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最高峰クラスを完全制圧した名機!【ホンダNSR500:1997年】 ホンダコレクションホール4 栃木県茂木町

オフ系や古い設計年次の特殊なカテゴリーは置いといて、いまや新車では絶滅種となっている2サイクルエンジン搭載車。
中古車での維持にもパーツの供給には難があり、程度の良い個体は減少中。
軽量・ハイパワーという大きなメリットを持つものの、燃費の悪さや排ガス規制によってメーカーによる新規開発は断念されています。
最先端テクノロジーで問題をクリアできないものかとは思いますが。


そんな社会環境の中、かつて2サイクルの頂点に君臨した車両群を所蔵しているのがホンダコレクションホール(モビリティリゾートもてぎ)。
しかも盆栽展示ではなく、現役さながらの動態保存。
ただし2輪や4輪を中心とした膨大なコレクションは、常に全てが展示されている訳ではないので要注意。
今回は珠玉の2ストファクトリーマシンにフォーカス。

ホンダコレクションホール

コレクションホールはモビリティリゾートもてぎ内のミュージアム。
リゾートの主役は1997年にオープンした世界規格のサーキットです。

ホンダ草創期と最先端

東のもてぎ、西の鈴鹿は両横綱のようなホンダモータースポーツの聖地。
現在では、もてぎはMotoGP、鈴鹿は8時間耐久と棲み分けています。
もてぎでのWGP(ロードレース世界選手権)の開催は1999年から。

栃木県芳賀郡茂木町桧山120-1

広大な3フロアには、テーマ別にホンダの歴史を満載。
ワンオフのレーシングマシン群は希少かつ貴重。いずれは国宝指定か。

はじめに1990年前後のF1マシンたち。

ホンダ無双だったターボエンジン第1期のマシンと12気筒エンジン搭載車。

青山本社ギャラリーでのデモンストレーションも、今では昔ばなし。
ホンダ制御系の進化を担ったのはアシモ。

おびただしい数の2スト・4ストが入り混じったファクトリーマシン。

これだけの台数が揃うと、撮影にはスマホのバッテリーでは容量不足。
その中から強烈なリザルトでシーズンを制圧した名機を。
何といっても全戦全勝!

NSR500 ’97

当時の2輪最高峰クラスを戦ったのがNSR500(1997年モデル)。
ロスマンスに代わり長いスポンサーシップを結んだレプソルカラー。

1997年モデル ドゥーハン車

ライバルのヤマハやスズキに対して、常に上回る最高速度を誇りました。
コンセプトは曲がる(コーナリング)よりも、止まる(ブレーキング)と加速する(トラクション)にフォーカス。

1997年のNSRは全15戦15勝のパーフェクトレコードでシリーズを制圧。
そのうちの12勝はマイケル・ドゥーハン(オーストラリア:1965- )。
この年のタイトルはもちろん、1994年から1998年まで5年連続チャンピオンとしてWGP界に君臨した人。
またホンダには重要なタイトル鈴鹿8時間耐久でも4度の優勝。

ドゥーハンはスムーズなアクセルコントロールを武器に、暴れ馬のような500ccマシンを調教してライバルを圧倒。
通常のバイクセッティングでは、フロントとリアのサスペンションをコースに合わせて調整します。ドゥーハンはフロントさえ決まっていれば、リアはアクセルで自在にコントロールしていたそうです。

残る2勝はアレックス・クリビーレ(スペイン:1970- )。
そして1勝は岡田忠之おかだ ただゆき(1967- )。
岡田はこのシーズン唯一ドゥーハンを力でねじ伏せて怒らせた人。

エンジンはVバンク角は112度の2ストロークV型4気筒、排気量は499.3cc。
1軸クランクは、当時ホンダが唯一採用した技術(他社は2軸)。
1996年にはクランクシャフトは1軸のまま、分割して剛性を強化。
排気系のチャンバーを除くとエンジン本体は超コンパクト。

他社を圧倒した最高出力は、
184.1PS / 12,500rpm(1994年)
191.3PS / 12,250rpm(1997年)
翌年以降は無鉛ガソリンの義務化により約10PSダウン。

車体サイズは
車両重量:130.9kg
ホイールベース:1,400mm
と現代の250cc市販車より圧倒的に軽量、そしてコンパクト。
また今どきのトラコンなど装備していません。
そもそも自分でコントロールしてこそスポーツ!

4連キャブレター

チャンバーの膨張部はパワーの源。上腕二頭筋的な。

エンジンはトラクション性能を高めるため、爆発間隔を近接の不等間隔(ビッグバン)から同爆の等間隔(スクリーマー)へと変更された過渡期。
ただライダーによると路面のコンディションによって、性能は一長一短。

2輪エンジンが面白いのは、エンジン形式や爆発間隔で乗り味が明確に変わる点。タイヤのグリップが豊富な4輪にはない感覚。

並べて見ないと見分けがつかない

写真を整理していて気がついたのは、違う時期に足を運んだ時のNSR。
同じ年式ですが、シートカウルのゼッケンカラーが異なります。

1997年用のはず?

そもそもこの辺りの年式は、解説で確認しながらでないと判断つきません。
全勝マシンなので、複数の個体を所蔵しているのかも。

またこの個体は、カウルステーが特殊な形状をしています。
ヘンタイ的視点で申し訳ない。

この時もエンジン単体での展示が。

チタンやマグネシウムといった高価な素材、加えて職人の手による超絶技巧。ムダな要素など全く存在しないその構成は、全てが機能の1点から設計されています。機能美の頂点に位置するデザイン。

ここからは完全制圧後のNSRを。

1998年シーズンも王座防衛したのはドゥーハン。
ところが翌99年には、シーズン初期に大怪我を負ったドゥーハンは引退。
そしてチーム内ライバルだったクリビーレが500cc初戴冠。

1999年用

1999年用マシンは1997年よりフロントカウルがやや丸みを帯びた造形に。

2002年には車両規則が変わり、4スト990ccマシンが最高峰クラス主流に。
そして2003年を最後に2スト500ccマシンは絶滅します。

ちなみにタイトル写真は1995年用。

RC213V-S&RC213V&RC212V

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