【温泉探訪記#2】旅人から地元民まで。老若男女の憩いの場「美幌温泉 峠の湯びほろ」(北海道 美幌町)
日本は言わずと知れた温泉大国であり、もちろん我が故郷・北海道も例外ではない。
オホーツク管内に限っても私の温泉巡りはまだ道半ばだが、その中でも特によく行く所はどこかと聞かれれば、私は美幌町にある「美幌温泉 峠の湯びほろ」を挙げる。
いかにも風光明媚な温泉地といった感じではないものの、温かな雰囲気と優しいお湯は疲れを癒やすのに最適で、車でのアクセスも良好なことからここに来るためだけに出かけることも少なくない。
外観〜受付
訪問日時:2025年4月26日(土)20時
国道243号を走っていると、真っ暗な畑作地帯の中に煌々と輝く看板が目に入る。この景色と山深そうな屋号とは裏腹に、交通の要衝たる美幌町の市街地から車で5分ほどという、なかなかの好立地である。
営業時間は10:00〜22:00。この地域の日帰り温泉メインの施設としてはかなり遅くまでやっているのがありがたい。

入浴は21時45分まで。
看板ではそちらの時刻が案内されている
駐車場はなかなかの広さだが半分ほど埋まっており、日中ともなると空いている所を探すのが難しくなるほどの人気ぶりを誇る。車中泊向けの駐車施設「RVパーク」や寝具を持ち込めば泊まれる簡易的なログハウスも備えているため、温泉だけでなく旅の拠点としての需要も高いのだろう。
後述するが、ここのログハウスには私もサイクリング中にお世話になったことがある。

緩やかなスロープを上って館内に入ると、天井の高い広々としたロビーが出迎えてくれる。この時間は営業を終えてしまっているものの、特産品売り場やレストランも揃っており、さながら小さな道の駅のようだ。食事と入浴がセットになったお得な券もあるので、滞在プランが合えばぜひ活用したい。

またポイントカードを作ると入浴1回ごとに1つスタンプが押され、12個貯まれば1回無料で入浴することができる。今日は26日、すなわち風呂の日ということで図らずも2倍のポイントを貰うことができた。
こうした嬉しいサービスも、リピーターを生む要因のひとつと言えよう。なお、入浴料は大人600円(訪問日現在・タオル別)となっている。
分析書&入浴
それではいよいよ、その人気の核となる温泉施設に足を踏み入れる。お風呂までの道中に見える休憩スペースは大勢の人で賑わっていて、比較的遅い時間の割には家族連れが多い印象があった。
ここの特徴といえば、日によって男湯と女湯の浴場が入れ替わることである。HPによると向かって右側が「鹿の湯」、左側が「いちいの湯」というそうで、偶数日の今日は前者が男湯となっている。たまたまなのか、私が来る時はだいたい偶数日である。
入浴の前に温泉分析書のメモを取っていたところ、横で着替えていたナイスミドルに声を掛けられた。
彼は歴戦の温泉好きのようで、脱衣所でペンを構える若者の姿が気になったらしく、白鳥が間近に見られる露天風呂や、電気の通っていない山中の秘湯など、さまざまな近隣の名湯の話を聞かせて下さった。
さすが旅人の集う場所というべきか、思いがけない所で貴重な情報を得ることができた。見知らぬ方とでもこうして共通の話題で盛り上がれるから、温泉趣味は面白い。また人の生の声には、どんな媒体よりも受け手の興味を誘う力がある。この度は彼の語り口に引き込まれるばかりだったが、私もいずれこんな面白い話ができる旅人になりたいものだ。
ありがとう、ナイスミドル!
そして肝心の温泉成分についてだが、泉質は単純温泉(低張性弱アルカリ性温泉)となっている。つまり成分が薄く優しい温泉であり、体への刺激が少ないのでのんびり浸かれるのが魅力だ。pHは8.2と弱アルカリ性で、炭酸水素イオンやメタけい酸が多くの割合を占めているため、美肌効果にも期待できる。
浴室は開放感のあるドーム状になっていて、天井に張り巡らされた木の梁の温もりが心地良い。入ってすぐにある浴槽は広く、洗い場も十分な数を備えていることから、人はそれなりに多いが混んでいるという印象はなかった。リンスインシャンプーとボディーソープは備え付けのものがある。
入ると少し肌がつるつるする感覚のあるお湯は42℃に加温されていて、その気持ち良さはいつまでも浸かっていたくなるほど(その分のぼせには気をつけなければならないが)。ジャグジー、ジェットバス、薬湯とお風呂の種類は色々で、サウナおよびミストサウナも完備されており、地元民と思しきおじいさんから若者、子供までの誰もがこの空間を満喫していた。
浴室内には座れる所がたくさんあるので、入浴の合間やサウナの後の小休止にも困ることはないだろう。
露天風呂はそこまで広くないものの、そのぶん静かで落ち着いて木々のざわめきと満天の星に癒やしを感じることができる。冬が終わっても依然として北海道の夜は冷えるが、そんな時はお湯を含ませたタオルを頭に乗せると快適に過ごせるのでオススメだ。
ときおり女満別空港を発着する飛行機が見えるのも、ここならではの楽しみである。
湯上がりのひととき
1時間ほどじっくりと浸かったおかげで、体の芯まで温まることができた。休憩スペースには自販機のほかドリンクやデザートなどを頂けるコーナーやマッサージチェアもあり、のびのびとくつろげる。
もしこの後運転する予定がなければ、ビールとおつまみで一杯やるのもさぞ乙なものだろう。


