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サトウキビ 品種と歴史的背景(0号)

はしがき


 さてお立合い,まずは一太刀。 一枚が二枚、二枚が四枚、四枚が八枚、八枚が十六枚。 まだまだ細かく、十六が三十二、三十二が六十四。 かくのごとく、紙は細かに刻まれて、 ほれこの通り、風に散らせば紙吹雪。
 ・・・というのはガマの油売りの口上だが植物の生長もこれと似た計算する(個体群生長率)ことで,成長の速度が分かるようになっている.1gの種が数日後には芽吹いて2gに,2グラムの新芽がさらに数日後には本葉が出て4gに,4gの苗はさらに成長して8gに・・・とこんな具合だ.しまいには花吹雪となって次世代へとつながっていくのである.
 ではなぜ重さが増え生長するのか.主な要因は光合成(あるいは純同化率)で,光合成をするのは葉である.葉で光合成をするには光を受け止める必要がある.葉で光を受けるには葉が明るい位置に来るように茎を伸ばさなければならない.茎を明るいところへ伸ばすためには茎の数を増やしたい.そうして葉面積(すなわち葉面積指数)を増やしていく必要がある.人の欲望が尽きないように,実は植物だって欲望をむき出しに生きている.
 品種改良とは人間の欲と植物の欲が一致した状態で利益を生み出す商品.あえて商品と呼ばせてもらうが農業を生業とする者にとっては重要な商品である.国内外に野菜や花卉の種苗を扱う企業があって企業が発行するカタログにはその品種のセールスポイントがぎっしり書き込まれている.
 私が研究するサトウキビは国内だけでも40種類以上の品種が開発されており農家に配布されているものの,カタログらしきものはなく研究結果に基づいた数字の羅列が書かれた報告書がようやく手に入るだけである.結果がわかるのはいいのだが,きっと農家にはよくわからず気になる部分は不明瞭なままだ.しかもその記録は古い品種ほど入手しにくい.
 だったら自分で育てて観察して資料を集めて歴史的背景も加えて少しでも記録した経験を活かしカタログを作ってみた.研究テーマ「植物の重さの増え方」つまり個体群生長率に目を向けた研究だったが,手を加えてこれからの機械化農業やスマート農業を見据えて注釈をつけたものの,農家向けというよりは農学寄りになってしまった.しかしわずかでも農家目線に近づけたつもりだ.数年前から公開していた作品だがせっかくなのでマガジンにまとめて創作大賞2026に応募します.農業だってビジネスだ.商品の事,もっと知りたくないですか?


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