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#82 長女が「靴がない」と言えるまで

『今日早お迎えできる?』

 
私が平日休みの日、
幼稚園に通う次男と長女から必ず言われる言葉です。
 
 
先日も、例にもれず言われました。
 
 
長女は園庭からではなく
『廊下から迎えに来て』と言ってきました。
 

つまり、帰りの会が始まる前に来てほしい、ということです。
 
 
私は長女の主張を聞き流し、
いつもより少し早めの『〇時〇分に行くね』と伝え、
子ども達を送り出しました。
 
 
約束の時間、次男と長女を迎えに行きました。
 
 
次男は遠くからでも分かる満面の笑みを浮かべていました。
長女も外に出てきて、目が合うとにっこりとしていました。
 
 
しかし、次男が靴を履き終えたとき、
長女の表情が曇っていることに気づきました。
 
 
「なんかあったのかな?」
そう思い、長女に声を掛けてみました。
 
 
でも、返事がありません。
『どうしたの?』と何度聞いても
ただ涙をこらえています。
 
 
『お話ししないと分からないよ』と何度か聞くと
か細い声で『……靴がない』と教えてくれました。
 
 
以前、間違えて友達が履いて帰ってしまったことがありました。
でも今日は、ほぼ一番に迎えに来たので、まだみんな園に残っています。
 
 
先生も様子がおかしいことに気づいてくださり、一緒に靴を探してくれました。
 
 
近くには、長女と同じ靴が2つありました。
ひとつは前回間違えて履いて帰ってしまった子の靴です。
名前シールが貼られています。
 
 
もう1つ、名前が書かれていない靴がありました。
『これじゃないの?』と聞くと、違うと首を振られます。
 
 
名前が書いていない靴でサイズも同じくらい…
下駄箱にも、入っていませんでした。
 
 
5分ほどあれこれ探したあと、
『下駄箱からどこに持って行ったの?』と聞くと、
長女はハッとした様子を見せました。
 
 
『廊下に持っていった』
そう言って廊下へ向かった長女は、
照れ笑いを浮かべて戻ってきました。
 
 
どうやら長女は、私が廊下側から早く迎えに来ると思い、
廊下に靴を置いていたようでした。
 
 
『パパが廊下から来るって言ったからじゃん!!』と
さっきまで涙を浮かべていたのが嘘のように、
笑顔と元気を取り戻した長女。
 
 
帰り道は電動自転車の後ろに乗り、歌を歌っていました。
 
 
『靴がない』ことがなかなか言い出せなかった長女。
 
 
なんだか悲しくなってしまい、時間が経ったものの、
自分の言葉で伝えてくれたこと。
 
 
ただそれだけですが、
「大丈夫だよ」と抱きしめたくなる出来事でした。
 
 
『廊下から迎えに来て』
あのとき、ちゃんと聞いてあげればよかったなと、
ほんの少しだけ反省しています。
 
 
探してくださった先生方すみません。
そして、帰ったらちゃんと靴に名前を書こうと思います。

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