トミカとFORCE V4【S800&NSX-R:RVF400&750:モビリティリゾートもてぎ3】 栃木県芳賀郡茂木町
プロモーションの手段としてよく見かけるコラボ企画。
限定品の販売では炎上する事もたびたび見られるこの手法ですが、ほどよい塩梅が誰にも予測できないのが泣き所でしょうか。
今回はそのコラボ企画と最近定番化しつつある展示スタイルの特集を。
(限定品の販売はありません)
青山本社での自社製品ギャラリーが閉館して久しいホンダ。
もてぎのコレクションホールは充実の展示に疑いの余地はありませんが、そのロケーションは大問題。気軽に足を運べるとは到底言い難い立地です。
また入場料もパンチが効きすぎ(なにせ本社は無料)。
ただしその企画によっては、見ておかねばという所蔵マシンが多過ぎ。

ホンダコレクションホール

市販車とレーシングマシンのご先祖を、2輪&4輪ともに並べてのお出迎え。
そのバックには、製品としては日の浅い小型ジェット。
そしてスパイス的な小型発電機(カブとSの間の赤いヤツ)。
栃木県芳賀郡茂木町桧山120-1
コラボとはいうものの、ミニカーと実車の共演と予想したトミカ&ホンダの企画展示。大人にもコレクターファンの多いトミカですが、果たしていかなる展示か?(好評らしく、2026年3月までのロングラン企画に)

トミカ:リトルカブ&ホンダS800&NSX-R

箱を原寸大で製作したというのがポイントでしょうか。
子供が集めるレベルであれば笑顔で楽しめるトミカですが、大人レベルになると終わりはたぶん無いミニカー奴隷の世界。
良い子ならぬ良い大人が手を出すと待ち受けるのはドロ沼。
限定品などは、可愛くないプライスタグをぶら下げています。
2輪車の展示は、鉄板のカブ。

1997年製のリトルカブは通常版のホイールを小径化(17→14インチ)して、足着き性を向上。ここがリトルの意味をはじめて知った瞬間。
排気量:49cc 単気筒エンジン
最高出力:4.5PS
展示車両は累計1億台目!というメモリアルな1台。
現在も燃費王の名を欲しいままにしているホンダの金字塔。
4輪からはS800とシティターボ2。

シティは箱の背景のみが作成され、転売時には価値が激減するという箱なし状態での展示。
一方のS800は、本気仕様でのすべてがリアル1分の1スケール。

S800(1966年)
排気量:791cc 直列4気筒エンジン
最高出力:70PS / 8,000rpm
車重:720kg

Sと並べての展示車は、ホンダの最高峰NSX。

展示はシティターボ2と同様の背景のみ。
ただし展示車はNSX-R(2002年)という、ホンダでは最も硬派な1台。
排気量:3,179cc V型6気筒エンジン
最高出力:280PS / 7,300pm
車重:1,270kg
20年前の新車価格は約1,200万円!
ミニカーは150台がズラリと並んでいたらしいのですが、華麗にスルー。
どちらかというと本命の展示へ。

「FORCE V4」は当時のホンダによるプロモーションコピー。
V型4気筒エンジン搭載車を、スポーティーイメージでブランド化するための魔法の言葉。実際当時のV4はパワーの象徴。
ただしジェダイの騎士とは無関係。
RVF400
V4エンジンの入門車は400ccから。その始祖はVF400F。

TT-F3クラスは、排気量が4ストロークは400ccまで、2ストロークは250ccを上限とし、市販車改造車両によるレース。
ただしエンジンの主要部を除き、シャシー(車体)は何でもありで改造可。

1985年モデルのRVF400(NV0A)のベースモデルはVF400F。
のちにRVFのテクノロジーと知見を盛り込み、1986年に発表されたのがVFR400R。企画展では並べての展示。

今回の企画展は数台のV4ファクトリーマシンが、一部ストリップ(カウル等を脱着)状態での展示が目玉。

RVFのフレームは当時のホンダファクトリーの標準仕様で、アルミ製目の字断面ツインチューブ。実際目の当たりにすると400クラスとは思えないコンパクト&スリムなシャシーが衝撃的。

加えてキャブレターは、強制開閉式でなく負圧式のCV型(翌年から変更)。
これはカウル装着時には分かりません(特にV型エンジン)。

展示されていたスペックは、排気量399ccから最高出力70PS以上。
車重は128kg以下(半乾燥)。
近年の資料では、74.5PS / 14,500rpmを発揮、車重は120kg(半乾燥)。
当時から控え目なのが、メーカー発表の性能指数。

