もうすぐ さよなら ホンダウェルカムプラザ青山1【RC211V・RB19:ファクトリーマシン1】 東京都港区
ミュージアムといえば、博物館や美術館を思い浮かべます。
そして企業ミュージアムとなると、企業の歴史や現在展開している製品群がズラリと並び、いわゆるショールームを兼ねるケースも。
青山一丁目の交差点の角に建つホンダの本社は、ホンダファンにとっては聖地のような場所といえます。斜向かいには赤坂御所、近隣にはハイエンドな高級車ディーラーがあり、周辺を走っている車を眺めていると普段はそうそうお目に掛かれない車が。
そしてココで出会えるのは、超一流の工芸品と同じようなワンオフ。
(2025年3月をもって現在は閉館しています)
本田技研工業株式会社 本社
本田技研工業(以下ホンダ)は本田宗一郎(1906-1991)が静岡県浜松市に設立した本田技術研究所から始まります。
宗一郎は多くのエピソードや名言を残しており、従業員からは「オヤジさん」と呼ばれた人。
世界的にもイタリアのエンツォ・フェラーリ(1898-1988)と双璧。
またホンダは2輪と4輪両方を事業展開する世界でも数少ない会社です。
そしていまや地上だけでなく、小型ジェット機で空にも進出しています。
令和の上場企業には、コンプライアンスとか株主利益とかややこしい要素が複雑に絡み合います。
宗一郎も「みんなのためになる製品を世に出す!」という事を言われていましたが、こんな言葉も

ある意味オヤジのワガママなのかも。
ただリーダーの情熱は大切です。
そんなホンダ本社の1階にあるのがウェルカムプラザ青山。
東京都港区南青山2-1-1

ウェルカムプラザは通常、2輪と4輪の市販車が展示されていて(特別なモデルを除き、車内に乗り込める)大人から子供まで楽しめる場所です。
カタログもいただけてありがたいです。
以前はロボット・アシモのデモンストレーションが定番で、チビッ子やインバウンドの方々はクギ付けになっていました。
またちょっとしたカフェスペースも併設されています。
ココに足を運ぶのは、不定期になりますが古いモノから新しいモノまでホンダが所蔵する、珠玉のレーシングマシンの展示が目当てです。

今や隠居の身となったアシモやホンダの源流スーパーカブも展示。
スーパーカブはトーハクの150年後の国宝展でも展示!

レーシングマシン4輪編 レッドブルRB19ショーカー(2023)
レッドブルRB19は2023年のF1選手権でドライバー部門とコンストラクター部門の両タイトルを獲得した車です。
ドライバーはマックス・フェルスタッペン(1997- )。
オランダの人で、2021年から3年連続のチャンピオン。
父のヨス(1972- )もF1パイロットだった人で、ホンダのF1テストカーをドライブしています。

ショーカーは実際にレースを走った車ではなく展示用の車です。
F1は空力テクノロジーの頂点に位置し、ライバルやメディアはその秘密をパクろう、あるいは探ろうとします。
そういう訳で大事な部分が、実車と異なります(あくまでイメージ的)。
また車はシーズン中も進化するので、常に変化していきます。

デザイナーは空力の鬼才、あるいは魔術師と呼ばれるエイドリアン・ニューウェイ(1958- )。空気の流れが見えてる人。
レッドブル以外にもウィリアムズ、マクラーレンでデザインした車がチャンピオンマシンになっています。


サイドポッドは絞り込まれて、フロアから持ち上げられています
あなたの目には、空気の流れがどう見えますか?

空力の処理が複雑すぎて素人には何がなんだか分かりません。
車体の前端から後端まで、空気の流れは複雑に絡み合っています。

車体にはホンダのロゴはなく、ノーズにはHRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)のロゴが。
ウェルカムプラザで時々見かけるのは、花束を抱え今まさにホンダから退職とおぼしき方。F1が展示されていると、ほぼ間違いなくみんなでマシン前に整列して記念写真をパチリ。
どうせならF1に乗り込めばと思いますが、見ているカンジではコクピットには収まらないであろう彼らの体形が少し悲しい。
ごく稀にF1に座れる機会もあるのですが、だいたい小学生までの制限がかかっています。身長・体重制限ありで、痩せてる人なら乗せてほしい。
ただ小さすぎる子供は、座ってもコクピットからキッチリ顔を出せないかくれんぼ状態になり、見ていて笑えます(親は写真に収めたくて奮闘)。
レーシングマシン2輪編 RC211V(2002)
RC211Vは2002年シーズンを全16戦中15勝して世界チャンピオン(ライダー、メーカー共に)に輝いた名車。
ライダーはV・ロッシ(1979- )と宇川徹(1973- )。

2輪レースの最高峰は、2001年までは排気量500ccが上限でした。
2002年からのレギュレーションでは4ストローク(4st)エンジンは990cc、2ストローク(2st)は500ccまでと変更されました。
エンジンが異なる2st と4st 混走のシーズンが始まると4st がブッチギリの速さで、ホンダは2st はおろか他社メーカーをも完全に凌駕しました。
目の前にすると、1,000ccのバイクなのに非常にコンパクト。

もてぎのコレクションホールの写真でも補完します。

ステアリングバーの垂れ角がスゴイ。
最近のマシンは車体を押さえつけやすいように、かなり一文字状態。

アナログのタコメーターとバーの絞り具合に時代を感じます。
個人的にも見やすいのでアナログメーターが好み。

ライバル達に見せつけたその後ろ姿。
ウェルカムプラザの個体とはサイレンサーの素材が違います。
RC211Vのエンジンはホンダらしく、過去に前例のないV型5気筒。
バンク角は75.5度で、V4エンジンにバランサー代わりの1気筒を追加するという発想らしい。
興味のない人には全く意味不明な説明かもしれませんが、バランスが良く振動が少ないうえに馬力が出るという良い事ずくめのエンジンなのです。
結果シーズンを圧勝して席巻しています。
バイクが面白いのは、車と違ってエンジンの形式によってキャラクターが変わる点。工芸品と同じく味わいと呼べる部分です。
ウェルカムプラザは、ほんの入り口に過ぎません。
ホンダのアーカイブはもてぎのコレクションホールで所蔵、整備されていますが、時々青山に顔を出しに来るのです。
ただしホンダ本社(ウェルカムプラザも)は、2025年の春から建て替え工事に入り、2030年の完成を目指すと発表されました。
詳しい事やウェルカムプラザの今後は、まだ未定だそうです。
代替施設が都内に設定されると良いのですが。
