#11 大学教員の憂鬱「共通試験監督、台本‥厚すぎます」
大学入学共通テスト(共通テスト)の季節が来ると、学生のほうを見てしまう。
「がんばって」と言いたくなる。
「監督、何してたんだ」と言われるけど
毎年、トラブルが報道される。
試験時間のミスとか、配布物の間違いとか。
で、だいたい言われる。
「監督、何してたんだ」。
でも、その監督をしているのが大学教員だ、という事実は、どのくらい知られているんだろう。
監督業務の始まり
11月。ポストに一枚入る。
担当日が書かれた、あの通知だ。
主任監督者なんて書かれていた日には、静かに終わる。
特に1日目が嫌だ。
理由は単純。リスニングがあるから。
リスニングの恐怖は、機材トラブル。
開始後にやらかすと、再開テストの対象になる。
受験生にとっては不幸だし、監督者にとっては残り少ないHPが削られる。
文科省が考えた公平性の担保のしかた
さて、共通テストは全国同時。
公平性はどう担保するのか。
単純だ。
時間は時報に合わせる。
主任監督が話す言葉は、分厚い台本に一字一句びっしり。鈍器みたいな重さがある。
トラブル対策として別刷りの対応表も配られる。護符みたいな顔をしている。
主任監督の暴走を防ぐために、タイムキーパーがいる。
全国に名前を晒さないための、最後の砦だ。
かなりアナログだ。
でもトラブルは、どこかで必ず起こる。
公平性のために全部ガチガチだから、少しズレると戻すのが大変になる。
しかも、対処は対応表どおり。
書いてない事象が起きたら、本部に問い合わせて指示待ち。
教室の空気が固まる。
胃粘膜に異変が起こりはじめる。ウズウズして、痛くなるやつだ。
このマニュアル、おかしくないですか?
ちなみにマニュアルにも、だいたいこう書いてある。
寝るな。
靴音がしない靴を履け(忍者か)。
受験生の気が散るからウロウロするな。
でも、不正行為は見つけろ。
もはや、修行だ。
ちなみに書いてはないけど、たぶん含まれていそうなこと。
腕時計は音がしないものにしろ。
咳払いは控えろ。
紙をめくる音にも気をつけろ。
「休憩」とは作業の名前
タイムスケジュールも受験生よりタイト。
「休憩」と書かれているが、実際は休んでいない。
次の試験問題を台車に積む。
忘れ物がないか、ダブルチェックをする。
休憩とは、作業の名前だった。
昼飯は30分。味はしない。
トイレに行くのすら大変だ。
苦行の一日のはじまり
そして、その担当日は朝7時から始まる。
この時間に間に合わないなら、宿泊するしかない。宿泊代は自腹だ。
ちなみに監督手当は出る。主任監督でも監督でも同額。
準備期間の拘束時間も含めて時給換算すると、だいたい850円ほど。
宿泊したら、それで消える。
裏話だから何か書かなきゃと思ったけど、余計なことまで書いてしまった。
苦行の一日なのである。
受験生の皆様へ
今年も、受験生は二日間よく耐え、頑張った。監督者も、よく耐えた。
二次試験を受検する方へ。幸運を祈っている。頑張ってください。
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