非常に参考になる資料はこちら。
RVF400を特集しているチャレンジャーな雑誌。
RVFだけでなくライバルだったヤマハYZF、加えてそれぞれのファクトリーライダーが対談するという超絶企画(当時はありえない)。
また当時から写真が少なく秘密のヴェールに包まれていたRCB400まで網羅した、オタク狂喜の1冊。よくぞ調べてくれました!
1988年のTTF-3クラスには4ストロークのRVF、RCB、そして2ストロークのNSRファクトリーチューンと3車種を投入したホンダ。
バイクブームのバブルの時代とはいえ、技術革新がどんどん進んだ絶頂期。
市販車にもその技術が毎年のようにフィードバックされ進化していきます。
1988年型のRVF(NW0D)では、最高出力86.2PSを15,750rpmで発揮!
そして同時代の4サイクルファクトリーマシンの頂点といえば。

RVF750

1985年のファクトリーマシンRVF750(NW1A)。
ベースはVF750Fでそのスペックは、V型4気筒748ccから
最高出力130PS以上 / 12,000rpm、車重160kg(メーカー発表)。
鈴鹿8時間耐久レースでは、W・ガードナー&徳野政樹組が優勝。
下写真は別の時期に展示されていたカウル装着状態。
そのカラーリングはヨーロッパ耐久チーム仕様、なつかしのロスマンズ。

RVF(85年モデル)をベースに、1986年に市販されたのがVFR750F。

こちらも並べての展示。ただし外観はまったく似ていません。

ちなみに耐久使用はヘッドライトとテールランプを標準装備。

初期のRVF750について詳しいのはこちら。
レーサーズからは、歴代のRVFが世代によって数冊発行されています。
レジェンド・パート1は、1000cc時代のRS1000RW(始祖)から1985年の初代RVFまでをカバー。
今回展示されていた個体も、豊富な写真で紹介されています。
変わった所では、その個体による当時の試乗記を。
最近のバイク誌ではめっきり見なくなったファクトリーマシン試乗記。
当時のライダースクラブ編集長・根本健によるRVF750&400!のインプレ。
ディテール写真もありますが、ほとんどがモノクロ。
インプレ記事ではネモケン節が炸裂している貴重な1冊(ちょっと難解)。
1985年の8耐レポートも掲載され、K・ロバーツ、平忠彦、W・ガードナー、徳野政樹らファクトリーライダーそれぞれのライディングにも言及。
分かり易さが問われる今風の記事と違い、40年前の雑誌は逆に新鮮。

1985年型は750もやっぱりキャブレターはCV型。

1985年の鈴鹿8耐には3台のRVFが出場。
そのうちの1台は、V4エンジン車の代名詞となる片持ちスイングアームを装備していました(翌年から全車標準装備に)。

特徴的な左側への排気系取り廻しは、片持ち仕様で威力を発揮するタイヤ交換の時間短縮のため。

V4エンジンはクランクシャフトが短くなるので、フリクションロスが少なく剛性が高くなります。ゆえにパワーも出る。
またその独特な爆発間隔が、2輪の命ともいうべきトラクションに大きく影響を与えます(後年ヤマハが直列4気筒でその爆発間隔を再現)。
ただし直列4気筒に比べ、エンジンの前後長が長くなるのがデメリット。
(幅は圧倒的にスリムなので、空気抵抗は少なくなるメリットはある)

そんなこんなのRVFの知見や新しいテクノロジーを詰め込んで、1987年に発表されたのがVFR750R(RC30)。見た目はまんまRVFという衝撃。

国内限定1000台で、価格は当時は驚異の¥1,480,000。
当時の国産750ccは、ほぼ100万円以下の価格設定だった時代。
また約40年前の車両ですが、現在も大切に維持されているオーナーが多数。
下写真のストリップは、RC30ベースのRVF(1990年モデル)。
以後もベースモデルも新世代となって進化を続けていきます。

V4エンジンの起源はホンダらしさ満載の楕円ピストンから始まっています。
そのあたりも含めてまだまだネタの尽きないFORCE V4(そもそも記事の内容もRC30ベース以降まで到達せず)。
V4エンジンの絶頂期については、資料の整理そして自身の脳みそへの再読み込みが完了してからというコトで。

