開いて再生ボタンを押せば、世界中の美しい映像が瞬時に手に入る時代です。映画館へ行けば迫力ある映像を見ることもできます。
けれど、これだけの時間と労力をかけて、過酷な環境の中で自分自身の身体を使ってその現場に立ち、五感で体験することの圧倒的な価値。昨日の1分間は、その「一次体験の尊さ」を僕の人生に強く刻み込んでくれました。
実は妻も、連日の酷暑に参っていて、日食に対してあまり乗り気ではありませんでした(笑)。「なんでこんな大変な思いをしてまで待つの?」という空気もあったのです。
けれど、日食が終わった直後、目を輝かせてこう言ってくれました。 「あんなに美しいものは人生で見たことがない。本当によかった。次の皆既日食が世界中のどこであっても、絶対に見に行きたい!」
まさに「百聞は一見にしかず」。最後には同じ深い感動を共有することができて、心から「諦めずに見届けて本当によかった」と思えました。
バレンシア市内へ。次なる章の始まり
今日は部屋を片付け、バレンシア市内にある次の家へと引っ越しをします。
9月からは日本から知人やお客さんが訪ねてきてくれたりと、また賑やかでバタバタとした日々が始まりますが、この胸に残った豊かな余韻を大切にしながら、目の前の暮らしと仕事を丁寧に捉え直していきたいと思います。
本日は日食の感動ばかりのお話になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
日本の皆さんも厳しい暑さが続いていますので、どうかご自愛いただき、素敵な木曜日をお過ごしください。
本日は以上になります。ありがとうございました。





