映画感想文「一つの夜と三つの夏」チベット映画で彼の地の若者を知る、旅したかのような映画体験は東京国際映画祭にて
幼い頃の思い出はどこかほろ苦い。
サムギは幼馴染のラモと、ちょっとしたことから仲違いしてしまった過去がある。いつも一緒につるんでいた二人はそれ以来没交渉となってしまう。
それは彼女の人生に影を落としている。
大人になったサムギはその物語を映画にしようと模索する。それは記憶を乗り越えるための旅路であった。彼女はその記憶を乗り越えることができるのか。
現在のサムギと幼い頃のサムギ。いまと子供時代が行ったり来たり混ざり合っている。更に大人になった彼女の撮影している映画もそこに加わり、現実か虚構かも入り混じる。情感あふれる構成となっている。
思い出と共に移ろいゆく感情が見どころである。
馴染みのないチベット映画。
世界最高峰のチベットをはじめとする連なる山々、高山地帯に住む人々、そして仏教徒。
その程度しかチベットについて知見がない。
そんな私にはチベットの若者たちの日常が新鮮であった。まるで旅をしたかのような満足感が得られる一本であった。
東京国際映画祭2025、アジアの未来の作品。原題のリンカリンカはチベット語で庭園という意味らしい。確かに立派な庭園が映画には登場する。高地のチベットでは緑あふれる庭園は憧れでありそれが意味する夏は特別な思い出に満たされた季節なのだろう。
