見出し画像

あすなろの手紙〜俳句を添えて〜

これは、橘鶫、aloha、鮎太が紡ぐ公開の往復書簡です。ぜひ、楽しんでいって下さい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

橘鶫さん、alohaさん

 手紙の返事が遅くなり申し訳ありません。皆さんも同様だと思いますが、師走は忙しいものですね。僕は仕事の追い込みで少々疲れました。
 そういえば、先日、こちらでは初雪が降りました。例年よりも少しだけ遅かったですが、綿のような柔らかな雪で、アスファルトに触れてふっと消えていきました。僕は雪深くなる地域に住んでいるので、これからの大雪を心配しています。(数年前は、背丈ほど積もったんです)
 
 さて、まずはalohaさんからいただいたご質問から答えていきますね。
 最高のご飯のお供はなんですか?
 
 僕にとって最高のお供は、葉わさび醤油漬けです。知り合いにわさび作りをしている方がいます。毎年いただく手作りの葉わさび醤油漬けは、ツーンとし辛味と醤油のコクがご飯にピッタリで、何杯でも食べれてしまいます。
 ご存知の通り、わさび生産には、一定の水量と水温、豊かな土壌に日差しが必要で、かなりの環境条件が揃わなければできません。厳しい条件のもとで、手間ひまかけて美味しいものを作る。この大変さと楽しさは、米作りをしている僕にはよくわかります。
 物を作って売る。この営みは人にとって根源的なものだと思います。どんなに苦労をしても作り続けるのは、自分が作ったものを喜んでくれる人がいる、美味しいと言ってくれる人がいるから頑張れるのだと思います。
 お2人もわさび醤油漬けはご存知だと思いますが、お酒にも合いますので、ご賞味ください。

続きて、鶫さんからの質問。
絵を描くとしたら何を描く?
 とても悩みました。僕は絵心といったものが全くありません。恥ずかしいほどに。小学生の頃に、いまでは漫画家になった友人の絵を見て以来、自分には絵の才能はないと気づき避けてきました。
 それでも、鶫さんの質問に答えるとしたら題材は、僕の生まれた村でしょうか。
 僕の村は、黄金に輝く棚田やきらきらの小川、雄大な山々があります。そこに住む人たちは慎ましく、優しく温かい。そんな大切な村を描きたいと思います。

牛おらぬ牛小屋ありし女郎花     清川鮎太

 残念ですが、いまのうちに村を描いてしまわねば、滅んでいくでしょう。もうずいぶん、僕の好きな風景が失われてきました。悲しいですが、それも仕方のないことかもしれません。いまでは友人たちと町おこしのようなことの手伝いもしていますが、事態はなかなか好転しません。

 少し、暗い話になってしまいました。でも、決して僕は絶望しているわけではありません。
 これまでの手紙で仰られていたように、毎日、鶫さんは絵を描き、alohaさんは句を詠む。
 そして、僕の村でも住み続けている人がいて、この村が好きな人がいる。未来はどうなるか分かりませんが、いまある希望を大切にしたいと思っています。そのひとつが、村を描き残すことなのかもしれません。
 
 さて、今回も長い手紙となってしまいました。最後にまた質問させてください。
 お2人の好きな音楽について聞きたいです。好きな歌手や曲名など教えてください。

鼻を啜りながら今年米を小屋に運ぶ鮎太より

いいなと思ったら応援しよう!