新橋に降臨!バランスの良さを武器に勝利を掴んだF1マシン【ベネトンB189:Spark Gallery】 東京都港区
東京都新橋から虎ノ門にかけての再開発が進む環状2号線沿い。
渋滞解消のため地下にはトンネルが通り、地上部分の愛称は新虎通り。
このオフィス街と飲食店街が密集するエリアに、オタク度高めのショップがお目見えしています。
新橋エリアのランドマークになりつつあるのは、プラモ界の頂点に君臨するタミヤ(たぶん)。本社からタイレルP34がやって来た時に記録していますが、そこに並ぶように出店したのが、世界的ミニカーメーカーのスパーク。
以前は現在より少し西側の日比谷通りにあったように記憶しています。
そしてショップ内にはオープニング用のためか常設展示なのかは不明ですが、非常に目を引くカラフルなマシンが鎮座しています。

スパーク ギャラリー 東京

スパークはMINIMAXが展開するミニカーブランド。
毎年ルマンカーやWRCカー、F1マシンが大量にリリースされ、オタク度満点な車種まで網羅する愛すべきメーカー。本家社長はフランスの人。

東京都港区新橋4-7-26 東洋海事ビル1F
タミヤギャラリー同様、店内には外国人のお客さんも目立ちます。
趣味性において、疑いようのない相乗効果が炸裂する立地。
界隈サラリーマンのサードプレイスとしても最適か。

ショップ内には開店祝いの胡蝶蘭が溢れていましたが、沢山の有名ミニカーショップに加えてタミヤの社長のお名前も。

「気になる車種があれば、お声掛けしてください」とスタッフさん。
想像を超える知識をお持ちなのが、この手のショップスタッフ。

何台分の商品が並んでいるのか分かりませんが、その中で結構なスペースを占有していたのが本日の主役。
派手目のカラーリングをまとい、そのヒストリーもキラリと光る1台。

ベネトン フォード B189(1989年)

ベネトンB189は1989年用のF1マシン(シーズン途中から)。
デザイナーはロリー・バーン(南アフリカ:1944- )
チームはイタリアのアパレルブランドを母体として、ドライバーはA・ナニーニ(イタリア:1959- )とE・ピロ(イタリア:1962- )。
エンジンはフォードのバックアップを受けたイギリスのレース用エンジンメーカー・コスワース製の新兵器HBを搭載。
ベネトンはワークス待遇だったので1989年は独占供給を受けていましたが、1991年以降には他コンストラクターへもカスタマー供給されるように。

自然吸気の排気量3,500ccに統一され、ターボエンジンが禁止という新たな規則が施行された1989年。
当時の自動車メーカー系エンジンは高出力を指向し、マルチシリンダーと呼ばれたV10やV12が主流でした(V8もマルチなんですが)。
対してフォードHBは、旧来のDFR(V8エンジン名機の系譜)に代わる意欲的な新世代エンジンとして登場。
Vバンク角はDFRの90度から75度へと狭角に設定され、マルチシリンダーよりコンパクトで軽量、そして秀逸な中低速&燃費性能が美点。
つまりは扱いやすく素直なエンジン。

ちなみにその性能は、600PSの最高出力と12250rpmの最高回転数を許容。
ライバル勢はというと、
ホンダV10:650PSと12250rpm(1990年は685PSと12800rpmへと進化)
フェラーリV12:660PSと13000rpm
とコスワースとは50馬力以上の差が。
そこを扱いやすいバランスの良さで対抗したB189。

B189のハイライトは、1989年日本GPでのナニーニによる優勝。
そして展示車両は、その個体そのもの!
どういう経緯でこの場所に?とスタッフにお聞きしましたが、詳細は知らされていないようでした。

日本GPではマクラーレンのプロストとセナが、トップ争いの最中に接触。
その後のセナ失格というワケありレースでしたが、V8勢によるシーズン唯一の勝利となったのが史実。
ちなみに1989年のリザルトは
マクラーレン・ホンダ(V10)10勝
フェラーリ(V12)3勝
ウィリアムズ・ルノー(V10)2勝

ナニーニは順調にキャリアを重ねていましたが、1990年シーズン中のヘリコプター事故によって右腕前腕を切断という悲劇に見舞われます。
そこから手術とリハビリを経て、アルファロメオのファクトリードライバーとして復活を果たしたという奇跡も歴史の1ページ。
後継のB190もまた、マルチシリンダー勢を相手に年間2勝をもぎ取ります。
極めたバランスが生み出すハンドリングマシンの記憶。

2度目に足を運んだ時には、実車脇にミニカーもさりげなく展示。

現在スパークの43分の1スケールのミニカーは、¥10,000~¥13,000前後で販売されています(そして上昇傾向)。
ただし毎年リリースされるモデルは、バリエーションも豊富で多過ぎ。
手を出すと泥沼にはまるのは間違いありません。
ちなみにHBエンジンを搭載したのは、F1マシンだけではありません。
実車の写真はありませんが、スパークのミニカーから1台。
ジャガーXJR-14(1991年)
ジャガーXJR-14は1991年用グループCマシン。いわゆるルマンカー。
1991年のシリーズチャンピオンに輝いた車を、スパークがモデル化。

スポーツカーの皮をかぶったF1と呼ばれ、フォーミュラーカー的なシャシー思想を内包したスポーツプロトタイプマシン。設計はロス・ブラウン。
その圧倒的なスピードでライバルを凌駕。
車重がF1より重いため、エンジン特性はチューニングされています。
その結果、最高出力は620PSで最高回転数は11250rpmに。
ちなみに1990年終盤のF1エンジンは、650PS!まで強化されています。

シルクカット(タバコブランド)カラーはベネトンとはまた違った雰囲気。
空力に特化したデザインには隙がありません。
ショートテールと巨大なリアウィングが特徴的。

一方1992年のF1界。ベネトンB192はキャメルカラー(イエロー)の面積が増加し、特徴的なバナナノーズで大きく飛躍します。

デザイナーはなんとR・バーンとR・ブラウンのコンビ。
そしてエースドライバーはミハエル・シューマッハー。
このトリオがベネトン黄金期を作り上げ、後にはフェラーリに集結してF1界の絶対王朝として君臨する事になります。
経済力次第ではパラダイスとなり得るスパークギャラリー。
またタミヤとタッグを組めば、鬼に金棒な世界が広がります。
これで関連書籍までストックされると、もはや身動きが取れなくなるかも。