パフェのソフトクリームは結構な大盛りで満足度が高い
たまに廊下を通るかわいいロボット掃除機を見ながら母と談笑する中、次第に人はまばらになっていった。入浴終了のアナウンスが、21時45分になったことを告げる。おっと、もうそんな時間なのか。ここにいると、つい自宅にいるような気分で過ごしてしまう。
すっかり遅くなってしまったが、ゆっくりと心身を休め、とても良いリフレッシュになった。遅い時間でもこのように十分楽しめるから、休日だけでなく平日の仕事終わりに足をのばしてみるのも面白いかも知れない。
おまけ ログハウス宿泊ざっくり日記
訪問日時:2022年9月7日(水)17時45分
当時大学生だった私は、夏休み中かつ2日連続でバイトのシフトが入っていないという貴重な機会を逃すまいと、寝袋を持って自転車を走らせていた。
若さゆえのなかなかアグレッシブな行動であったが、初めて自分だけで外泊をするとなると多少の不安は拭えないということで、まずは近場のここに泊まってみることにした。
入浴券と同様に利用券を買って受付の方に渡し、鍵を受け取ったら駐車場の外れにあるログハウスへ。幸いこの日は先客がいなかったものの、利用できるのは1日1組のみなので事前に電話で空きを確認するのは必須である。

隣は宿泊者用の24時間トイレ
中は2人か3人くらいなら寝られそうな広さがあった。布団はないので各自で用意する必要があるが、たった1,000円で雨風などの心配を忘れ、さらに冷蔵庫やテレビもある中で一夜を過ごせるのはとても助かる。
夕食は前述の食事と入浴のセット券を利用し、ざるそばを頂いた。選ぶメニューによってセットの値段も変わるものの、いずれにしても宿泊費込みで2,000円台に収まり大変お得である。

それから温泉を満喫し、20時過ぎにログハウスに戻る。賑やかな館内もいいけれども、1人きりの空間で落ち着く時間もまた何物にも代えがたい至福のひととき。楽な恰好になって寝転んだ瞬間、「私は今、1人で旅をしているんだなあ」と今更ながら感慨深い気持ちになった。
一日中走っていたのでよく眠れるだろうと思っていたら、明朝はあまりに寒く、夏用の寝袋と服しか持って来なかったため日が昇る前に目が覚めてしまった。日中は30℃に迫る暑さだったが、そこはやはり北の大地、いかなる時でも防寒対策を欠かしてはならないと痛感する。
ともかく、今日もよく晴れていて爽やかな朝だ。10時より前は受付が閉まっているためレンタルビデオ屋のように返却口に鍵を入れてチェックアウトを済ませ、清々しい気分で2日目のスタートを切るのであった。
まとめ
以上のように、リーズナブルかつ設備の充実した施設は、普段使いにも旅の拠点にもぴったり。このような場所が身近にあるというのは、本当に恵まれていると思う。
また、観光客と地元民が分け隔てなく楽しく過ごせる空間は、これからの地方の活性化においても重要になってくるはずだ。これから私は数多の温泉に触れていくつもりだが、そんな中でもここの存在が色褪せることはないだろう。
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
北海道を拠点に旅や温泉の記録などを書いておりますので、よろしければこちらもご覧いただけると幸いです。
