映画感想文「ブルーボーイ事件」実際に当事者が演じてることでの力強さにひれ伏す
知らなかった。
こんなことが実際にあったなんて。
そして、そうか。そうきたか、と驚いた。
舞台は60年前の日本。性別適合手術を受けた「ブルーボーイ」たちが堂々と売春を行っていた。戸籍が男性の彼らは、売春防止法の摘発対象にはならないのだ。
しかし東京オリンピックをひかえた1965年、警察は取締りを強化。なんと、生殖不能にする手術は「優生保護法」に違反する、という切り口で、性別適合手術を行なった医者赤城を逮捕する。
その弁護をすることになった弁護士、狩野(錦戸亮)。過去に手術を受けたブルーボーイ達を訪ね歩き、証言者を探そうと奮闘する。
最終的に、彼が見つけてきた証言者は3名。そのうちのひとりが実際にトランスジェンダーてある、主演の中川未悠だ。これがまた、すごい!あまりのうまさに舌を巻いた。
いや、セリフは棒読みだったりする。だが、技術的なことを超えて、言葉に魂がこもっているのだ。とてもじゃないが、これが初主演とは思えない。やはり心の声を代弁できる当事者の出演は大きい。
そして、あらゆるリスクを背負ってまで証言台に立つ彼らの動機は、未来を変えたい。自分の代で負のスパイラルを断ち切りたい。という強い思いである。
このまま、嘲笑われたり、踏み躙られたりして人生を終えたくない。せめて次の世代では変えたい。と立ち上がる。
人は人のためなら頑張れる。なんだか、その切なすぎる事実に、しんみりした。
こうやって人間は歴史を積み上げてきたんだな。
中川未悠と同じく証言台に立つ、同じく当事者の役者中村中、イズミ・セクシーの演技も迫力がありとても良かった。
