【Lil Fovnt #62】ワールドカップ・ベスト4の戦いーそこから見える日本代表の未来
実は、現在開催されているワールドカップについては、決勝戦が完全に終わるまでテキストにするつもりはなかった。
世界中が熱狂するこの巨大な祭典の結末を、最後まで静かに見届けてから自分なりの言葉にしようと思っていたからだ。
まあ静かに観ているわけはないが。
しかし、ベスト4の戦いを見て、これは今のうちに書いておかなければいけないと思い直した。
簡単に言えば面白すぎた。
FIFAランキング、上位4チームによる準決勝。
ヨーロッパの頂上対決となった「フランス対スペイン」。
そして、ワールドカップの歴史と因縁が交錯する「イングランド対アルゼンチン」。
この世界最高峰の2試合。
画面越しに伝わってくるヒリヒリとした空気、意地とプライドのぶつかり合いを見ているうちに、ふと「日本代表がこれから学ぶべきこと」がはっきりと見えた気がした。
今回は、そんな話をしてみたいと思う。
まずは「フランス対スペイン」の試合からだ。
今大会のフランスは、エースであるエンバペを筆頭に、圧倒的な「個の力」で相手を理不尽なまでに捩じ伏せてきた。
対するスペインは、緻密な「組織力」を武器に勝ち上がってきたチーム。
結果は、0-2でスペインの勝利。
あれほど圧倒的な強さを見せつけていたフランスが、徹底的に組織で連動するスペインの前に完全に沈黙したのだ。
では、ここで日本代表が学ぶべきはスペインの「組織力」なのか?
いや、違う。組織力なら、日本だって今大会で十分に見せてくれた。
「いやいや、組織力のスペインと言うけれど、そもそも個々の選手のクオリティが違うんだよ」と言う人もいるだろう。
たしかにそれも事実だ。
しかし、ここが本質でもない。今の日本の選手たちだって、スペインのトップ層には及ばずとも、世界で戦える十分なクオリティをすでに備えていると思う。
本当に日本が学ぶべきは、そこじゃない。
「試合運び(ゲームマネジメント)」だ。
その試合を自分たちの思い通りに運ぶための組織力に対して、一人一人の能力をいかに完璧に当てはめていくか。ここにある。
特に目を奪われたのは、相手のプレスを「剥がす」技術。
スペインは、ピッチにいる全員がこれが異常なほどうまい。
誰か一人のスーパープレイで強引に突破するのではなく、全員がプレスを無効化できるからこそ、初めてあの組織力が血の通ったものとして活きてくるのだ。
今大会で躍動しているヤマルという強烈な才能がいながらも、決して「エース中心」のチーム作りをしていない今のスペイン。
彼らの戦い方は、日本代表にとって最高のお手本であり、明確に目指すべき未来の姿ではないだろうか。
そしてもう一つの準決勝、「イングランド対アルゼンチン」だ。
この2チームには、過去のワールドカップで色々と因縁があった。
準決勝という極限の舞台での激突。激しい試合になることはキックオフ前から分かっていた。
ケインやベリンガムを擁し、「今大会こそは」と悲願に燃えるサッカーの母国・イングランド。
対するは、超のつく絶対的エース、メッシ率いるアルゼンチン。
結果は1-2。アルゼンチンが勝利をもぎ取った。
ここで日本が素直に学ぶべきは、アルゼンチンの「戦う姿勢」だ。
特に凄まじかったのが、後半のハイドレーションブレイク(給水タイム)後のアルゼンチンである。ビハインドの状況から、中盤に下がった神・メッシがボールを持ち、ゲームを作り始めると、チーム全体が一気に攻撃のギアを上げた。
その姿はまさに、「神と、神を支える10人の戦士たち」だった。
85分、メッシのパスを受けたエンソ・フェルナンデスがミドルをぶち込んで同点。
さらにその勢いのまま、終了間際にまたもメッシのクロスにラウタロ・マルティネスがヘディングで合わせ、勝負を決めた。
「メッシが凄い」なんてことは世界中が知っている。
「日本にもメッシのような選手がいれば…」なんてタラレバを言っても仕方がない。
目を向けるべきは、彼を死に物狂いで支える周りの10人の選手の「姿勢」だ。
アルゼンチンの選手たちは、決して大きくない。
なのに、屈強なイングランド相手に最後に勝負を決めたのは「頭(ヘディング)」だった。
ちなみに、両チームの平均身長はこうだ。
イングランド: 184.2cm
日本: 181.3cm
アルゼンチン: 179.7cm
なんと、アルゼンチンは日本よりも小さいのだ。それでもあの大舞台で競り勝つ。この気持ちの強さ、勝負への執念は半端じゃない。
そしてもう一つ、日本が強烈に手本にするべきポイントがある。
それは、ほとんどのメンバーがヨーロッパのクラブに所属している中で見せた、「メッシを中心に集まったメンバーの共通意識(結束力)」だ。
今の日本代表も、ほとんどが海外組で構成されている。
普段はバラバラの環境で戦うトップレベルの個性が、国を背負って集まった時にどう一つになるか。この精神的なシンクロニシティと熱量こそ、今の日本が見習うべき究極の姿だろう。
色々と勝手に語ってきたが、ついにワールドカップ2026・決勝。
「スペイン対アルゼンチン」
奇しくも新・旧バルセロナ10番対決となった。
アルゼンチンの連覇か。
スペインの若い新しい時代か。
日本がここから学ぶことは多くあるだろうけど、とりあえず今は、この世界最高峰の祭典を最後まで純粋に楽しみたいと思う。
Skip Social Studies
Ambiance Maker Ko-Ta
Instagram(nobvl_official、skipsocialstudies)
