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1978年に廃止された国鉄の貨物列車、その最後の記憶が『花模様の風呂敷』に残されていた

物流の主役を包んだ布

今回紹介するのは、国鉄(日本国有鉄道)時代に制作された
「地域間急行貨物列車」風呂敷
です。

えんじ色の生地の左下には、国鉄マークとともに、
「貨物の座席指定」「地域間急行貨物列車」と記された
貨物列車のイラスト。

『国鉄本社ビル。左が新館(1963年竣工)、右が旧鉄道省庁舎の旧館(1937年竣工)で、右端に東京駅場内の一部』
日本国有鉄道営業局 - 国鉄線 18(3)(166), p.6,doi:10.11501/2262974, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=145188963による

花柄の装飾を添えながらも、デザインの主役はこの一角、
日本の物流を支えた鉄道貨物輸送の象徴が、布の上に刻まれています。

昭和の物流を支えた貨物輸送の記念品であり、
国鉄マーク入りの企業ノベルティとして現存極めて稀な一枚です。

“地域間急行貨物”が走った昭和

地域間急行貨物列車は、
どうやら貨物列車に普通の列車をくっつけて走っていたようです。
1978年10月のダイヤ改正で快速貨物に統合されて廃止されています。
つまり、この風呂敷が制作されたのは、
1960年代から1978年10月までの時期と推定できます。
EE5072と記載されているようですが、知識がないため良く分かりません!

『現在の日本の貨物列車』
ローピン - 投稿者自身による著作物, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=174568241による

当時、全国の主要都市間を結んだ「地域間急行貨物列車」は、
スピードと効率を重視した新しい物流体系として注目されました。
貨物輸送がトラックへ移行する時代の中で、
鉄道は“定時・大量・安定輸送”という使命を背負い続け、
その存在をPRするために作られたのがこの風呂敷です。

『ED73-1007』
世田谷支局 - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=110171318による
『ED721』
Muyo - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6745789による

鉄道貨物の転換期を象徴する資料的価値を持っています。

国鉄マーク入りノベルティの希少性

下部に見える「国鉄マーク」。

『かつて日本国有鉄道で用いられたシンボルマーク、通称「JNRマーク」』
Logotype_of_Japanese_National_Railway.png: Odborárderivative work: Beao - Logotype_of_Japanese_National_Railway.png, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9078850による

このロゴが入った布製ノベルティは、令和に入ってさらに希少性が増し、
特に貨物関連での配布品は現存数が限られています。

記念品としての対象は、
国鉄職員や関連企業、輸送拠点の関係者などに絞られていたとみられ、
一般流通を想定しない配布物であった可能性が高い。

『国鉄本社玄関銘板(現在鉄道博物館所蔵)』
日本語版ウィキペディアのENG-N1さん - 原版の投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6959262による

いま残るものは、まさに“鉄道史の余白を物語る布”といえるでしょう。

デザインが映す時代のセンス

全体の色調は落ち着いたエンジ色。
左下に貨物列車の図案、右上に軽やかな花模様。

ヤード輸送方式が主流だった頃の貨物列車(1978年・阪和線)』
Gohachiyasu1214 - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=75568932による

工業と自然、機能と美――
一見異なるモチーフが共存するこの構成に、
昭和のデザイン文化が感じられます。
それは、「実用品にも美を添える」という日本人の感性。

職員の贈答用や展示会記念として配布された可能性があり、
鉄道の硬質なイメージを柔らげる、当時の広報的工夫が見て取れます。

『日本通運 鉄道省指定運送取扱人看板(1935)』
Soren Bradley - 投稿者自身による著作物, 物流博物館にて撮影, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=146302790による

布の上の“鉄道遺産”

国鉄が解体されてからすでに数十年。
いま、この風呂敷に残るロゴや図案は、
消えゆく鉄道文化の手がかりとしてますます貴重になっています。

『1947年3月のダイヤ改正頃の資料』

単なる記念品を超えて、
それは“鉄道の記憶を包む布”であり、
人とモノを運び続けた日本の昭和産業史の証言者なのです。

ある意味では、
先日紹介した「スバル360発売記念風呂敷」に似たものがあります。

『隅田川駅 小口貨物ホーム(1966年)』
日本通運 - 流通百科, 1966, p.83,doi:10.11501/2509776, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=145625242による

線路の先にあった日常を思う

風呂敷を広げると、
かつてホームを走り抜けた貨物列車の音が聞こえてくるようです。
地方の駅に積み下ろされる荷物、働く人々の姿――。

『国鉄の貨物運送状。荷主の運送契約の申込みの証拠となる。』
日本国有鉄道 - 目で見てわかる鉄道常識事典, 交友社, 1966,doi:10.11501/2509702, pp.38-40, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=147918322による

その風景を包み込んでいたのが、まさにこの一枚でした。
布の上の線路は、過去から未来へと続いています。
国鉄の誇りと、日本のものづくりの心を伝える、
静かで力強い“鉄道の布”なのです。

松岡明芳 - 松岡明芳, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2205738による

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