標準化の光と影 ― 自治体システムは本当に良くなるのか?
はじめに
デジタル庁が旗を振って進めている「自治体システムの標準化・共通化」。国の方針としては「業務を効率化し、全国で同じ基準を用いることで、コスト削減とサービス向上を実現する」というのが大義名分です。
しかし現場の視点から見たとき、その「標準化」は必ずしも自治体にとって理想的な未来を約束するものではありません。

柔軟性はどこまで許されるのか?
デジタル庁の説明では「標準仕様で全国共通の仕組みを作りつつ、必要に応じてオプションで調整可能」とされています。
しかし実際には、標準仕様が厳格に決められているため、オプションで吸収できるのは細かな違いにとどまります。業務フローやデータ項目は大きく制約され、これまで自治体ごとに培ってきた工夫や柔軟な運用は失われつつあるのが現状です。

民間競争は広がるどころか縮小へ
「標準仕様があるから、複数ベンダーが同じ条件で競争できる」という主張がありますが、現実は逆です。
全国展開できる体力を持つ大手ベンダーに入札が集中し、地域密着型の中小ベンダーは「全国自治体への登録」「標準仕様への対応コスト」で大きく不利になります。結果として、中小事業者の参入余地はさらに狭まり、むしろ寡占化が進む可能性が高いのです。

ガバメントクラウドの実態は「自治体任せ」
もう一つのキーワードが「ガバメントクラウド」。
国が用意するクラウド基盤で効率的にシステムを運用できる、とされていますが、実際には自治体ごとに契約・導入を進める仕組みになっています。
つまり「国が一元的に統制して効率化」するというより、「自治体がそれぞれSaaS契約を結ぶ」だけ。これではスピードもバラバラ、格差も解消されません。名ばかりのクラウド利用になってしまっているのが現状です。
おわりに
デジタル庁が掲げる理念は素晴らしいですが、現場で見えるのは「柔軟性の制約」「競争の縮小」「自治体任せのクラウド利用」です。
標準化は確かに必要ですが、その「光」と「影」を直視しない限り、現場にとっての使いやすさや本当の意味での効率化は実現しないでしょう。
さらに言えば、本来であればデジタル庁自らが標準準拠システムを開発し、サービスとして全国の自治体に提供するのが最も効率的ではないでしょうか。
そうすれば、自治体ごとにベンダー選定や入札を繰り返す必要はなくなり、全国で統一された仕組みを低コストかつスピーディに展開できます。
デジタル庁にはすでに莫大な予算が割り当てられているのですから、その力を活用すれば自治体の全業務を一気に刷新することも夢物語ではないはずです。
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