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違いの分かる人へのプロセス?【志野茶碗 卯花墻:花と鳥:三井記念美術館4】 東京都中央区

時々目にする「国宝」。文化的、学術的に国内最高峰のカテゴリーにある逸品は、特別展での花形(重要文化財との線引きはよく分かりませんが)。
鎮座するのは展示では目立つ場所で、人だかりを形成する渋滞原因の1つ。

「国宝です!」と解説してあれば「ほぉー」となりますが、アピールが少なかったりするケースでは、頼れるのは自分の知識と目利き能力のみ。
ちなみに展示が後半に設定されていると、人だかりが減少するのはミュージアムあるある(見る側の集中力は時間の経過とともに降下)。


ただし国宝だからといって、すべてが素晴らしい!とはなりません。
これは単純に個人の好みの問題であって、モノの優劣ではありません。
今回足を運んだミュージアムは、その1点の国宝を目当てに。

三井記念美術館

三井記念美術館は、三井家伝来の美術工芸品約4,000点を所蔵・展示する旧財閥系ミュージアム。所蔵品には国宝6点、重要文化財75点が含まれます。

東京都中央区日本橋室町2-1-1-7F

展示室内の撮影については、分かり易くてツボを押さえた寛容さが印象的。

最近の傾向(かなり個人的)は、設定された展示室内のすべてが撮影可能になっているケース(だいたい展示室4)。
その国宝が撮影可能でなければ、スルーしていた特別展「花と鳥」へ(キッパリ)。

花と鳥 チラシ
2025.07.01-09.07 @三井記念美術館

展示で印象に残ったのは渡辺始興わたなべ しこう(1683-1755)の鳥類真写図巻。

鳥類真写図巻 渡辺始興筆

全長17.5mの大作は、三井家がサポートした円山応挙もお手本としたらしい鳥の図鑑。作品もかなりのスペースを使って展示されています。

海辺群鶴かいへんぐんかく図屏風(1885年)を描いたのは三井高福たかよし(北三井家8代:1808-1885)。円山応挙の写しとなる作品は、高福最晩年の作。

展示室4

高福さんは明治初期の三井家を率いた惣領家当主で、三井財閥の基礎を確立した人。「絵画・書・工芸など多才な人物」と解説されていますが、旦那芸の領域を越えています。

展示室1

ちなみに三井記念美術館推しの国宝は、通常展示室2が定位置。
写真は国宝の短刀・徳善院貞宗展示のケース。

展示室2

360度からご覧くださいという贅沢で親切な展示スタイルが2の特徴。

今回は展示室3&4が撮影OKエリアに設定され、茶室如庵もその対象。
個人的には如庵のしつらえから何が飛び出てくるのかも、楽しみの1つ。

再現された国宝:如庵

如庵じょあんは美術館内に再現された国宝の茶室。

2024年7月

織田信長の弟有楽斎うらくさい長益ながます:1547-1622)が、1618年に京都の建仁寺正伝院に建てた茶室で、明治期に三井高棟たかみね(北家10代:1857-1948)が入手。

2024年7月

京都から東京麻布、神奈川大磯へと移築され、現在は愛知県犬山市の有楽苑に現存。展示室での説明には、如庵で正座する高棟さんの写真付き。

こちらは本物を参考に。

(参考)如庵 @愛知県犬山市

床柱の右側足元の三角形の板(鱗板)や窓の一部の有楽窓(竹の詰め打ち)が視覚的な特徴。美術館の再現では有楽窓は省略されています。

美術館に戻ります。

美術館内

さりげなく国宝:卯花墻

現在国宝指定されている国産茶碗は、わずかに二碗。
サンリツ服部美術館所蔵の不二山ふじさん(本阿弥光悦作:長野県諏訪市)と、ココに所蔵されている今回の目当て卯花墻うのはながき

卯花墻は美濃・牟田ケ洞窯産で、作者不詳の志野茶碗。
口を歪ませて胴にはへら削り、銘は釉下の垣根模様を詠んだ和歌から。

織部テイストな一椀で、箱書きは片桐石州(1605-1673)。
造られた年代もはっきりしないようで、戦国時代のターニングポイント1600年頃ではないかと推測されています。
茶の湯の歴史から見ると、和物茶碗が主役を張りだしたころに早くも認められていた最先端品。当時の現代アート的な存在でしょうか。

床には小野道風筆とされる壬生忠岑の和歌(古今和歌集から)。
茶入れは小堀遠州所持の銘卯花うのはな。ただし命名は卯花墻とは別件のようです。

竹茶杓は佐久間将監しょうげん真勝さねかつ:1570-1642)作。添えられた筒には、またまた片桐石州による極書(鑑定書)が。
奥には野々村仁清作の水指と佐久間将監好みの釜。

卯花墻は江戸の豪商冬木家の所蔵を経て、明治期に三井高保たかやす(高福5男:室町三井家10代)が入手。以降三井家のもとに。

あの模様はどうなのか?

個人的には織部的な作為強めの茶道具は、あまり好みではありません。
他者との違いを生み出すのが目的かのようで、目立ちたがりな印象ゆえ。
ただ実際お茶を飲むと、どんなカンジなのかは気になります(まあムリ)。

如庵の展示には見学者のほとんどが足を止め、しばし道具類を眺めます。
そして大体の方々は、そのままスーッと次の展示室へ。
中には卯花墻に気づいて激写開始という光景が見られますが、まあまあ少数派(個人調べ)。また他の見学者が来ると場所を空けて、立ち去ると激写再開というマナーの良さ。
キャプションを読めば小さく「国宝」とありますが、いわゆる「映える」茶碗ではないのもそうなる一因でしょう。

これは卯花墻が展示室2に鎮座していた時には見られなかった光景です。
撮影OKではなかったように記憶しますが、割と人だかりが発生。
それは茶の湯系特別展の客層であれば、間違いなく渋滞必至のポイント。

これはもしかすると「花と鳥」展に紛れ込ませた、美術館側のテスト展示だったのかもしれません(知らんけど)。
そんな挑戦的?な展示があれば興味深いのになと。
もちろん種明かしは会期終盤にチラリと。

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