しゃくりとフォールで歌に色気!?技術を「表現のスパイス」に変える方法
(この記事を3行でまとめると)
「しゃくり禁止」はもったいない!場面に応じた使い分けこそがプロの表現力
しゃくりは「一生懸命さ」、フォールは「切なさや余裕」。感情と音をリンクさせる
長さと音程をミリ単位で制御する。まずはプロの完コピから始めてみよう
どうも。プロミュージシャンでボイストレーナー、ボーカル講師の「さこんくん」です。
歌のレッスンで「しゃくらないで!」と、まるで悪い癖のように教えられた経験はありませんか?確かに意図せず全ての音をしゃくってしまうのは問題ですが、それを一律禁止にしてしまうのは歌から豊かな表情を奪ってしまうことにもなりかねません。
今回は、歌に艶やかな色気を宿す「しゃくり」と「フォール」の使い分けについて僕が現場で伝えている視点をお話しします。
1. 感情を乗せるための「音の入り方」
しゃくり(低い音から目的の音へ滑らかに持ち上げる技法)は、歌い手の「必死さ」「一生懸命さ」「切実さ」というニュアンスを出すのに非常に有効な表現です。
頑張ってその音に手を伸ばすような泥臭いまでのひたむきな情熱。それが聴き手の心に「切なさ」として刺さります。レミオロメンのバラードのサビなどで聴ける切ないしゃくりはまさにその象徴と言えるでしょう。
2. 余韻を操る「音の切り際」
では、逆の動きである「フォール(音の終わりをずり下げる技法)」はどうでしょうか。 フォールに込めるニュアンスとしては次のような表現が挙げられます。
ため息のような「切なさ」や「諦め」
張り詰めた糸が解けるような「安堵」
クールで気だるい「大人の色気」や「余裕」
Vaundyさんの楽曲などで聴けるAメロのクールなフォール。あれは「突き放すようなカッコよさ」や「セクシーな脱力感」を演出しています。しゃくりが「攻め」の表現ならフォールは「引き」の表現。この対比を使い分けられるようになると歌に圧倒的な立体感が生まれます。
3. 「なんとなく」から「コントロール」へ
これらの技術が「癖」と一蹴されてしまう原因は、多くの場合「制御できていないこと」にあります。
ただなんとなく音を崩すのではなく、音程をどこまで動かすかという幅と、その移動に何ミリ秒かけるかという「長さ」を正確にコントロールする。緻密に計算されたピッチと時間の設計図があるからこそ、それは「崩れ」ではなく「洗練された表現」に変わるのです。
とはいえ、最初からミリ単位で制御するのは難しいもの。まずは、自分が好きなプロのアーティストがやっている表現をタイミングから深さまでそのまま「完コピ」する練習から始めてみてください。
結論:プロの表現を「盗む」のが最短ルート
「やってはダメ」なことなんて表現の世界にはありません。あるのは「その場面に合っているか、狙い通りか」という基準だけです。
しゃくらないで出すべきところ、フォールしたら変になるところをしっかり見極めた上であえてスパイスとして技術を投入する。そのわずかな音の揺らぎがあなたの歌に唯一無二の色気を与えてくれます。
テキストで理屈を理解したあとは、ぜひ動画で僕の声のトーンや空気感をセットで受け取ってみてください。
プロフィール
【さこんくん(左近誠道)】
メジャー経験を持つ現役シンガーソングライター・ボイストレーナー。 UNIVERSAL MUSIC ARTSよりバンド「SACON」としてデビュー。地上波TVタイアップ楽曲リリースやラジオパーソナリティー経験を経て、現在はプロへの歌唱指導や音楽専門学校での講師を務める。
■ 実績・活動状況
NHK Eテレ 番組歌唱指導担当
大手音楽専門学校、声優専門学校、声優事務所 講師 (ボイトレ、ボーカルレッスン、作詞作曲、AI作曲など)
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